一次予防として実際によく行われている対策について少しご紹介します。
実態調査で現場でよく活用されるものは、簡易ストレス調査票などの質問紙です。
質問紙はさまざまな種類がありますので、何を評価するか、まず明確にすることは大切です。また、結果をどのように活かすかを事前に計画しておく必要があります。
質問紙調査を行うことで、従業員に「何か改善をしてくれるかも」といった期待が生じます。結果を見て担当者が満足することなく、速やかに次の対策に打って出ることが求められます。
ただ、質問紙で明らかになる実態は、多くの場合それぞれの組織の内部者には予測がついており、どのような改善が必要かも見当がついていることもよくあるため、質問紙の結果はあくまでもトップの説得材料や、予算の見積もりの裏付けといったきっかけとして用いていただくのが現実的です。
従業員の当事者意識を高めるために理想的なのは、全員が参加してブレーンストーミングで改善のアイデアを出し合ったり、アクションチェックリストを用いて改善活動を進めるといったことです。
また、個人の対処能力を向上させることも、事業場として取り組む価値があります。
通常の職務能力向上のほか、ストレス対処能力(=ストレスコーピング)の向上を目的とした研修は、効果が高いと言われています。
自分の気持ちや考えを、正直に、率直に、場にふさわしい方法で表現し、相手にも表現するよう働きかける能力を磨くアサーション、ストレスと感じる物事の捉え方自体を修正していく認知行動療法、不安やイライラといったストレス反応を減少させる自律訓練法のようなリラクゼーションなどがあります。こういった研修は、メンタルヘルス不調者の予防のみならず、三次予防である再発防止にも大きく役立ちます。
従業員間のコミュニケーションを活性化させることにもつながり、職場の活力や生産性の向上にも多大な効果をもたらすことでしょう。
こういった対策を導入する上で鍵となるのは、組織のトップによるリーダーシップと、従業員全体の主体性です。
自分たちの居場所である職場を、自分たちの手でよくしていく。一人一人がそんな気持ちを持っていただければと思っています。