カナダでのオリンピック関連の放送は、基本的にカナダの公共放送局CBCが行なっています。そして、フィギュアスケートのコメンテーターを務めるのが「Kurt Browning(カート・ブラウニング)」。

 

Kurt Browning(カート・ブラウニング)

写真(http://www.starsonice.ca/

 

カートは、1988年3月にハンガリーのブタペストで開催された世界選手権において、ISU公式戦で初めて4回転ジャンプ(4回転トウループ)を成功させた人物で、ギネスブックにも掲載されています。

 

つまり、30年も前のこと。

4回転ジャンプをカートが成功させる前に公式戦ではありませんが、別の選手が成功させていました。カートは、周りの数人の選手が練習で4回転ジャンプをするのを見掛けて、自己流で練習したそうです。

彼としては、彼がジャンプを成功させた後は、きっと間もなく4回転ジャンプが主流になるのではないかと踏んでいたようですが、想像したよりもずっと時間がかかったと先日話していました。

 

 

カートの4回転トウループが上のビデオで観れます。

 

 

1966年生まれで今年51歳ですが、今でもアイスショーでは氷上でバック転を行うなど、体力は衰えておりません。「Stars on Ice」の振り付けなども行なっており、自身も現役選手達と一緒にというより、彼らをショービジネスの世界へ引っ張るかのように中心となってキレの良いダンスを披露しています。

 

 

このビデオには、平昌オリンピック、アイスダンス金メダルのスコット、7位のアンドリュー、ペア銅メダルのエリックも参加しています。

 

 

上記で書いたように、カートはCBCのレギュラー「colour commentator」として2006年から重要なフィギュアスケートの大会のコメントをしています。「colour commentator」とは、実況中継中に選手の演技を解説するだけでなく、過去のデータから分析したり、選手にまつわるちょっとしたエピソードなどを提供するコメンテーターのことです。

 

たいていの場合、元アイスダンス選手で現在はコーチとして活躍している年配の女性と組んでコメントするのですが、コーチとしての目線からの演技の分析や元選手としての心理的な解説を面白おかしく演技中に話してくれて、なぜ点数が良いのか、はたまた悪いのか、全くの素人にも納得できるような解説で飽きさせません。

 

カナダでは、アメリカの放送も観れるので、たまに間違ってアメリカの放送を録画して観てしまったことがありますが、解説はないほうがいいくらいのレベルでがっかりしてしまいます。

 

日本の解説は、アメリカよりも良いのですが、やはりコーチレベルの方が解説していないので、いまひとつ物足りない内容です。

 

フィギュアスケートの国別対抗戦で宮原知子選手の点数が低すぎるのではないかと日本人が騒いでいましたが、カートの解説では、ジャンプの後はっきりと「回転不足だ」と残念そうにコメントしていました。

 

時に辛口コメントで、今でも覚えているのが「ソチオリンピック」の男子のフリーの演技を見終わって

 

 

「こんな演技を見にわざわざソチまで来た訳じゃない!」

 

 

と言ったのが印象的でした。

 

他にも初めて羽生結弦選手がビールマンスピンをするのを見た時には、異常に興奮してゲラゲラ笑ったり、宇野昌磨選手、シニア初年度には、彼が出て来るたびに「今日こそは彼の笑顔が見れるか?!」とふざけて言ったり、一歩間違えるとバカにしてるのかなと思ったりしますが、カートが軽口を叩く選手は、たいてい後ほど花開きます。それくらい観察しているということでしょう。

 

そうそう、先日の坂本花織選手のショートプログラムの後は、大いに称賛して「シニアの世界へようこそ!」と大歓迎していました。

 

昨年くらいから洋服がシックになって落ち着いたのですが、その前までは、解説の度にいつもキラキラの衣装と帽子で踊りながら表れて、オネェ言葉で喋っていたので、わたしとばんの中で「カートは絶対ゲイに違いない」と確信していたのですが、ある日、何かの番組に奥さんと子供と一緒に出演していて、「カート、ゲイ疑惑」解消となりました。

 

ちなみに奥様は、カナダ国立バレエ団の元プリマドンナです。

 

ちょうど、キラキラ衣装に凝っていた頃、羽生結弦選手のフリーの衣装をデザインしたので、日本の羽生結弦ファンには有名なお方かもしれません。

 

 

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