(5巻59番 原詩)

Au chef Anglois a Nimes trop seiour,
Dever l'Espagne au secours Aenobarbe
Plusieurs mourront par Mars ouvert ce jour,
Quand en Artois faillir estoille en barbe.

 

(直訳)
 ニームに向かうイギリスの首長 非常に滞在
 赤毛の救助に向かうスペインを必要とする
 火星がその日 開く(無防備)ことによって 幾人もの人が死ぬ
 アルトア地方の中 髭の中の星がもう少しでしそうになる

 ノストラダムス特有の「肝心な部分が欠落した詩」です。
 1行目の「非常に滞在」は名詞にいきなり副詞がくっついてくるという「何が非常」なのかわからない、という内容になっています。ただ、滞在が「非常に」ということであれば、おそらく「長く滞在する」という意味ではないかと思います。
 4行目の「もう少しでしそうになる」も、結局「何」をしそうになるのか、の「何を」が欠落しています。ですが、ここもその前の単語が「髭の中の星」ですから、いわゆる「彗星」が「何かをしそうになる」ということですね。となると「彗星が地球に何かをしそうなる」となった場合、これは「衝突しそうになる」ということではないでしょうか。

 ここで「アルトア地方」についてですが、これはフランスの北部の州の旧名。ですから、ここの考え方としては、アルトア地方をギリギリ通過して、そこに落ちずに済んだ、ということか、もしくは、本来はそこに落ちるはずのものが、何か作為的なことによって落ちずに済んだ、ということでしょう。

 ただし、3行目にあるように「火星が~幾人もの人が死ぬ」とありますし「火星」は「フランス」を指すという解釈ですから、ここでは、結局、この彗星自体か、この彗星から欠け落ちた一部がアルトア地方ではない、別の場所に落ちたため、死者が出るような事態になる、という考えるのが妥当だと思います。

 そして、今の段階では、この詩は「ビスケー湾に落ちる、恐怖の天体」の話ではないかと思われます。

 

(意訳)

 不明