今回は、ある「子供」の話です。

 

(1巻65番 原詩)

Enfant sans mains, jamais veu si grand foudre,
L'enfant Royal au jeu d'esteuf blessé:
Au puy briséz, fulgures allant moudre,
Trois sur les chaines par le milieu troussé.

 

(直訳)
 手のない子供 今までにこんなに大きな稲妻をみたことがあっただろうか
 傷つけながらボール遊びをする 王家の子供
 オーベルニュ地方の山や丘をめちゃくちゃにし 周りの閃光が粉にする
 中央が持ち上げらることによって 鎖の上の3

 さて、今回の子供はかなりスーパーです。手が無いのにボール遊びをしてオーベルニュ地方の山や丘をめちゃくちゃにしてしまうんですね。でも、実際にそういう子供がいるわけがありません。これも、前に話した「自然現象の比喩表現」。もちろん、イタリアの火山の噴火~というより、子供ですから、まだ、火山になる前の平地が噴火して起きる状況です。


 1行目は、噴火によって発生する稲妻のこと。
 2行目は、噴火口がするボール遊びですから、かなり大きな火山弾が噴出されると考えていいと思います。


 そして、3行目。この火山弾がオーベルニュ地方にまで降ってくるようです。原詩の単語は「puy」。オーベルニュ地方の山や丘の一帯を指す方言だそうです。オーベルニュ地方というのは、フランスの中央あたりの地域。

オーヴェルニュ地域圏 - Wikipedia

 ということは、イタリアの噴火で火山弾がフランスまで届くということになります。かなり大きな噴火になるということですね。
 4行目の「中央が持ち上げられる」は、噴火によって、火口の一帯が盛り上がり、徐々に山になっていく状況ではないかと思われます。最後の「鎖の上の3」については、後で述べることになりますが、今の段階では「火口が3つ出来る」ため、その3つを指すと思っていてください。

 さて、ここで、ちょっと押さえておきたいのは「王家の子供」ということです。「王家の子供」ですから、これから育って行くと「王子」という扱いになりますね。さらに「王子」はやがて「王様」になります。さらには爵位なども与えられたりしますよね。ということは、この山が育っていくにしたがって、名称が変わってくるということなんです。

 もう一つは、1行目の「手のない」という意味です。これについても、後の詩と関連してきますから、この点を記憶にとどめておいてください。

 

(意訳)

 1行目(のちに解釈します)

 火山弾を降らし、周囲被害を与える イタリアの火山

 オーベルニュ地方にまで火山弾を降らし(以下不明)

 4行目(不明)