【アメリカ通信】ロバート・カプランの中国分析、5つのポイント | My Flame

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├ 2014年2月21日 ロバート・カプランの中国分析、5つのポイント
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おくやまです。

すでにご存知のかたもいらっしゃると思いますが、先日の私のブログのほうに

▼ロバート・カプランによる中国の戦略分析
(http://geopoli.exblog.jp/22083873/)

というエントリーを載せました。

今回のメルマガでは、このカプランの分析について
簡単に解説してみたいと思います。

まずロバート・カプランといえば、一般的にはアメリカの高級誌『アトランティック誌』の元名物記者として知られている人物です。

安全保障関連のネタを中心に、非常に優れたレポートを多く書いておりまして、その記事や著書は、90年代にアメリカのクリントン政権の対外政策に影響を与えてきた人物であるとされております。

現在ではストラトフォー(http://www.stratfor.com/)という、これまた有名なインテリジェンス系ウェブサイトでレポートを書いておりまして、ブログで紹介した分析も、このサイトへのレポートとして書かれたもの。

日本でも数冊の翻訳が出ておりまして、何を隠そう実はこの私も、彼の『インド洋圏が、世界を動かす』という著書の翻訳をしております。

▼インド洋圏が、世界を動かす:
モンスーンが結ぶ躍進国家群はどこへ向かうのか
by ロバート・D・カプラン
(http://goo.gl/yiMxm )

数年前からこのカプランの関心は、インド洋から中国にシフトしておりまして、数年前に来日したときの講演内容も、中国の海洋進出に強い関心を抱いていることをうかがわせるものでした。

その彼が、これから発売される予定の最新刊の中で、南シナ海と太平洋への中国の海洋進出をテーマにしているということを聞きまして、個人的には「やっぱりか」と思ったのです。

▼アジアの危険な状態
Asia's Cauldron:
The South China Sea and the End of a Stable Pacific
Robert D. Kaplan (著)
( http://goo.gl/4WydXr )

というのも、私は2012年にシンガポールで開催されたある国際会議に出席したときに、あるBBCの若手記者が、

「いやー、あのロバート・カプランが南シナ海ネタで本を書いているらしいんだよね、僕のテーマと重なっちゃうよ!」

と露骨に残念そうな口調で語っていたのを聞いたことがあり、これがとても印象に残っていたからです。

おそらく今回のカプランの分析も、この本を書く時に得た知見を元にしたものであることは容易に想像がつくわけで、来月発売の新刊本の内容も、今回の記事にかなり近いものになることが予測されます。

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それでは、このカプランの分析を、いつものようにポイントごとに整理してみたいと思います。

1.中国の挑発的な行動は、実は「ハッタリ」的な要素が大きい。

たしかに中国側は、兵站や装備などの現実的な側面を見てみれば、実は「弱い立場」にあると見て間違いないかもしれません。

そしてそれを声の大きさで補っているのが、現在の北京政府の姿勢だ、というのがカプランの見立てです。

2,中国の「ハッタリ」は、国内向けのパフォーマンスだ。

私が翻訳したルトワックの『自滅する中国』の中にもありましたが、中国は大国であるがゆえに、実に「内向きの論理」でものごとを対処する傾向があります。

その典型が、この「国内向けのパフォーマンス」という面であり、自分たちだけに通用するロジックで外交をやってしまうわけです。

上のハッタリの部分もあわせて、アメリカ側の分析者たちはこのパフォーマンス性というものをある程度理解しているので、カプランはこれを「管理された紛争」
( managed set of confrontations )
だと述べているわけです。

また、中国にとって南シナ海と東シナ海における周辺国との紛争は、その背後にいるアメリカに対抗するというパフォーマンス的な意味あるといいます。

なぜならこのような「イメージ操作」をすることによって、北京政府は現在やや不調になりつつある国内経済から、国民の目をそらすことができるわけです。

そういう意味で、北京政府にとっての「ナショナリズム」というのは、実に都合のよいツールになってくれるというわけですね。

3,東シナ海と南シナ海の紛争には関連性がある

面白いのは、カプランがここ数年間の北京政府の行動パターンとして、東シナ海と南シナ海のどちらかの紛争がワシントンの関心を呼ぶと、彼らがもう一方の紛争へと動きをシフトさせるという点を指摘していることです。

つまり、南シナ海での紛争が問題になったら東シナ海へ。
東シナ海での紛争が問題になったら南シナ海へと、まるでシーソーのように紛争の焦点を移動させるということです。

そうなるとその一方(尖閣のある東シナ海)の当事者である日本も、もっと南シナ海の動きに関心を持つべきだということになりますね。

4,中国の指導層は、国内からの圧力にさらされている。

カプランが指摘しているこの記事の最も貴重な知見は、たとえ独裁者(中国共産党を含む)であったも、実は国民からの支持や民意からの総意がなければ何もできない、ということを指摘している点です。

そして現在の中国の「民意」は、ナショナリズムに鼓舞されたタカ派的な政策を推し進めることにあり、それを理解している北京政府は、「国民の声」に合わせるかたちで、長期的な利益を捨てて短期的な利益につながるパフォーマンスに走っている、というのです。

5,中国が民主化すると危険

上のポイントを拡大解釈すれば、中国はすでに「民主化」している(!)とも言えます。

そしてこのおかげで、北京の政権運営はますます難しい局面に直面するというジレンマをかかえることになるというのです。

カプランによれば、もし中国が本格的に民主化したら、さらに国民の激情(民意)を反映したタカ派的な政策がとられることになるため、中国という国家全体のパワーの増進につながるような本当に「理性的・合理的」な政策が実行されるようになるのかは極めて怪しい、ということになります。

たしかに90年代に入ってから民主化を果たした韓国にも最近になってから「民意」を反映して無駄に反日に走るという、似たような状況が生まれている状況を考えれば、中国にとっての本格的な「民主化」というのは実はかなり危険な可能性を秘めているのかもしれません。

さて、以上、5つ上げてみました。

全般的に言って、カプランの分析は、どうも北京政府の合理的・理性的な面を過信しているように感じますが、皆さんはどのように思われましたでしょうか?

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「奥山は毎度同じことを言っているな」と、読者の皆さんからツッコまれてしまいそうですが、大切なことなので、再度、言わせて頂きます。

「国際政治は極めて危険なビジネスである」
「紛争は起こるものである」

このように、我々が置かれているシビアな状況があるということをまず認識して頂きたいのです。

そして、これまでずっと「アメ通」をお読みになっている読者の皆さんならば、鋭くお気付きかと思いますが、上述のポイント(3)などは、東シナ海と南シナ海の紛争の関連性を言っておりまして、極めて「地政学」的な分析をしています。

前回まで数回にわたって、「バックパッシング」というリアリズムの理論に基づく概念を解説してみましたが、この「リアリズム」の理論とともに、「地政学」という学問も、同様に我々に多くの示唆を与えてくれます。

読者の皆さんも、この「地政学」という言葉、目にする機会が、最近、多くなってきたと思われないでしょうか?

ハッキリ言って、この「地政学」という学問の知見は“使え”ます。

そしてこの知見を、より多くの日本人が理解することが日本の国力増強につながる。

私は本気でそう思っています。

( おくやま )

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戦後、封印された学問となっていた地政学ですが、日本に軍事学部がない以上、防衛大にでも行かないとなかなか学ぶ事ができません。
といいますか、防衛大でもそれほど専門的に教える講座はないと聞いています。

そこで、日本人がより戦略的思考を持つためにと2013年4月よりCD教材で10回に渡る地政学講座を開設しました。

「日本で地政学を本格的に学ぶ教材はこれしかない」

というものです。

今回、「地政学講座の第10回、未来の地政学だけ」を特別に販売することに決めました。

なぜ、第10回だけか?
それは、第10回のテーマが「未来の地政学」だからです。

▼「奥山真司の地政学講座」:未来の地政学
http://www.realist.jp/geopolitics10.html

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(編集後記)

管理人です。

前回までの「バックパッシング」の解説に続いて、今回は「地政学」にまつわる話題でしたが、管理人的に「なるほど!」と膝を打ったのは、

>>3…

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