(1巻9番 原詩) 

De l'Orient viendra le coeur punique
Facher Adrie & les hoirs Romulides
Accompagné de la classe Libique
Trembler Mellites et proches Isles vuides.

 

(直訳)
 オリエントからカルタゴの姉妹がやってくる
 Adrieを怒らせ ロムルスの相続人たち
 リビアの船に付き添い
 兵士を震わせ 親戚の島を空っぽにする

 まずは、用語の説明から。
 カルタゴは、はじめローマ帝国を征服しようとしたのですが、最終的にはローマに征服されてしまった国。
(詳しくは↓)
カルタゴ - Wikipedia

 ロムルスは伝説上のローマ王国の初代の王様
(詳しくは↓)
ロームルス - Wikipedia

 リビアは現在のリビアと同じ、地中海に面したアフリカの国です。

リビア - Wikipedia


 「Adrie」だけは、正確には分からないのですが、今の段階では「アドリア海」の事を指しているか、もしくは、その周辺の国を指しているのではないかと考えています。

 そこで、1行目ですが、オリエントからローマを征服しようとする姉妹がやってくるという意味でしょう。
 ローマを征服しようとする「女の子」が実際に出てくると考えるよりも、ここでは、オリエントが出てきていて、その姉妹と言うことですから、女性名詞として扱われる「サントリーニ島」の関係であろうと思われます。
 そして、リビアを回って、船を引き連れてやってくるようですから、おそらく、サントリーニ島の噴火で発生する津波の事を「(サントリーニ島の)姉妹」と表しているのではないでしょうか。

 このサントリーニ島の噴火による津波が、一旦、アフリカの沿岸に到達し、それが跳ね返って、今度は、イタリア方面に向かって行くと考えると、津波自体は、アフリカから来たように見えますから「カルタゴ」と言う言葉を使ったのではないか。そして、その津波が、一旦、リビアの船を巻き込んで、そのままイタリアに到達するということではないか、と考えられます。
 それが「リビアの船に付き添い」という表現になっていると考えています。

 その津波の恐怖で「兵士が震え」、シチリア島などのイタリア周辺の島を根こそぎ「空っぽ」にしてしまう~島の飲み込んでしまうほどの規模の津波である~という話になっているという話でしょう。

 親戚の島というのは「サントリーニ島と親戚」ということで、イタリアの火山のことを指していると考えていいと思います。おそらく、イタリアの南側に出来る火口から盛り上がってできる火山ではないかと思われます。

 ノストラダムスは、この「人類に対して被害を与える天変地異」を起こしているものを「血統」や「悪の仲間」というように、一団として考えているような表現が多いんです。そして「血統=親戚」と考えてもおかしくはない、ということですね。

 

(意訳)

 ギリシャ方面から、サントリーニ島の噴火による津波がやってくる

 (不明) ローマを支配したロムルスのようにイタリアを支配しに

 リビアの船を巻き込み 兵士たちを恐怖に陥れ

 イタリアの南部に出来た火山の周辺を飲み込んで、無人にしてしまう