いつもありがとうございます。

 

67歳男性、要支援1の利用者さんが

います。

 

精神的な落ち込みがありますが、

「仕事をしたい」と意欲が

あります。

 

去年の2月頃だったと思いますが、

訪問介護事業所の管理者さんから

依頼を受けました。

 

「いまのケアマネに不信感があり、

『もう来るな』と怒鳴ったみたい。

 

ケアマネ変更が希望している。

 

受けてくれませんか」と連絡が

ありました。

 

そんな話を聞いたらビビってしまい

ますね。

 

(笑)。

 

しかも、事業所からは遠いところ

です。

 

自転車で行くと45分くらい

かかります。

 

その時は、自転車移動しかなかったの

で、距離的にも考えても「ちょっと

嫌だな」と思ったのは事実です。

 

ただ、担当件数が少なかったことと、

自宅からは徒歩圏内だったので、

「まあ訪問してそのまま直帰しても

良いし受けてみようか」という

感じで受けました。

 

ケアマネに不信感を持っての交代です

から、最初の出会いが肝心です。

 

要支援1でヘルパーさんと訪問リハを

利用しています。

 

訪問リハは週1回の利用です。

 

月に4回までなら支給限度基準額の

範囲内なのですが、月5回になると

オーバーしてしまいます。

 

そのため5回の月は、1週お休みする

必要があります。

 

その辺の説明が曖昧だったり、突然、

家に来てサインだけもらって帰った

り、事業所の受付の女性の対応が

とても不親切だったりしたという

ことでした。

 

利用者さんのお話しか聞いていない

ので、分かりませんが、少なくとも

利用者さんはそのように感じたという

ことです。

 

地域包括支援センターの方が、

担当されていました。

 

引き継ぎの際には、地域包括の管理者

さんも来られ、謝罪していました。

 

ケアマネ自体に不信感を持ってしまっ

ていたので、一番最初にサービス利用

について紙に書き出して「こうなりま

す」と示しながら説明しました。

 

要支援は3ヶ月に1回の訪問で良いの

ですが、トラブルがあって引き継いだ

ので、信頼関係構築もあって、毎月

訪問していました。

 

いまでも毎月訪問しています。

 

とは言え、他の方と何ら変わりのない

態度で関わっています。

 

3、4回目の訪問の時に「代わりのケア

マネというのが、どんな奴がくるか

と思っていた。ふざけた奴だったら

ぶん殴ってやろうと思ってた」と

笑っていました。

 

いやいや、笑い事ではありませんよ。

 

(笑)。

 

「スーツをビシッと着て、挨拶もちゃ

んとしていて、丁寧に説明してくれた

から安心した」とおっしゃってくれま

した。

 

「小林さんで良かった」と言ってくれて

いるので、信頼関係は築けている

ようです。

 

脳梗塞の後遺症で右半身に軽い麻痺が

あります。

 

正直パッと見では分かりません。

 

歩いているのを見ても、分かりづらい

ところがあります。

 

ご本人からすれば、力が入らないし、

思い通りに動かないし、ふらついた

り、つまづいたりすることがあり、

大変なのだと思いますが。

 

引き継ぎのときと認定の更新時に、

サービス担当者会議を行いました。

 

2回とも主治医の先生が

来てくれました。

 

滅多にないことです。

 

先生もご自分でおっしゃっていまし

た。

 

「滅多に来ることはないけど、あなた

が仕事に復帰したいと意欲を持って

いるから、応援するために来た。

 

今は毎週、訪問診療に来ているけど、

徐々に減らしていきたい。

 

できることを増やしていけば、

仕事に復帰できると思う」。

 

このようなことをおっしゃって

くださっていました。

 

身体的な部分よりも、精神的な気分の

落ち込みなどで、仕事をするのが

難しいのかなというのが

印象です。

 

できることを増やし、自分に自信を

持ち、仕事をしたいという目標を

達成してほしい。

 

そのように思って支援しています。

 

現在、生活保護を受給されているの

ですが、ご本人はそのことについても

気にされており「まさか自分が受ける

ことになるとは思っていなかった」

とおっしゃっています。

 

「お世話になりたくない」「自分で生活

していきたい」そのような言葉も

聞かれます。

 

実際に仕事についても、お給料だけ

では生活できないかもしれません。

 

それでも良いと思うのです。

 

生活保護を受けたままでも。

 

月に数万でも働いて収入を得る「自分

にもまだできることがある」そのよう

に自信を持ってもらえたら良いなと

思います。

 

担当のケースワーカーさんにも連絡し

「就労の意欲があるがどうしたら良い

か」と相談しました。

 

一度、窓口に来てくださいという

ことで、ご本人に行ってもらう

ことになりました。

 

その頃転倒してしまって、余計に自信

を失くしてしまい、ケースワーカー

さんから「働くことも大事ですが、

まずは体を治しましょう」と

言われたということです。

 

肋骨にヒビが入っていたようです。

 

最近ではヘルパーさんや訪問介護事業

所の管理者さんの勧めで、精神保健福

祉手帳を取得されました。

 

管理者さんから「取得に向けて手続き

進めています」と報告は受けていたの

ですが、賛成ではありませんでした。

 

そして今度は「移動支援の申請をしま

す」と報告がありました。

 

ご本人が困っていることは事実なの

ですが、まだご自分でできる範囲

です。

 

代わりにやることが適切な支援とは

思いません。

 

60%できるなら35%の支援をして、

5%を引き出すような関わり方を

していくことが大事だと思っている

からです。

 

年齢にもよりますし、相手の意欲にも

よるとは思います。

 

ただ、この方はまだお若く、身体も

動きます。

 

関わりによって、十分、元の生活に

近づけていくことができると思うの

です。

 

魚をあげることは簡単です。

 

ただ、魚をあげはじめると途中で

あげないわけにはいかなく

なります。

 

もらうことに慣れてしまうからです。

 

人は何かに頼るようになると、できる

ことができなくなっていくのです。

 

文字、紙、スマホ、パソコンの普及に

より、私たちは暗記する必要が

なくなりました。

 

文字や紙がない時代は、口伝、口伝え

で継承していました。

 

お経なども、弟子たちが説法を暗記し

てまとめたものです。

 

頼るものがなければ、自分の高めて

いくしかありません。

 

現代人の記憶力は、かなり衰えている

のではないかなと思います。

 

自転車、車、電車等の乗り物の発達に

ともない、脚力が衰えています。

 

1人暮らしで生活していた方が、

施設等に入ると、いままで

1人で生活していたことが

嘘のような状態になることが

あります。

 

人を頼ってはいけないということでは

ありませんし、支援してはいけない

ということではありません。

 

ただ「やってあげる」の先には「できる

ことができなくなる」という未来が

待っていることも知っていなければ

ならないと思うのです。

 

西洋のことわざで「地獄への道は善意

で舗装されている」というものが

あります。

 

この意味を深く考える必要があるの

ではないかなと思います。

 

みんな優しいのです。

 

なんとかしてあげたい。

 

力になりたいと思っています。

 

悪ではありません。

 

善なのです。

 

想いが善でも、そこに知恵がなければ

悪にもなり得るということは、

重要な視点です。

 

魚をあげたら、魚をあげ続けなければ

ならない。

 

魚の釣り方を教えてあげたら、最初は

苦労しますが、コツを捕まえば自分で

魚を得られるようになっていきます。

 

そして、また、その人も他の人に

魚の釣り方を教えることが

できます。

 

自分ではどうしても釣れないという

人には魚を分け与えることが

できるようにもなります。

 

様々な考え方があるとは思いますが、

色々な角度から考えてみることが

大切なことではないかなと

思います。

 

考えるヒントになることがあれば

幸いです。

 

最後までお付き合いいただき、

ありがとうございました。

 

光の指針

 

~無償化への警笛~

 

「社会保障や医療、教育などがタダに

なる方向へ行くのは、まことにありが

たいことのように聞こえます。

 

確かに、『自助努力だけではどうにも

ならず、セーフティネットがなければ

救われない』という人も一部いること

は事実ですし、そういう人を救うこと

も公的な仕事ではあるでしょう。

 

しかし、まだまだ元気で働ける人た

ち、働く意欲が旺盛な人たち、資本主

義の精神を体現して頑張っている人た

ちを、わざわざ怠惰にする方向へ引っ

張っていくならば、それは、『国の没

落を意味する』と言わざるをえないの

です。

 

ゆえに、社会保障や医療、教育などが

タダになる方向へ行くのは、問題であ

ると思います。」