最近、集中的に統合失調症関連の本を4冊ほど読んだ。



弟が統合失調症になったのは、平成の初めの頃だった。その頃は、弟の病気が良くならないか、家庭内暴力が収まらないかと、とにかく何とかしようと思っていろいろ調べたり、いろんなところに相談しにも行った。



しかし、病状が悪いところで安定してしまってからは、もうあまり何もしなくなった。私自身が学習性無力感になり、何をやっても無駄だと思ったからである。



弟が病気にかかった平成の初めの頃は、統合失調症に関する本、特に一般の人が読んで理解できるように、優しくかつ詳しく書いている本はあまりなかったように思う。



久しぶりに、現在の統合失調症に関する本を読んでみると、2006年に障害者自立支援法が改正されたり、複数の法律が統合されてよりパワーアップ(障害者総合支援法・2013年4月から)したりして、当事者の支援の体制がかなり整っていることに気がついた。



弟の統合失調症に関して、公的機関を頼ると言うことを諦めた後、公的機関のほうは、少しずつ対応が改善されて、役に立つ存在へと変わっていたことに驚いた。



私と同じように、平成の終わりに家族が病気を発症し、何をやっても救われない状況の中で諦めたまま今日に至る人も多いと思う。



状況は更新されているので、自分たちの周りでも、助けになってくれる存在がないか、もう1度見回してみる必要があるように思った。



今私と同じような状況に置かれている方も、もう一度公的機関に頼ると言うことを選択肢に入れて見られてはどうかと思う。




複数の図書で紹介されていたのは



相談の窓口としては、(私が相談に行った当時の保健所は、次のステップにつながることもなく何の役にも立たなかったが)



今は保健所、保健センター、精神保健福祉センター、障害者福祉課、地域活動支援センターなど、(地域によって名称が違うだけかもしれないが)いろんな窓口がある。




また、家族の支援として、家族教室、家族のための勉強会、家族心理教育プログラムなどがある。これらのプログラムは、当事者がかかっている病院が主催していることが多い。




現在、本人への支援としては、通院による薬物療法と共にリハビリが重要とされている(これも、弟はリハビリには行っていないので、私は知らなかった)。



リハビリの種類としては、デイケア、グループホーム、作業所などで行われる社会生活訓練、社会生活技能訓練(SST:ソーシャルスキルズトレーニング)、また、家の中の片付けなどのサービスとして、ホームヘルプサービス等がある。



医師との対話もリハビリの1つではあるらしいが、弟がやっているのは、月1の通院だけである。



総合失調症に関する本では、病気になった後、社会との接点を持てるようにあるいは自分で家事など身の回りのことができるように、リハビリや訓練をした後で、次のステップ(アルバイトを始めるなど)に進むと言うふうに書かれていた。




しかし、弟はいつ不安定な状態になるかわからない状況で、いきなり大学を目指しており、今は健常者のふりをして、予備校の夏季講習に行ったり、自習室に通ったりしている。




母は弟を病気とは認めず、家族以外に接触する人間がいないわけではないと言っており、弟の事はいろいろな可能性を持つ素晴らしい存在だと過大評価しているので、私は話半分で聞いている。




多くの本では、統合失調症が悪化する原因として、勝手な薬の中断や分量の調整と同じ位のリスクとして、強度のストレスが挙げられていた。



強度のストレスの具体例としては、家族の死去、受験の失敗、大学進学・通学、就職活動、就職、一人暮らし、失恋、結婚、妊娠、出産など人生の節目となるような経験である。




それほど遠い未来とも思えないが、母や姉妹など家族がいなくなった後、本人が困るのは明らかなので「こうした社会的支援の窓口とは今のうちから関わりを持った方が良い」と母には言ってみたが



「息子はアホではないし、病気でもないので一切必要ない。そんなこと言ってくるあんたがキチガイや」と言われた。



母は、息子が精神障害者手帳(2級)を持っている事は認めているが、息子は統合失調症ではないし、時々暴力を振るうが、普通の良い子だと思っている。



私が鬱になりそうだ。