シリーズ物の記事(私の愛想が尽きた日)を書いていると精神的にしんどくなってきたので、ちょっと脱線。



以前の記事で、患者の家族も統合失調に関して、図書から知識を得ることを勧めたが、住んでいる地域や環境によっては難しい場合もあると思う。


そこで、自分が実際に読んでみた本から、役に立ちそうなことや、解決のヒントになるようなことがあれば著作権に触れない範囲で紹介しつつ、自分の弟のケースと比較しながらこの病気について考えていきたいと思う。


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今回、紹介するのは


【松本ハウス(松本キック,ハウス加賀谷)『統合失調症がやってきた』幻冬舍文庫(平成30年6月10日初版行)580円+税

ISBN 978 4 344 42757 0】


[松本ハウス]は、お笑い芸人のコンビ名で、コンビの1人、ハウス加賀谷さんの統合失調症の経験を当事者(ハウス加賀谷さん)目線と相方(松本キックさん)目線で描いている。


(以下、書籍より引用)

「10代前半から統合失調症に苦しんでいたハウス加賀谷は、松本キックと言う相方を得て、病と闘いながらもお笑いの世界で人気者になる。しかし、活躍と反比例するように、症状は悪化。人気絶頂の松本ハウスは活動休止した。精神科に入院し治療する加賀谷を黙って待ち続けた松本。10年の時を経て復活ライブに挑んだ二人は大歓声に迎えられる。」(引用終わり)


✳️(以下✳️は本に対する私のコメント)彼が私の弟と明らかに違うと思ったのは、うちの弟は、基本的には家族としか関わらない内弁慶であるのに対し、ハウス加賀谷さんは家族以外の第三者と積極的に関わろうとするところだ。


✳️本には登校拒否に関する記述もなかったため、ハウス加賀谷さんは登校拒否をしていないのではないかと思う。その点も弟とは違う。


✳️弟の場合、内弁慶は病気に起因するのではなくもともとのキャラクター(性格)である。


✳️弟の場合は、第三者との関わりを積極的に持とうとするタイプではないし、関わりを持たざるを得ないシチュエーションでも極力健常者を装う。


✳️弟の場合はプライドが高すぎて、外に出て行って自分の病気がばれること、自分自身が馬鹿にされることを非常に恐れていると感じる。


⭕️ハウス加賀谷さんが発症したのは小学校5年生の頃で、きっかけは両親の高学歴志向、遊ぶ暇もないほどの学習塾・習い事漬けである(と読者としては感じた)。


⭕️中学校から幻聴が始まり、高校生になると幻聴に加えて、幻視まで現れてくる。


⭕️ハウス加賀谷さんの実家は裕福で、彼自身も学業の成績はかなり良かったが、病気の発症とともに、学習塾・習い事漬けからは解放された。


✳️ハウス加賀谷さんの症状は私の弟よりもひどいように思った。弟の場合は、学習塾・習い事付ではなかったが、母親から末っ子長男として溺愛されたと言うのがプレッシャーになったかもしれない。


⭕️この時点(10代)で、ハウス加賀谷さんは自立のためにグループホームに入所する。結局1年ほどそこで生活をし、大阪へお笑いライブを見に行くためにアルバイトで1ヵ月働いて10万円を貯める。


✳️このバイタリティーは、うちの弟にはない。


✳️グループホームには色々と種類があるようだが、精神疾患の人たちを受け入れてくれる施設もある。


✳️グループホームに入るには実際にどれぐらいの費用がかかるのか調べてみたところ、施設の所在地にもよるが月々10万円以上はするようである。ただ、国や自治体の補助もあるようである。


✳️グループホームに入るのは、本人の意思も大事である。周りが患者本人に入って欲しいと思っていても、「本人が入ってもいいよ」と思わなければ無理だろう。


✳️ハウス加賀谷さんのように本人が自立しようと言う勢いを持って外に出て行く人もあれば、一方で何十年もグループホームで生活し、年齢と焦りを積み重ねている人もいる。焦るのは理解できる。


(続く)