(5巻61番 原詩)

L'enfant du grand n'estant a sa naissance,
Subjuera les hauts monts Apennis,
Fera trembler tous ceux de la balance,
Et des Monts Feurs jusques a Mont Cenis

 

(直訳))
 偉大なるものの子供は誕生で立ち上がらない
 高いアペニン山脈を征服し
 均衡のとれたそのすべてのものを揺らす
 そして、フールの丘からモンスニ峠まで

 詩の内容に行く前に、まず、言葉の説明から行きますが「アペニン山脈」とは、イタリアの背骨に当たる山脈。「モンスニ峠」はフランスとイタリアの国境付近の峠。「フールの丘」は「モンスニ峠」より西方に位置するフランスの地名です。

アペニン山脈 - Wikipedia

モン・スニ峠 - Wikipedia

フールス - ウィキペディア (wikipedia.org)

(フールスについては、フランス語のページです)


 それで、詩の内容を見てみると、ここで「子供」が登場しています。ところが、この子供、かなりスーパーで、アペニン山脈を征服するようです。さらには、均衡のとれたすべてのものを揺らしてしまうんです。すごいでしょ。こんな子供、実際にいますか? という話です。


 ということで、これは、ノストラダムスの「自然現象の擬人化」と考えるのが順当でしょう。
 すると、この子供は「揺らす」わけですから、地震を起こすものですね。「誕生で立ち上がらない」ということは、今後、「立ち上がっていく」可能性がある、ということです。

 それで、この詩だけでは、ここまでしか分からないのですが、他の詩では、今後、この子供は「王子」になり「王」になり「侯爵」になり、どんどん、育っていくんです。そして、最終的に「アペニン山脈」を征服するようになるんです。

 それは何か、というと、「イタリアに出来る新たな火山」なんです。

 「アペニン山脈を征服する」ということなんですが、アペニン山脈は標高はそれほど高くなく、だいたい2000メートル級。それを征服するように見えるくらいまで大きくなるという訳ですから、イメージとしては富士山くらいでしょうか。3000~4000メートル級の山になると考えられます。実際に、富士山自体も噴火によって出来上がっているわけですから、それと同じ現象が現代で起こってもおかしくはない、ということですね。

 

 さらに1行目では、生まれてすぐに「立ち上がらない」ということですから、もしも、最初から山になっているのであれば、それは「立ち上がっている」ということになるので、最初、火口が出来る場所は、比較的なだらかな平地である、ということになります。そこから噴火を起こしながらだんだん大きくなっていく、と考えていいでしょう。

 

(意訳)

 イタリアで火口が平地に出来る
 その火口が噴火し、後にアペニン山脈を征服しているように見えるほど高い山になる
 噴火の際には、大きな地震を起こし

 その揺れはフランスのフールの丘からモンスニ峠まで達する