(2巻86番 原詩)

Naufraige a classe pres l'onde adriatique,
La terre esmeu sur l'air en terre mis;
Egypte tremble augment Mahommetique
L'Herault se rendre a crier est commis.

 

(直訳)
 アドリア海の波が押し寄せる近くで 船を難破させる
 大地の上に置かれた空気の周りで 大地の感動
 エジプトの震えがマホメットを増大させる
 嘆きに向かうエローが任命される

 まず1行目ですが「アドリア海の波」というと、8巻83番で書いたクロアチアを襲う津波ではないかと思われます。この津波が船を難破させるということですね。2行目は噴火か地震のことでしょう。


 さらに、3行目では、この津波が発生するのと、ほぼ同時期にエジプトでも地震が起きるようです。「マホメットを増大させる」というのは、他の詩でもイスラム教徒がヨーロッパに移動してくる内容のものがありますから、イスラム教徒の人たちがヨーロッパに入り込んでくるということだと考えて間違いないでしょう。であれば、難民が発生するレベルの地震がエジプトで起きるということだと思います。


 4行目の「エロー」はフランスの地中海に面した町。ノストラダムス特有の肝心な部分が省略されている書き方で、ここでは結局「何に任命されるのか分からない」んですね。話の流れからすると「難民の受け入れ先」ではないかと思うのですが、ただ、このあたりの話では津波が起きていますので、その「津波の餌食となる町」として任命されるのかも知れません。

 ただ、いずれにせよ、クロアチアの津波とほぼ同時期に、エジプトでも大きな地震が起きるという部分に関しては、間違いなさそうです。

 

(意訳)

 アドリア海で起きた津波が 周りの船を沈没させる

 2行目 地震か噴火の内容だと思われます

 エジプトでも地震が起き、ヨーロッパにイスラム教徒が入り込んでくる

 4行目 不明