クラブ職人の徒然草~2 -450ページ目

頭脳と身体~思考と反射~のかい離

先日の記事で

市販クラブが

そのカタログ規格値通りには組み上げられていないこと、

正しく組み上げられているものが極めて少ないこと、

をお話しいたしました。

 

クラブのお話をしていて、「そんなん、ゴルフのプロでもあるまいし、クラブ専門家でもないねんから、わたしらアマチュアには分からん」という言葉を異口同音にたくさん聞きます。

 

「分かれへんねんからチューンナップとかしても無駄なんとちゃうん?」と。

 

 

DW,FW,UTといった「ウッドクラブ系」のクラブはヘッドボリュームがあってソールが広く、「座る」のでフェイス向きや表示に対してロフトの多い少ない、また、

ライ角がアップライト気味かフラット気味か、が視覚でまだ分かりやすいほうなのですが、

 

アイアンクラブは構えてみてもロフトが多いか少ないか、ライ角がアップライトかフラットか、フェイス向きがどうか、はほとんど分かりません。

 

これはプレースキルに関わらず、クラブの専門家かどうかに関わらず、です。

 

例えば6番、7番、8番のアイアン

ロフト角のピッチはほとんどの場合4度、4度。

ライ角のピッチはわずかに0.5度、0.5度です。

スイングバランスは同一か、コンマ数ポイントフローアップ。フローダウンはありません。

 

ロフト角が7番だけ1度立っていて、ピッチが3度、5度になっていても視覚ではほぼ判別できません。

実際のプレーでは6番の割には7番が飛び、7番の割には8番が飛ばない、という結果になるでしょう。

 

ライ角が7番だけ0.5度(1番手分)アップライトになっていて、ピッチが0度、1度になっている場合、これも視覚だけではまず判別できませんが、実際のプレーでは6番と8番に対して左曲り量の多い球筋になります。

そして、少し厚め(ダフリ気味)の当たりになります。

これは男子プロにお願いしたヒューマンテストでも証明されています。

 

スイングバランスが7番だけ軽く、または重くずれていたら、7番だけトップ気味になったりダフリ気味になったり、とインパクトのタイミングが取りにくくなります。

その影響を引き起こす「ずれ量」はどのくらい?1ポイント(D-2がD-3)?

わずか0.3ポイントです。ヘッド重量にして0.6g。これで「えらく振りにくい」か「とっても振りやすい」かという差が出ます。

 

ネックのホーゼル孔内径とシャフトの先端外形には差異(クリアランス)があり、気を付けて装着しないとシャフトがネックに傾いて付いてしまいます。

実は、市販品の多くがフェイス側に傾いて付いています。

こういうクラブは正しくアドレスを取るとほんの少しフェイスが被ります。結果、左曲りの球が出ます。が、

ほとんどのゴルファー(トッププロも含めて)はそのフェイスの被りを視覚的に認知できません。

 

ロフト角もライ角もスイングバランスもフェイス向きもすべてきちんと仕上がっている、が、7番だけネックの中に(市販品クラブの平均値である)4gの鉛を仕込んでスイングバランスを合わせた場合、7番だけ「振り心地」が明らかに違います。

そして、芯(スィートスポット)がずれていますので、同じようにフェイスセンターで打った場合、打ち心地と球の飛び方(パフォーマンス)が違います。

しかし、ほとんどのゴルファーは市販品クラブしか使ったことがないので「ゴルフクラブの振り心地ってこういうもの」としか知り得ないので認識できません。

 

以上に述べた「クラブの組立が悪いが故のズレ」のほとんどは、先ず視覚では認識できません。

その感覚や打球結果を頭脳で認識する(言語表現化する)ことのできる方も実は少ないんです。つまり、多くの方が「分からんわ」ということになります。

 

このことはプレースキルに関係ありません。

男女を問わずシード権を持っているようなトッププロでも「分からん」方はたくさんいますし、始めたばっかりの方でも「これ、こうですよね?」と認識できる方もおられます。

 

怖いことは、頭脳では感知し認識(意識・思考)に変換できなくても、身体は反射・反応している。という事実です。

 

クラブのズレに反射・反応しているからこそ、それに応じたショット結果(ほとんど場合はミスヒット、ミスショット)が出ています。

 

つまり、それは身体のほうが「正しい反射・反応」をした結果だということ。

間違ったクラブに正しい「反射」をしたからこその結果だということです。

 

ところが、それがそうと「認識」できないと、どう考えるか。

まだまだ下手や。

スイングが悪い。固まってない。

練習が足らん。

筋力・体力が不足や。

と、その原因を「自分自身」という人間側のせいにしてしまいます。

 

人間側とクラブ側、どちらを先に解決しなければならないのか。

 

答えは、実はあなた自身の身体がもうすでに出しているんです。

 

 

 

 

桔梗が丘GC

定例のなかよし会コンペ。

7:50現在、真っ白です。


飛躍の2017にするために

私どものような工房専門店

 

言い換えれば作って並べて売ってるクラブは1本たりとてないような店に

 

クラブの調整(チューンナップやリシャフト)、オーダーメイドで訪ねてこられる方

 

 

私は全ゴルファーの3%ほどではないかと思っています。

 

「そんなんは上手い人が行くとこ」

「スイング悪いから、クラブやないから行ってもしょーない」

「スイングはクラブに合わせるんや」

「メーカーもんのクラブやねんからちゃんと作ってあるはず。訳のわからん工房なんか信用でけへん」

 

そういう方が97%だということになります。

 

 

メーカーのカタログやサイトを見れば、このモデルはライ角は何度、長さは何インチ、スイングバランスはいくつ、シャフトは何、と、その規格が明記されています。

 

購入する方は

ヘッドモデルはこれでよい。

シャフトはこれでよい。スイングバランスもこのシャフトならこんなもんやろ。

長さも標準やからOK。

 

で、買うてんけど何か問題でも?ということでしょう。

 

問題その1

そのライ角で本当にあなたの体格とスイングタイプに適切ですか?専門家のフィッティング受けられましたか?

 

問題その2

グリップは薄い下巻テープ1重でとにかく付いてるだけですが、その太さであなたの手に適切ですか?

 

問題その3

そもそも、あなたが買ったそのクラブ、カタログスペック通りに仕上がってますか?全スペック計測して確認してから買いましたか?

 

問題その4

そのクラブ、そのヘッドとそのシャフトの設計性能がきっちり発揮されるように正しい組立がなされてますか?

 

その3とその4については

「そんなん、ちゃんとなってるんとちゃうの!?だって一流メーカーブランド品やで!」

だと思いますが、

 

今の阿倍野の工房を開いて10年、チューンナップやリシャフトのご依頼を受けて事前計測した一流メーカーブランドのクラブのなかで1セットたりとも(1本たりともと言ってもよい)、ちゃんとなってたクラブを見たことがありません。

 

中には番手間でライ角が逆転してしまっているものもザラにあります。

 

ロフト、ライはクラブに組みあがった後にシャフト基準で測らないと計測できません。

計測して規格値とずれているのを修正しようとすればネックを大きなテコで掴んで曲げるしかありません。

曲げれば当然ネックやトップラインやソールなどに当たり傷が付きます。

 

ショップの棚に並んでいる市販クラブにそういう当たりキズのあるもの見たことがありますか?

無くて当然です。あれば「傷物、不良品になりますから。

 

当工房の計測器の横に某国産一流メーカーのクラブから抜いたアイアンシャフトが置いてあります。

最も古くから最もポピュラーなシャフトとして今もなお世界的に使用率の硬いスチールシャフトですが、

これを直線性検査機にかけて結果をお見せすると皆さん異口同音に絶句されます。

 

「これって・・・曲がってるやん。不良品とちゃいますの!?」

「はい。シャフトメーカーとクラブメーカーの検品基準ではどうなのか知りませんが、当工房の基準では不可品です」

 

因みに申し上げれば、このシャフトモデル、当工房基準で使用可と判断できるものは100本に15本取れるかどうかです。

 

組立が悪いとフェイス向きがフックやオープンにずれます。スイートスポットがずれます。

そして、振り心地が非常にわるくなります。

 

そこに反って曲がったシャフトが付いていたら・・・・。

 

そういうクラブで正しいスイングをしたら球は正しく飛ぶでしょうか?

 

正しく飛ばそうと思ったら正しくないスイングをしなければなりません。

 

でも練習では正しく飛ばす練習をします。そのクラブを使って。

 

申し上げたいことはいつでも一つだけ。

 

正しく振って正しく打てば正しく飛ぶ(=正しく打たなければ正しく飛ばない)、そういうクラブを使って、正しい練習をしなければ上手くなるための練習にはならない。上手くなるはずがない。

 

あなたが気に入ってお買いになったクラブ、無駄にする必要はありません。きちんとした調整をしてやれば、とても良いクラブになります。

どこのメーカーのどのクラブも、ヘッドの設計とその性能は素晴らしいんです。

 

2017年を干支のごとく飛躍の年にしたいのなら、スイング作りの前にその拠り所になるクラブに目を向けてみませんか。

 

ただし、チューンナップを受けたクラブはメーカー名やモデル名が分からなくなるほどバックフェイスに鉛を貼ることになるのを覚悟してください。

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