⭕️ハウス加賀谷さんが統合失調症の症状を悪化させて入った施設は、精神科閉鎖病棟である。しかも、自分自身と他者に危害を加える可能性があったため、まず保護室(檻付きの個室)に入ることに。保護室では、かなり強力な薬剤投与が行われた。


✳️以前、弟が実家で大暴れした際に、入れられたのが今も弟がかかっている病院である。


✳️この時は、1ヵ月ぐらい入っていたような記憶があるが、おそらく閉鎖病棟だったのではないかと思う。弟はその時のことを未だに根に持っている(そもそも弟の自業自得である)。


✳️弟のいない実家は、何十年ぶりかの平和を取り戻していた。とにかく、弟が統合失調症を発症して以降は、程度の差こそあれ、ずっと地獄だったため、あの時の家の中の平和な空気は今も忘れられない。




⭕️(話が前後しているかもしれないが)ハウス加賀谷さんの場合も、自分の病名を知ったのは症状が出てからだいぶ経ってからの事だった。


✳️うちの弟の場合も、症状が出始めてから、病院にかかるまでが3年ぐらいかかっているかもしれない。さらに統合失調症と診断されたのはそれからまだ先だったような気がする。


✳️統合失調症は、病院にかかる時も患者側としてはハードルが高いし、統合失調症と診断されるまでしばらく家族が右往左往する(地獄を見る)可能性が高い病気だ。


✳️とは言え、なんだかおかしいと気がついた時点で、本人に病院に行くように誘導したり、それと並行して、患者の家族も精神疾患に関する知識を蓄えていくのも大切である。


✳️この病気は、早く病院にたどり着き、早く治療を始める方が(患者本人にとってもまた同居する家族にとっても、患者本人に夜中に暴れられて起こされる近所の人にとっても)誰にとっても幸せである。



⭕️保護室(1人部屋)から大部屋へ。

6人部屋ともなると人間関係も大変である。ここでも幻聴で辛い状態もあったことが語られている。


✳️うちの弟の場合は、家族以外の人間とはほぼ接触しないので、6人部屋で人間関係をうまく乗り切るのはかなり難しいのではないかと思う。



⭕️抗精神病薬の長期服用によって「遅発性ジスキネジア(無意識に舌がレロレロと震えてしまう症状)」が発症して食事がまともに取れない状態に。


✳️ハウス加賀谷さんはお笑い芸人なので、症状を面白おかしく書いているが、食べたいものが食べられない状況は、読んでいて切なくなった。


✳️症状を抑えるためとは言え、副作用が出てしまうのはやはりどの薬も同じだと思う。病気の症状を抑えることと、副作用が出ること、どちらを優先させるか天秤にかけるしかないが、統合失調症の場合は、副作用よりも病気の症状を抑えた方が賢明だと思う。



⭕️外泊を何度かできるようになるほど症状も改善し、また本人の退院の強い希望もあり、ハウス加賀谷さんは7ヶ月後にようやく退院することになる。長い人では20年近く入院している患者もいるとのこと。


✳️患者も自分から「退院したい」「外に出たい」と言う意識を持っていないと、施設での生活に馴染んでしまい、退院できなくなるケースもあるのが怖いと思う。



⭕️退院後自宅療養することになるが、状態が良くなり通院は徐々に間隔が開くようになる。統合失調症の陽性症状(幻視、幻聴、妄想)は出なくなったが、相変わらず陰性症状(気力や集中力の低下、感情が鈍くなる、どんよりした気分になる)は続いた。


✳️うちの弟は、薬をきちんと飲まなかったりすると暴力を伴う陽性症状(妄想、幻覚、興奮、暴力行為)が起きる。陰性症状は継続してあるようで、1日中寝ているし、家事を手伝うわけでもなく、積極的に本を読むわけでもなく、1日中ごろごろしているので、傍目には怠け者にしか見えない。



⭕️ 主治医が別の先生に変わってから、症状が好転し始める。ハウス加賀谷さん自身が第三者から聞いてきた薬(「エビリファイ」)に変更してもらったことで、症状は劇的に良くなった(本人に適合したということで、万人に聞くと言うわけではない)。


✳️精神病の薬も日々進化しているのだと感じた。今使っている薬を決められた日時に飲んでいるにもかかわらず、症状が改善されない場合は、医師に伝えられていない本人の症状も含めて相談した方が良いと思う。



⭕️ハウス加賀屋さんは、相方の松本キックさんに退院の報告をした後、活動停止の際にかけた迷惑を気に病んで、ほとんど連絡を取れない状態だったが、逆に松本キックさんが定期的に連絡をしてくれた。


⭕️最初は、松本キックさんのソロライブにゲストと言う形で、最終的には復活ライブまでこぎつける。


✳️この本ではハウス加賀谷さんの視点と時々キック松本さんの視点から一連の経過が語られるが、本人の大変さは、本人が周りの人間に語らない限りは理解できないし、周囲の人間も、患者とのこれまでの経緯から患者本人に対して愛情を持って接することができなくなることも多いと思う。


✳️ハウス加賀谷さんの経験談は、この病気と関わりのない生活をしている人たちにも、勉強になる話である。


✳️自分の弟の症状と比較してコメントをつけてみたが、統合失調症にはいろいろなバリエーションがあること、また患者全員が同じ症状と言うのでもないので、改めてこの病気の難しさを感じた。


✳️公立の図書館でも、この本は所蔵していることが多いようなので、読んでみられてはどうだろうか。


(終)