性同一性障害という言葉をはじめて

聞いたのは「金八先生」の上戸彩が

演じていたときだった気がする。

心は男性なのに体が女性

今から20年以上前

まだLGBTQなんて言葉はなかった

(と思う・・・)

 

金八先生と言えばちーぼうの妊娠と

腐ったミカンの加藤と

性同一性障害の上戸彩

覚醒剤のしゅうが衝撃的だった

 

もうこんな中学の先生は絶対嫌だと

思ったわww 問題多すぎ。

 

さて、そんな懐かしいことを思い出した

この小説はマカン・マランシリーズの

「さよならの夜食カフェ」の前に

こちらを読むといいと聞いたので読んでみた

 

自分のことにしか興味がなかった龍一

しかし主将で幼なじみのタケルが

いなくなったことで退部者も相次ぎ

水泳部は廃部寸前。

残ったのは「プール好き」のアニオタ&

水中歩行要員のみ。

部の存続のため部員集めに奔走する龍一は

市民プールで水中を滑降するように

泳ぐ“人魚”を見つけた。

それは同じクラスの謎めいた美少女・雪村襟香だった。

 

この水泳部の顧問が出てくるんだけれど

柳田ぁぁ??
あの柳田だよね、とニヤつきながら読みました

 

トランスジェンダーを大きなテーマと

しつつ、中学生たちの水泳部という

部活を通しての青春小説としても描かれていて

集まってきた部員たちがまた個性的なんですよ。

 

アフリカからの留学生の子が出てくるんだけど

もうね、覚えてます? 

シドニーオリンピックだったかで

生まれてはじめて100メートルを

泳いだアフリカの選手がいたのを。

50メートルでターンしてからの先が長い

ダントツでビリ

でも会場中から応援する拍手が上がる

世界一有名な敗者って呼ばれてた気がする

あの選手を思い出すような活躍を

見せるわけです。

 

地区大会に向けての水泳部の奮闘や

新たな仲間たちの成長など多様な要素が

組み合わさっているのも魅力

でもやっぱりシャールさんが

登場したあたりからぐんと面白くなる

すごいな、なんだか急に勢いと

厚みが出てきたな。

 

ジェンダー問題だけじゃなく

貧困であるとか体型的なことだとか
誰でもそれぞれに抱えている問題があって
だれもが皆折り合いをつけながら生きている

自分だけじゃない

みんな必死で生きてるっていうね。

 

それにしても濃い。

なんて濃い中学校時代なんだ。
 

性自認についてはトイレ問題とか

スポーツの男女差の問題など

今も考えていかなければいけないことが

あるし、ちょっとそれはどうなの?

と思うことも多いんだけれど

想像力って大事だよなと感じている。

 

金八の頃から20年

それでもこの小説の中に出てくる個性的な

部員たちは男性でありたいと願う同級生を

あっさりと認めることができる

時代は流れているのかこの生徒たちが

空気を読めない人たちだからなのか。

ありのままで生きられる世界は

優しさで作られるのか。

 

いつの時代も青春は眩しいものだわ。

そしてどこかほろ苦い。

 

マカン・マランシリーズも残り1冊

早く読みたいような、よんで終わって

しまうのが淋しいような…