-この記事はフィクション、もしくは単なる妄想であり、実在の団体や個人とは一切関係がないことをあらかじめお断り申し上げます。-

「大臣、恐れながら申し上げます。彼の地では邦人2名が武装集団に捕らえられておるとの情報があります。同盟国からの要請とはいえ、この度の後方支援への追加拠出の発表は、武装集団どもをいたずらに刺激するのではないでしょうか。」
「きみ、口を慎みたまえ。あれは後方支援への拠出ではない。人道支援だ。」
「は、申し訳ございません。」
「あの憲法がある限り、我が国はああやって同盟国から金をむしりとられるのだよ。いまいましいものだとは思わんか。」
「仰るとおりではございますが・・・。」
「構わんのだよ。」
「は?」
「拘束されているというのは、ややこしい商業軍人とめんどくさい人道ジャーナリストだろう?それは把握しておる。むしろ好都合ではないかね。」
「と仰いますと?」
「テロリストどもはおそらく法外な身代金を要求してくるだろう。以前の英米人のように、交渉に応じなければ公開処刑にする、と。しかし我々は断じてテロリストには屈しないのだよ。」
「ではどうやって邦人を救出されるおつもりで?」
「救出などせんよ。公開処刑が行われれば国民どもは動揺するだろう。それこそチャンスではないか。世界にはこのような無法者どもがたくさんいる。このような輩から我が国を、我が国民を守るためには、腰抜けの平和憲法なんぞ何の役にも立たぬのだ、我が国も海外で武力行使できるようにすべきだ、という世論を大きく巻き起こせるよい機会ではないか。そうは思わぬかね。」
「しかし・・・。」
「彼の地への渡航は危険喚起済み、自己責任だよ。」
「・・・。」
「ただし、交渉については誠心誠意すすめているように見えるようにしてくれたまえ。こちらの思惑がバレるとまためんどくさい左側がうるさいからな。」
「それはもちろんでございますが・・・。」
「ご先祖様、いよいよ我が国が普通の国になる日が近づいて参りましたよ。私が必ずや実現して見せますから。」
「・・・。」


 きみ、ちょっと行ってくれないか
 すてごまになってくれないか
 いざこざにまきこまれて
 死んでくれないか
     (すてごま)




「きみ、この言葉は知っているかね。人命は地球より重い。そう、我が党の先達の有名な言葉だ。」
「大臣!考え直していただけるのですか!」
「明日から私のSPを五名、増員してくれたまえ。」
「・・・。」