統合失調症の患者本人が、統合失調症になったきっかけを振り返ると言うちょっと切り口の違う本がある。



その中に、大学に行くのがきっかけになったケースが紹介されていた。要約すると



彼が大学通学に要した時間は往復5時間である。毎日の往復5時間の移動に加えて、勉強も大変だったため、徐々に疲労が蓄積。



さらに周囲の人から言われた悪口が心の中で増殖し(妄想と幻聴)、寝られなくなり、夜は家から飛び出して走り回ると言う奇行。



結局大学は3年生で中退し就職するが、会社に病気がばれて即クビ。



さらに具合が良くなったと勘違いして、薬を飲まなくなり、症状が悪化して入院。



その後、いくつかの職を点々としているが、60歳を超えた今は清掃員として働きながら通信制大学の勉強をして前向きに生きている



ということだった。




この人が偉いと思うのは、ずっと自立を目指している点である。




両親は既に他界されているが、自分の体調と相談しながら、自分の生きる道を模索し、生活保護を受けながらではあるが、慎ましく将来に希望を持って生活している。




大学に通う位なので、頭が悪いわけではないと思うが、本人は頭を使わない方が統合失調症の症状の悪化は避けられると考えているようである。




このほかにも、大学進学を契機として、統合失調症が悪化してしまうケースがいくつか紹介されていた。




弟を見ていても思うが、統合失調症の患者さんは、とにかく繊細なように思う。



さらにストレス耐性が弱く、自意識が過剰(プライドが高め)で人目を気にする人が多いように思う。



弟は今大学進学を目指しているが、大学に入る迄ですらとてつもないストレスで、大学に入った後は、それとは比較にならないストレスにさらされるのが容易に推測できる。




ちなみに弟の第一志望の大学は往復6時間弱である。




心配なのは「できない自分」を何度も自覚するような経験を繰り返すと、強力な自己否定の観念がこびりついてしまい、そのうち何をする気も起きなくなることである。




親や姉妹が生きているうちは支えてくれる人がいて何とかなるかもしれないが「独りになったときの対応も今から考えて置くべきだ」と弟には言ってきた。



しかし、これまで弟に意見するとすぐに家庭内暴力(DV)に発展してしまったのでそれも言えない。



結局は、なるようにしかならないと言うことか。