人間は7年ごとの周期で成長を繰り返す、というのは20世紀初頭にドイツ・オーストリアで活動したルドルフ・シュタイナー博士の説だそうだ。
赤ん坊から人間としての基本を形成する0~7才、体も心もすくすくと発育する7~14才という子供の時期を経て、体は第二次性徴を迎えると同時に自分自身がどうあるべきかという自我を模索していくのが14~21才。

21~28才は自我がほぼ固まりいろいろな経験を経て能力を磨く時期。

それを元に社会的な立場を確立させていくのが28~35才。

35~42才ではその確立した立場への迷いや混乱が生まれ、42~49才でようやく秩序やバランスが得られる。

49〜56歳では心の平安・安定があり、人生で問題が起きても今までよりも柔軟性とユーモアを持って対処できる。



この説、自分自身を振り返ってみるとけっこうどんぴしゃなんですよね。
14才くらいまではわりとおとなしい良い子だった。スポーツは苦手で、女の子といっしょにお絵描きをするのが大好きで。まぁ多くの人がある程度そうなんだろうけど、人生について何の疑問もなく育ってきた。自分の進んでいく道はずっとこの先まっすぐ続いていると思っていた。
それが袋小路に迷いだしたのが14の頃。ずーっとモヤモヤしたものがあって、自分なんていてもいなくても同じダメな奴だと思っていた。この時期にロックンロールがガツーンときた。

ロックンロールから得たエネルギーを元に、何でもやったもんがちやでー、ってふっきれてきたのが21を過ぎてから。今思えばこの時期は恐いものなしだった(笑)。ろくに就職活動もせず、入った会社を2年で辞めてアメリカを一人でふらふらしたり、建築現場の人足から昼夜二交代の自動車工場の期間工みたいなへヴィーな仕事で食いつなぎながら3年近く無職暮らしをしたのだけれど、不思議と何の不安もなかった。

そんな僕もそろそろまともにならなくっちゃ、っていう気持ちになって再就職したのが27才のとき。最初はすぐに辞めちゃいそうになったんだけど、ここで無職になるのはさすがにまずい、と本気で頑張ったら意外にもけっこう評価されて、バンバン仕事任されるようになって、28~35才は働いてばかりだった。実際頼られるのは悪い気分じゃなかったし、無職時代に経験した仕事に比べれば楽勝だったし、体力的にはキツかったけどまだ若かったから頑張れた。ダメ扱いされた高校時代へのリベンジ的な気持ちもあっただろうね、高校の頃なら敗けてたかも、って奴に優位に立てたり。

ところが調子に乗りすぎたのか、生来の生意気癖&短気&偏屈が災いしたのか、そこそこ出世した後にガツンと頭打ったのが35才以降。今思えば、やっぱりうぬぼれてた。もうがむしゃらに自分で成果を出してアピールする立場ではなくて部下の成長とともに全体調整をしなくちゃいけなかったのに、切り替えができてなかったんだろうな。背負いこんで自滅、っていう感じ。転機になったのは42のときの異動。

現場長の役職を剥奪されて一担当者として事業系の今の部署に来た。今までのふるまいを変えざるを得なくなった、というか、肩ひじ張らないで背負わないでいるいいきっかけになったんだろうな。ずいぶんと感情をコントロールできるようになった気はする。

49才を越えると立ち回り方はすごく楽になってきた。上で偉そうに振る舞う人も減り、同僚やかつて一緒に働いた人が各部署の中心になって連携がスムーズになったり、娘や息子世代の人たちとも共に働く中では自ずと大人としての態度をとるようになった。



聴く音楽の種類も、この7年周期と大きく関わっているようだ。

音楽を意識的に聴きはじめ、ロックに衝撃を受けたのが14才。17、18の頃はハードでヘヴィーなものと強いメッセージを持ったものがとても刺激的だった。やがてどんどんロックの歴史を遡るように聴き漁るようになり、21才以降は聴くものがマニアックになり、どんどんと深掘りしていくようになっていく。

28~35才、ブルースやサザンソウルにはまったりファンクやモダン・ジャズを聴いてみたりアイルランドや沖縄へ憧れたりしたけれど、まだまだ「他の奴らが知らないものを」の意識があったように思う。

35〜42才の時期にはもう「他の奴ら」は気にならなくなってきて、やっぱりロックンロールだぜィ、ってなったり、ブルースっぽいものから歌ものやノーザンソウルや50年代のR&B遡っていった、という感じかな。

そのあとはどんどん古い方へ遡って、ジャズやブルースとソウルとロックンロールのつながりを再発見していったり、近頃では若い頃に聴き飛ばしていた音楽を再発掘したりで今に至るという感じだろうか。

このあたり、詳しくは次回記事で触れてみたいと思います。



来月には57才になる。

7年周期でいえば、第8期が終わって第9期を迎えることになる。

正直、次の63才まではしんどい時期になるんだろうとは思う。

体力は衰える、新しいツールや新しい価値観からどんどん置いてけぼりになる。仕事でももうど真ん中ではなく後ろから見守りながらも責任だけはついてまわるようなことになるだろう。

それでも、第9期の自分がどんなふうになっていくのかはちょっと楽しみでもある。

ここまでの第8期までの変化を俯瞰してみると、凸凹はありながらもそれなりにやってこれたわけだから、たぶんこれからも大丈夫だ、と。