(2巻19番 原詩)
Nouveaux venus, lieu basty sans defence
Occuper place par lors inhabitable,
Prez, maisons, champs, villes, prendre à plaisance,
Faim, peste, guerre, arpent long labourable.
(直訳)
新参者 守りのない十分な場所
その当時、居住に適した場所を占領し
祈り 家 畑 町 心地よさを手に入れる
飢え ペスト 戦い 耕作に適した広い農地
ここで、この詩は、何の事を言っているのか、ちょっと考えてみてください。
それで、そもそもの話なのですが「詩」というものは、そのものを直接書くことも、もちろんありますが、普通は、何か比喩表現を使ったり、そのときの様子だけを書いたりして、結局、何のことを言っているのかが分かる、という構成になっているものも多いと思います。ですから、ノストラダムスの詩でも「あ、これは、このことだな」とイメージとして感じる、ということは、とても大事だと思うんですね。
それで、自分がこの詩を読んだときにフッと入ってきたのが「清教徒のアメリカ移住」なんですよ。1行目、2行目ですが、ヨーロッパとは違い、誰もが自由に使える広大な土地があり、最初のうちは食料の確保も難しかったでしょうし、先住民族との戦いもありました。
ここではペストと書いていますが、ノストラダムスは、感染症のことを指して「ペスト」と言っているようで、後に起こる大災害のことを表す詩でも「ペスト」という言葉をつかっています。
それでは、アメリカで感染症というと何があるか、ということですが、一説では「梅毒」は元々アメリカ先住民が持っていた病気で、コロンブス一行がヨーロッパに広めたという説があります。
また、インフルエンザで有名な「スペイン風邪」。これも、本当は「アメリカで発生したものがスペインで爆発的に流行したため、このような名前がついた」という話が一般的です。
また、当時、プロテスタントは、カトリックから目の敵にされて迫害され、無実の罪で火あぶりの刑にされていた人もいました。そのプロテスタントがアメリカに移住し、自分たちの「祈り」と共に「家」や「畑」を手に入れ、さらには、町がドンドンできていきました。全く、違和感なく合致すると思います。
ですから、この詩は「アメリカのプロテスタント移住と、その後のアメリカの様子が書かれている」という解釈です。
ということは、ノストラダムスは1550年代に1620年のピルグリム・ファーザーズの事を預言していることになるんですね。
(意訳)
所有者のいない土地に、プロテスタントがやってくる
そのときに、アメリカに住み着いて(カトリックに迫害から逃れて)
信仰の自由と畑を手に入れ街を作り上げ、快適に過ごす
時には飢えやアメリカ発祥の梅毒やスペイン風邪などの感染症、
先住民との戦いなどがあったが、それを経て広い土地を手に入れる