(6巻19番)

La vray flamme engloutira la dame,
Qui voudra mettre les Innocens a feu,
Pres de l'assaut l'exercite s'enflamme,
Quant dans Seville monstre en boeuf sera veu.

 

(直訳)
 真の炎が婦人を飲み込む
 潔白を火の中に置きたいと思い
 襲撃の近くで 興奮が燃え上がらせる
 セビリアで牛に乗った怪物がみられるとき

 1行目の婦人が「dame」になっています。 再びキーワードの「dame」が出てきていますね。
 ここで、ちょっと単語の解説を入れると、この「dame」に女性名詞の前に付ける所有格の「ma」が入って「私の(大切な)夫人」が、いわゆる「madame(マダム)」です。ちなみに「お嬢さん」は「demoiselle(ドモアゼル)」。これに「ma」がついて「madomoiselle(マドモアゼル)」になります。

 

 そして、1行目の「真の炎が婦人を飲み込む」というフレーズ。2行目では、この婦人は「何か過去に疑われる行為をしていたため、その潔白を証明しようとしている」ようです。

 となると、6巻63番の「エリザベス二世」のときに「大いなる幸福により 統治する」と書かれていたのと比べると「火に巻き込まれ、疑われている」様子の、ここで出てくるdameとは、ニュアンスが違っていますね。

 ですから、ここで出てくるdameはエリザベス二世とは、別人である可能性が高いんです。

 

 また、後述しますが、他の詩に出てくるdameで「エリザベス一世」を指していると思われるものがあり、また、スペインの「エリザベート」を指していると指摘されているものもありますから、決してdameの指している人物は、一人だけではない、ということになります。

 そして、この「dame」が指している人に共通している部分を考えてみると、どうやら、イギリス出身の「女王レベルの身分の女性」を指している、ということのようです。現時点では、そのように捉えておこうと思います。

 となると、エリザベス女王が他界した後、その後を継ぐdameが現れる、と考えた方が辻褄があいます。そして、そのdameが、この詩に書かれている「炎に巻き込まれて」死んでしまうdameではないかと思うんですね。さらに、何よりもノストラダムスは終末の大災害をその時代に生きる人たちに伝えるため、この預言書を書いているわけで、そこに関係する場所や人間を、こうした「太陽・金星」という天体や「dame」のようなキーワードで表していますから、キーワードで出てくる以上、やはり大災害のときに該当する誰かがいるはずなんです。

 それで、ここからが、大胆予測なんですが、エリザベス女王が他界した後、後を継ぐのはチャールズ皇太子の以前の不倫相手で、現在は奥さんになっている「カミラさん」ではないかと思うんですね。

 

 それで、この「カミラさん」、チャールズ皇太子の不倫の際の報道では必ず「Mrs.(Camilla)」と書かれていて、日本語訳では通常「カミラ夫人」と呼ばれていたんです。これ、フランス語に直すと「Madam(Camilla)」になりますから、それを知っていたノストラダムスは最後の女王を見越してdameのキーワードを当てたのではないかと思うんですね。

 となると、エリザベス女王が他界した後、このカミラさんがイギリスの女王になるのではないかということです。さらに付け加えると、改名して「エリザベス三世」を名乗る可能性があります。

 

(意訳)

 不明