ここ30年近く弟の口癖は「死にたい」である。裏を返せば「もっと素晴らしい人生を歩みたい」ということである。


他人に対してどれだけ死にたいと言ったところで、全く行動が伴っていないため、本気で死にたいとは思っていないことはよくわかる。


毎食たらふくご飯を食べ、朝も、昼も夜も関係なくしっかり睡眠をとっていれば、若いこともありその願いは当分叶わないだろう。


弟の1日は日中も夜も寝てばかりで、起きてると思ったらiPadを開き、障害者年金でネットショッピングに興じているか、母親を相手に「死にたい」と言いながら、場の空気が澱んでで重くなるようなマイナスの言葉を吐き続けているかである。


もう一つ言えば、弟は甘やかされて育ったせいか忍耐強くない。集中力もなく、忍耐強く何かに取り組むこともしないので、常に楽な方へと流れる性質である。


今の世の中で、毎日寝てばかり、iPadを開いてごろごろしてばかり、否定的な言葉ばかり吐いて場を暗くし、努力が嫌いで、集中力がなく、わがまま自己中で協調性もなく、勉強も嫌いで、自転車のメンテナンスもできない不器用な人間が、他者から尊敬され、成功し、自分の思い通りの人生を歩める天国のような場所が、一体どこにあるのだろうか。


「死にたい」感情は、理想の自分と現実の自分とのギャップが埋められないほどに大きいことから生じる感情である。


苦しい状態を何十年と維持してしまう位なら、「理想の自分」と「現実の自分」のそれぞれについて見直しをしたらいいのにと思うが、弟は頑固なので、そこは何十年と見直しができていない。


どうせギャップを埋められないのだったら、せめて現実の自分を理想に近づけるようにし、理想の自分をもう少しレベルダウンすれば、ある程度ギャップは埋められるはずである。


こだわりが強すぎると言うのは、弟の子供の時からの性質であるが、これが弟の現状を辛いものにしている原因の1つである。


客観的な立場からなら「もっとこうしたほうがいいのにな」と思うことも、弟は視野狭窄かつプライドがえげつない高さであるため、他人のアドバイスを一切聞かず、下手にアドバイスをすると、全力で暴力で応酬することを繰り返してきたため、現状では誰もアドバイスできる人間がいない。


例えアドバイスできる人間がいたとしても、自分が失敗した場合、その責任を全てアドバイスをした人間に擦りつけるため、下手にアドバイスもできない。


結局、このような環境を作り出してきたのは、弟自身と弟の言動を肯定して来たとも言うべき母親である。