(6巻59番 原詩)

Dame en fureur par rage d'adultere,
Viendra a son prince conjurer non de dire,
Mais bref cogneu sera la vitupere,
Que seront mis dixsept a martyre.

 

(直訳)
 不倫の激しい欲望によって怒り心頭の婦人
 懇願する王子に近寄り、何も言わないが
 短い平手打ちが彼女の怒りをなす
 殉教者に17が置かれること

 他の詩のときにも書きましたが、ここでもう一度。

 ここで出てくる「夫人」というのは、原詩では「dame」。
 この「dame」に女性名詞の前に付ける所有格の「ma」が入って「私の(大切な)夫人」が、いわゆる「madame(マダム)」です。ちなみに「お嬢さん」は「demoiselle(ドモアゼル)」。これに「ma」がついて「madomoiselle(マドモアゼル)」になります。

 詩の内容は、カミラ夫人と不倫を続けていたチャールズ皇太子に対して怒っている「エリザベス女王」ということで「dame」は「エリザベス女王」を指す言葉となっていたりします。

 

 4行目の「17」は、平手打ちを「17回」行った、という解釈のものもありますが、こちらでは「ダイアナ妃」のこととして解釈しています。

 

 ダイアナ妃がチャールズ皇太子と初めて出会ったのはダイアナ妃が日本で言う高校年生から高校2年生になる、その長期休暇中だそうです。ですから、高校2年の17歳になる年(正確には16歳の時)に会っているということです。

 

 ちなみに、この時には、チャールズ皇太子は、ダイアナ妃のお姉さんとの縁談が進んでいる最中で、ダイアナ妃とは、単に顔を合わせただけ。

 そして、ご存じの方も多いと思いますが、ダイアナ妃と出会う前から不倫を続けていたチャールズ皇太子は、結局、カミラ夫人と縁を断ち切ることが出来ず、そのあとダイアナ妃と離婚になってしまいます。

 

(意訳)

 チャールズ皇太子の不倫を知り、怒り心頭に達したエリザベス2世

 許しを請う皇太子に対して、何も言わず

 平手打ちで折檻する

 その皇太子への殉教者としてダイアナ妃が選ばれる