絆~二十三話~
卒業から約一ヶ月。
桜が満開に咲き誇って。
あたしも、症状は軽くなったけど。
退院はまだ無理みたいで。
「ゆっくり治していきましょうね?」
そう言って微笑む陵や皆の顔は、どこか悲しげで。
ああ、もう死んじゃうんだって分かってしまった。
思い過ごしなら、それでいいんだけど・・・。
「さくらちゃん、龍!
お誕生日おめでとー!」
今日は桜咲姉弟の誕生日。
お医者さんからの嫌な薬も我慢して、太鼓判を貰ったから大丈夫!
どっかの誰かさんみたいに脱走しないんだから!
「はい、陵と一緒に選んだんだけど・・・
龍にはコレ!」
陵とお揃いのストラップ・・・にしようって言ったんだけど、
それは勘弁してくださいって言われて。
仕方なく天然石のブレスレットを。
「魔除けや魂の浄化、心身共に強くなれるストーンにしました♪」
「なんや・・・魂の浄化って。
龍汚れとんの?」
笑いながら言うさくらちゃん。
うん・・・あたしも思ったよ?
でも、男同士だから合ってるのかなーって・・・。
陵はそのままの笑顔で、
「あ、僕の言う魂の浄化とは、さっさと未来さんの想いを断ち切ると言う
意味での浄化ですから♪
安心してください」
ねぇ、天然なの?
そうなの!?
思っててもそれは言うなよ!!
でも龍はふっと笑って陵を見る。
「お前こそ安心しろ。
もう奪ったりしない。
プレゼント、ありがとう」
・・・うん。
もう渡しちゃっていいのかな?
「さくらちゃんにはコレ!
ネイルセット♪」
「さくらはたくさん持っているんじゃないのか?」
身を乗り出して、並べられているネイルを見る龍。
さくらちゃんは驚いてあたしを見た。
「これ・・・全部うちが持ってない色や・・・
どうして分かったん?」
「前にさくらちゃんの部屋に行ったとき見せてもらったからねー」
「せ、せやけど100本以上あるで!?
ちょっと持ってくるわ!」
バタバタって取りに行ったさくらちゃん。
うーん・・・。
ここでは記憶力いいんだけどなぁ。
全部の色を比べても、若干違う。
3人の驚きと賞賛の言葉をもらった。
「すごいですね、未来さん」
やっぱ褒められると嬉しい/////
それからケーキを食べて、色々と遊んで。
ただ・・・ただね?
陵と龍、将棋や囲碁を始めたら決着が中々つかないんだもん。
一手を決めるのに何で10分もかかんの!?
謎すぎんだけど!!
その間あたしは、さくらちゃんにネイルをされてた。
未来の爪綺麗やなぁって言いながら。
でも、良かったな。
楽しめたし・・・ちゃんと笑えたし。
・・・ん?
あぁ、また。
痛みだ。
お腹が痛い。
でも、大丈夫だよ。
今日だけは、心配かけたくないから。
まだ、耐えられるよ。
この先、あたしは知ることになるんだ・・・。
自分の命の長さを。
そして、新たな事実を。