今回も、この詩から後の解釈のヒントを探そうという話です。

(1巻23番 原詩)
Au mois troisiesme se levant le Soleil,
Sanglier, Leopard, aux champs Mars pour combatre,
Leopard lassé, au Ciel esttena son oeil,
Un Aigle autour du Soleil voit sesbatre.


(直訳)
 三月に向かい、太陽は自らの夜明け
 戦いのため火星に向かうイノシシ、ヒョウ
 ヒョウは疲れて天に目を向け
 太陽の周りの鷲が大きな音を立てるのを見る

 そこで、まず、4行目を見てください。「太陽の周りの鷲」というフレーズが出てきます。太陽は一つ前の内容で「日本を指す」ということを書きましたが、その解釈を当てはめると「日本の周りに鷲が飛んで」いて、その鷲が「大きな音を立てる」ということです。そして、ここで出てくる鷲も、本物の鷲ではないでしょう。大きな音を立てる鷲なんて聞いたことがありません。ですから、ここでは「何か空を飛んでいるもの」と考えた方がいいでしょう。

 

 となると、やはり、飛行機ではないか、ということですね。ノストラダムスの時代には無かったものですから、このように動物を当てはめて表現しているのだろうと考えた方がいいと思います。
 すると、4行目は「日本の周りで飛行機が大きな音を立てる」という意味になりますね。それで、今までの歴史で、こういうこと、何かなかっただろうか? と考えてみます。

 そして、ここまでくると「おっ」と思った方もいらっしゃるのではないかと思います。

 そうです。「原爆投下」を指しているようなんです。そこで、この詩は「第二次世界大戦」のことを言っているのではないか、と推測できますね。すると2行目の「イノシシ」「ヒョウ」も、動物ではなく、何か、ノストラダムスの時代には無かった乗り物を指しているのではないか、ということになります。陸上を走る動物ですから、当然、車両と考えます。

 となれば、陸上を走るもので第二次世界大戦中「戦いにために向かって行ったもの」となれば、おそらく「戦車」のことでしょう。

 すると「ヒョウ」に関しては、プラモデルで戦車を作った経験のある人は、ご存じだと思うのですが、当時のドイツの戦車の名前は「ネコ科の動物の名前」がつけられていました。最初は「パンサー」。オーストリア併合のときに、威嚇のためライン川沿いにビッシリ並べられた戦車が、この「パンサー中戦車」なんだそうです。そして、ドイツの戦車と言って、プラモデルのタミヤの「35分の1 ミリタリーミニチュアシリーズ」で最も人気があったと思われるのが、おそらく「タイガーⅠ型」。攻撃力を重視した大型の「重戦車」で、ドイツの主力戦車の一つ。

 ちなみに、詩に出てくる「ヒョウ」の意味の「レオバルド」も戦車として実在しています。ただ、この「レオバルド」は、第二次世界大戦後に生産されています。

 また「イノシシ」については、これはおそらく「自走砲」のことではないかと思います。自走砲と言うのは、装甲車の前面に大砲がつけられただけの戦車。イメージが湧かない方はこちらで確認して見てください。
https://tamiya.com/japan/products/30607/index.html


 有名なのが、アフリカ戦線でドイツに勝利をもたらしたロンメルという将軍がいて、その将軍の名前がニックネームとしてつけられた「ロンメル自走砲(正式名は「ヤークトパンサー」)」。

 実際に、このときの様子が映像に残っているのですが、それを見てみると、アフリカの砂漠を砂煙をあげ、大砲をバンバン撃ちながら、敵に向かって突撃しているシーンが出てくるんです。その様子を見て「これを動物に例えなさい」と言われたら、ノストラダムスでなくても、誰でも「イノシシ」と言うと思います。まさに「猪突猛進」。

 すると、1行目は「第二次世界大戦中、日本が調子が良かった時」の事を指しているように思われます。

 それで、3月に何があったか、ということなんですが、実は、この3月に、重大なことが起きているんです。アメリカ軍側の戦況が悪化し、マッカーサーが魚雷艇に乗ってフィリピンから脱出したのが3月なんです。そして、そのまま「オーストラリア軍の支援」という名目でオーストラリアについたときにマッカーサーが言ったのが、有名な「I shall return」なんですね。当然、アメリカ側の抵抗が減少し、日本が東南アジア方面に大きく占領地を広げていくことになります。

 ここまでくると、この詩は「最初、調子が良かった日本が、最終的には原爆が投下されることになった」という話をまとめている内容になっているということ。そして、時を同じくして、ドイツ軍も戦車を導入して戦いに向かわせていったが、その戦車も最終的には破壊され「天を仰ぐ」ようになってしまったということです。

 さて、ここで大事になってくることは、まず「鷲」。
 実は、このあとも度々「鷲」が出てくるのですが、実はアメリカの国章は「鷲」。1ドル紙幣には「双頭の鷲」も描かれています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%9B%BD%E7%AB%A0

 ですから、今後「鷲」がでてきたら、アメリカ国籍の飛行機、特に軍用機を指すと考えていくことができます。
 また、動物が出てきた場合、それは「ノストラダムスの時代には無かった乗り物を指すことがある」ということ。


 そして、詩の二行目にでてくる「火星」。これもまた、どこかの国や地域を表していると考えられます。それは、どこか。

 

 まず、ドイツ軍が戦車を向かわせたのは、大きく2か所。東部戦線で戦った、当時の「ソビエト連邦」と、フランスと戦った西部戦線。西部戦線の「パリ陥落」は有名ですね。

 このうち、どちらが「火星」に当たるのか、ということですが、これは、結論から言うとフランスです。

 

 なぜかというと、後の大災害のときにも同様に「火星」と言う言葉が使われていますから、この第二次世界大戦のときと大災害のときが、同じ国でなければならないだろう、ということです。

 ところが、ソビエトは解体し、現在はロシアと名称が変わっています。また、国の範囲も変わっていますよね。こういう場合、例えば、国名も領土の範囲も変わってしまった「クロアチア」のような場合だと、ノストラダムスは「ビザンチン」など、昔の国名や領土名を使うんですよ。ですから、ロシアを「火星」という可能性は極めて低い。したがって、火星はフランス、ということになります。


 この点が、今後、ノストラダムスの詩を読み解くのに重要になってくるということですね。

 

(意訳)

 (第二次世界大戦中)日本は、マッカーサーが撤退した3月から攻勢を強め
 ドイツ軍は、フランスに戦車で侵攻する
 やがて、ドイツの戦車は破壊され
 日本にはBー29爆撃機によって原爆が落とされる