それでは、今回は、今後、どういう事が起きるのか、ということをお話しようと思います。まずは、次の詩を見てください。

 

(1巻49番 原詩)

Beaucoup, beaucoup avant telles menees,
Ceux d'Orient par la vertu lunaire,
L'An mil sept cens feront grands emmenees,
Subjugant presque le coin Aquilonaire.

 

(直訳)

 これらのことが起こる、ずっとずっと前
 月のように見える美徳による東洋のもの。
 1700年に群衆が持ち去られ
 北風が吹く隅々までを、ほとんど征服する

 

 書いてある内容は、だいたい想像できると思うのですが「これらのこと」が指すのは、これから起こる世界規模の災害の事です。そのずっとずっと前に、群衆が持ち去れるような被害が起きていて、北半球全体を征服したような状態になっているということです。

 ここで過去に起きたことを述べているということは、「アンゴルモアの大王を再び出現させる=以前、地球に起こったことが、再び起こる」という意味になりますから、以前、地球に起きていた大きな災害を示唆していると考えることができます。


 じゃあ、1700年に世界的な規模の災害が起きているか、というと、いろいろ調べてみたのですが、そのようなことは一切ないんです。それで、一部では「ノストラダムスの預言のはずれではないか」という話になっていたりするんです。

 それで、自分もいろいろ考えてみました。それで、まず気になったのは、この1行目で「ずっと、ずっと前に」とわざわざ「ずっと」を強調していることなんです。

 例えば、実際に災害が起きるのが2050年前後とした場合、1700年の事を「預言書を書いた1550年代の段階」で、こんな強調の仕方をするかな? と思ったんですね。原文でもちゃんと「Beaucoup beaucoup」と2回も繰り返しているんですよ。ですから、本当は、もっと前の時代の話なのではないかと考えたんです。そして、ノストラダムスって、未来の映像を見ることができるわけですから、それであれば、過去の映像も見ることができるのではないかと思ったわけですよ。すると預言書を書いた1555年より過去の1700年と言えば、紀元後ではなく「紀元前1700年」の事となりますよね。

 それで、紀元前1700年ごろに何か世界的な災害が起きていないかと思って探してみたんですね。


 そうしたら、ありました。紀元前1628ごろと推定されているのですが、ギリシャのサントリーニ島が大規模な噴火を起こしているんです。ミノア噴火と言って、一説では、この噴火によってクレタ文明(ミノア文明)が消滅したのではないか、という話なんですね。

 もちろん、紀元前1700年と少し年数が離れているのですが、大きな噴火を起こしたのが紀元前1628年というだけで、それまでも小規模な噴火を起こしていた可能性がありますし、この紀元前1628年という推定にも年数が開きがある可能性があります。

 そこで、詩の内容ですが、2行目に「月の美徳」と書いていますね。このサントリーニ島、「島」とついているように、実は海底火山で、噴火口の一部が海面に出ていて島になってるんです。そして、その島の形が三日月型で現地では月に例えられてもいるんですよね。さらに原文では東洋を「オリエント」と書いているのですが、古代ではギリシャ方面をオリエントと言っていたのも合致します。


 さらに、この噴火の時の火山灰ですがカナダの地層からも確認されているそうです。

 この「カナダで確認されている」というところが大切で、カナダで確認されているということは、ヨーロッパは偏西風ですから、噴煙はギリシャから東の方に流れるはず。それがカナダまで届いたということは、北半球をぐるっと一周してカナダに届いているということなんです。

 さらに言うと、中国の古代の歴史書には、この噴火と同時期に「夏でも川が凍った」という記載があるそうです。要するに噴煙が太陽光を遮断してしまって、夏でも氷が張るような大寒波が来ているんだそうです。当然、飢餓が襲い、これで多数の人が命を失っています。これで、3,4行目の内容に合致するんですよ。

 

 また、もう一つは、歴史で習った「ゲルマン民族の大移動」ですが「なぜ、この移動が起こったのか」ということは、現時点でもハッキリとした根拠はありません。ただ、その「移動の原因」となった仮説の中に「サントリーニ島の噴煙が地球を一周しヨーロッパの北部方面に達したため、寒冷化が進み、それによってゲルマン民族が南下したのではないか」と説もあります。

 それで、この詩を意訳してみます。

 

(意訳)

 世界的な大災害が起きるずっと前に

 今では「月」に例えられ、風光明媚な観光地となっているギリシャのサントリーニ島

 このサントリーニ島は紀元前1700年あたりで大噴火を起こし、人々の命を多数奪ってきた

 その噴煙は、北半球のほとんどを征服したように覆ったのである

 ということで、ここで結論。

 「アンゴルモアの大王」は「サントリーニ島」です。

 ちなみに、この紀元前1700年というのも、後の解釈に関係してきますから、年号も覚えておいてください。