今回は「金星」の指すものを特定していきたいと思います。

 

(5巻72番)

Pour le plaisir d'edict voluptueux,
On meslera la poison dans la loy:
Venus sera en cours si vertueux,
Qu obsuquera Soleil tout aloy.

(直訳)
 快楽を法によって命じられる喜びに向かい
 人々は法の中に毒を混ぜる
 金星は、その高潔な裁判所にいる
 太陽のすべての金位をobsuqueraすること

 4行目に分からない単語が出てくるのですが、ここでは一旦、その話を置いといて、3行目に出てくる「金星」を追求します。
 それで、ノストラダムスは、国や地域を指すのにビザンチンなどの古い名称を使うことが多いのですが、それは、おそらく「ヨーロッパの国」は一定ではないからだと思っています。実際に、現在ではチェコスロバキアという国名はありません。ノストラダムスのいた時代とは領土が変わっている国もあります。そういったことから、古い名称で表記するという手法を使ったのでしょう。

 そして、もう一つ。大災害が起きるときに、国として存在しているところを、天体の名称を用いて表しているケースがあり、今まで出てきたものでは「太陽」は日本など。もちろん、惑星の水星・金星・火星・木星・土星なども、占星術から日時を特定するための天体として出てくる以外に、どこかの「国」として表している場合も多く、大災害の話になると、この惑星名が多数出てきます。ですから、この惑星がどの国を指すのか、ということを特定することが、今後の解釈上、非常に大事になるんですね。

 そこで、詩を見てください。3行目にあるように「金星が裁判所にいる」と言うこと自体、もうすでに、金星は天体を指しているわけではありませんね。おそらく、どこかの国を指しているはずです。さらに「金星」という惑星名を使っているということは、大災害が起きるときに一つの国として存在しているところ、ということになりますから、今、現在、国として存在している所のどこかです。そして、現在国として存在しているところが詩の内容に書かれているということは、ここに書かれている内容は、近代以降に起こった内容であるということにもなります。

 それでは、国が裁判所にいたというのは、どういうことか。
 となると、これは、ケースとして一つしかありません。戦後の国を裁く裁判です。さらに、4行目には太陽がありますから、日本がかかわっていた可能性があります。そこで、日本の近代で起きた、裁判が絡んでくるレベルの戦争と言うと、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、日中戦争、第二次世界大戦(太平洋戦争)の5つ。


 そのうち、ノストラダムスがもし、アジアの中で起きた戦争の事を指し示そうとした場合は、何らかの形で「アジア」という用語を入れてくるはずですし、ノストラダムスの預言書自体、基本ヨーロッパが中心になっています。また「火星」のときにも書きましたが、この戦争の時と大災害が起きるときと、国名や領土が一致するところに、この惑星名を当てているようです。となると「ソ連」が「ロシア」に変わる現在の「ロシア」と、「清」、「中華民国」、「中華人民共和国」と名前が変わる中国は、当てはまらないということになります。ですから、日清・日露・日中戦争は除外してもいいだろう、と思います。となると、残るのは第一次世界大戦と第二次世界大戦。


 そうすると、日本の立場で考えると第一次世界大戦は戦勝国側、第二次世界大戦で考えると敗戦国側になりますが、第一次・第二次とも敗戦国になって裁判にかけられた国があります。もちろん、ドイツですよね。場合によっては、オーストリアなどドイツの周辺国まで含めたエリア、それが「金星」の指す国ではないか、ということになります。

 すると詩の意味は、1・2行目で、戦勝国側が自分たちに都合のいい法律で敗戦国を裁き、それによってドイツ・日本は、このようになった、という話になっているものと思われます。

 

 したがって、「金星」は「ドイツ」を指す、というのが今回の結論になります。

 

(意訳)

 戦勝国の立場を使い敗戦国を貶める喜びに浸り

 戦勝国に都合のいい内容を法律に取り入れる

 ドイツはその裁判に臨み

 日本は(以下 不明)