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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26(2014)年6月23日(月曜日)弐
通巻第4278号
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新首相モディは「インドのニクソン」になるのか?
インド経済成長モデルを中国にもとめるか、日本型を模索か?
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注目すべき分析が出た。
ナレンドラ・モディ新インド首相はグジャラード州の経済成長をぬきんでたものとして成功を収め、ガンジー率いる国民連合の敵失も手つだって総選挙に圧勝した。BJPは単独過半を抑えたのだ。
最初の外遊先をモディは日本にする手はずだった。なにしろモディ首相は日本が大好きなのである。
すでにブータンを訪問しているため外遊一号とはいえないが、ブータンはインドの保護国であり、中国への牽制が目的だった。議会の事情により七月訪日は延期され、八月末になる。
「モディはインドのニクソンとなるか」というのは、敵対する中国とモディが劇的な和解をするのではないかという期待をもとに組み立てられた所論で、中国が予測するもっとも楽天的なシナリオである(ジェイムズタウン財団発行「チャイナ・ブリーフ」、6月19日号)。
根拠は1962年に領土をめぐる戦争をインドと中国は展開し、爾来、両国は犬猿の仲であったうえ、シン前政権は伝統的なロシア友好関係を維持しながらも大胆に米国寄りにスタンスを換え、米国海軍と合同演習を展開した。
このため中国は「インドが米国の中国封じ込めの先陣をつとめるのか」と疑心暗鬼となった。2012年にインドは全中国を射程にいれたアグニ5というICBMを配備して中印関係は極度に緊張した。
インドは中国の核戦力を抑止するためばかりか、核戦力の向上により国際舞台での主要プレイヤーの座を不動の者としてアジアにおける中国の横暴を、ほかのアジア諸国との協調により飛躍させようとしてきた。
モディはヒンズー至上主義のナショナリストゆえに、もっと対中タカ派路線を採用するだろうと予測された。
総選挙キャンペーン中、モディは「我が国は中国の軍事的危険にさらされており、ヒマラヤの水資源を勝手に確保して、インドに追加的な脅威を与えている」と演説して歩いた。
▲日米のアセアン、インドへの異常接近は「アジア版NATO」の形成と恐れる北京
おりしも中国はフィピン、ベトナム、日本との間で領土紛争を繰り広げ、インドは、この機会に中国非難の合唱に参加した。
中国から見れば、これは日本主導によるアジア版NATO「自由アジア連盟」の形成にほかならず、中国外交はこの動きを破砕することにある。
就中、中国が用いた目くらましのレトリックは「BRICS」(ブラジル、露西亜、インド、中国、南ア)を牽制するのが日米の意図であるとして、インドにさかんに日米の誘いに乗らないよう、おだてるのである。
しかしBRICSは架空の経済協力機構でしかなく、安全保障の同盟ではない。インドは中国の宣伝用レトリックにひっかかるほど愚かではない。
中国は執拗に上海協力機構への正式加盟を要請し、上海で開催された「アジア信頼情勢会議」をてこ入れして、ここにプーチンを招待して4000億ドルのガス取引合意を強引に演出したりした。
中国はインドの米国への傾斜をすこぶる警戒しており、また米国そのものがインドとのわだかまりがあるためその隙間を激しく攻撃する。というのも米国は長らくモディへのビザ発給を禁止してきた経緯があるからだ。
モディが「当確」となるやいなや、米国は身を翻してワシントンへの招待をモディに要請したが、これはあまりに見え透いた打算だとインドに説得した形跡もある。
先週、王毅外相がニューデリーを訪問したが、重要な戦略的パートナなどと激賛し、昨年は李克強首相がインドを訪問して、「領土問題を横に置いて経済協力を進めたい」とした。
そのうえで中国が提唱するのはインドとの提携強化による「新シルクロード」構想である。机上の空論とはいえ雲南からミャンマーをまたぎ、インドへ到る貿易路の開拓は魅力に富むというわけだ。
▲モディをおだて上げる中国の意図はみえみえだが。。。
またモディにはやくから近づいてきた中国だが、モディが「州首相」時代からグジャラード州への戦略的投資をつづけてきたうえで、「グジャラード州は第二の広東になる」と持ち上げ、トウ小平路線が「規範」だなどと中国のメディアは盛んに書いてきた。
それにしても経済規範が広東とは! モディ新首相は日本の成功を倣おうとしているのに?
こうして中国の一部の外交観測には非常に楽観的な分析がある。それはインドの対中強硬姿勢は選挙用のジェスチャーにすぎず、モディの中国を攻撃する強硬演説は修辞に過ぎないとして、ニクソンのような道を選ぶのが懸命であるというのだ。
その一方で、「あるいは国境問題に火を付けてナショナリズムを扇動する安倍晋三型の指導者になろうとしているかもしれない」と悲観的観測をあげるのは上海のシンクタンクである。
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