コーチングとカウンセリング
部下指導やマネジメントで近年注目されているスキルは多岐に渡りますが、ここでは「部下の意欲を引き出す」ことに特化して、コーチングとカウンセリングという考え方について触れたいと思います。
アプローチとしては二つとも似ています。どちらも「その人が必要とする答えは、すべてその人の中にある」という前提に立ち、相手の話を効果的に聴いて適切な質問を投げかけることで、感情や行動に変化を起こしますが、使われる目的や場面がやや異なっています。
コーチングはもともとスポーツ界から派生した概念で、その名の通り「コーチする」ことです。
部下が目標達成するために、部下のおかれた現状、そして目指す状態をできる限り明らかにし、それを実現させるためにどうしたらいいかをともに考えていきます。
カウンセリングは、コーチングよりは概念が広いのですが、ビジネスで使われる場合は主に、生じている問題や葛藤状態に対して心理的にサポートし、「勇気づけ」を行うことを指します。部下の自己開示のために、より深い信頼関係が必要とされます。
今回はコーチングの基礎となるスキルを紹介します。
・認める
・聴く
・質問する
の3つです。
まずは「認める」
最初に紹介するスキルは、「認める=アクノリッジメント(acknowledgement)」です。
文字通り相手の存在や行動などを認める言葉、行為のことです。
相手のあるがままの状態を、事実としてそのまま受け止めることであって、それに対する評価は行なわないことが重要とされます。
家庭での一場面を例にとりましょう。
ある日、奥さんが美容院に行き、髪をカットしてきました。帰ってきた妻を見て、「髪をカットしてきたんだね」と伝えることが、「認める」です。美容院に行き、髪をカットした事実を、そのまま受け止めているからです。
ヘアスタイルが似合うかどうかをコメントすることは「評価」ですので、認める行為には不要です。
褒めることが必ずしもマイナスではないのですが、それ以前に、髪をカットしたこと自体気づかない夫が多いのです。これは妻としては大変不満です。自分の存在が認められていないと感じるからです。
これでは信頼関係が強まるはずもありません。
会社の中で部下と接する際も、まずは相手を「認める」必要があります。誉めることや叱ることは、その次の段階の話です。
相手のあるがままの状態を見て、それを相手に伝えることにより、「この人はしっかりと私を見てくれているのだ」と感じてもらうことができます。そこに安心感や信頼感が生まれるのです。
認めるスキルは非常に幅広く、チームメンバー1人ひとりへの声掛け」「相手の状況を覚えていて、それを伝える」が当てはまります。
ほかにも「相手の名前を呼んであいさつする」「相手をねぎらう」など、すでに皆さんが実践されていることも多いと思います。
続きます。