新自由主義の未来 『三橋貴明の「新」日本経済新聞』 | My Flame

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       『三橋貴明の「新」日本経済新聞』

      2013/10/10

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FROM 古谷経衡(著述家&『月刊三橋』ナビゲーター)



季節の変わり目、皆さんいかがお過ごしでしょうか。さて芸術の秋でもございますので、映画のお話でも致しましょう。

  私はSF映画が大好きなのですが、基本的にSF映画の種類というのは大きく2つにわかれます。ひとつは「ディストピア」というタイプ。「暗黒の未来」という意味で、未来世界が圧政や独裁によって統制されている、という世界観です。代表的なものがジョージ・オーウェルの「1984」、レイ・ブラッドベリの「華氏451」、アラン・ムーアの「Vフォーヴァンデッタ」、テリー・ギリアムの「未来世紀ブラジル」などが主流です。この手の作品に描かれる未来は、全体主義になっていることが多く、まだソ連が健在な冷戦時代のSFに多く見られます。

  対して未来世界がひたすら明るく、技術革新の極みに達したという設定で描かれているのが「ユートピア」タイプのSFです。理想郷、という言葉通り、人類は基本的に平和で豊かな暮らしをしています。
 類例を上げるとキリがありませんが、例えば手塚治虫の「火の鳥・未来編」同じく手塚の「メトロポリス」、海外では「スター・トレック」「星を継ぐもの」「2010年宇宙の旅」に代表される恒星間宇宙旅行をする話は基本的には「ユートピア」SFに代表されます。
人類がその科学文明の進歩の先に、宇宙空間を超えて他の惑星で活躍するのですから、基本的にその中で対立や問題は起こりつつも、人類の発展と繁栄を前提とした話の構成になっています。

  このように、未来の世界が暗黒或いは繁栄の、2つのどちらかの世界観で描かれるのがこれまでのSF映画の定石でありましたが、1980年代後半から、このSFに顕著な特徴が現れます。「未来世界は発展しているが、しかし一方で究極の格差社会である」という設定で、例えば1987年の「ロボコップ」、1989年の「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」などがその始祖にあたります。

例えばロボコップは近未来のデトロイトが舞台ですが、治安が極端に悪化したデトロイトの秩序回復のために、巨大企業であるオムニ社
が送り込んだ機械警官・ロボコップの活躍を描きます。この作品のデトロイトは、未来世界であるにもかかわらず貧困地域と富裕地域の格差が圧倒的に開き、デトロイトを牛耳っているのは私企業であるオムニ社とその重役で、警官も警察署も全て民営化され、完全に新自由主義世界の最終局面を体現するような作品です。ちなみにこのオムニ社はロボコップPART3(1993年)で日系企業のカネミツコーポレーションの傘下になるのですが、なんというかバブル時代のジャパン・アズ・ナンバーワンが席巻していた世相を反映していますね。

「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」に描かれる未来社会も、一部の富裕者とすさんだ貧困階級の二極化が描かれる世界観ですが、いずれもこの時期にこの様なSFの形態が大きく登場し、世界で支持されたのは、アメリカのレーガン政権(1981-1989)による新自由主義政策・レーガノミクスの影響が映画にも及んだものであると分析しております。映画は時代を映す鏡であるとはよく言ったものです。

このようなSF映画の傾向は、この後しばらく続きますが、最近になってまた特徴的な作品が登場しております。現在公開中の映画ニール・ブロムカンプ監督の「エリジウム」がそれです。この世界では富裕層は地球ですら無く、衛星軌道上のコロニーの中に居住しており、そこでは貧困や病気も存在しない富裕層たちのパラダイスが描かれますが、一方で貧者が住まう地球上では、前時代さながらのスラム生活が描かれています。

明らかに、オバマ・ケアをめぐる一連の米国政界を皮肉った世界観になっておりますが、例えばこれ以外にもアンドリュー・ニコル監督の「タイム」(2011年)などもこの系譜につながっています。同じ監督がメガホンを取った傑作SFと呼び声の高い「ガタカ」(1997)も含めて、いずれも猛烈な近未来の格差社会を描くことによって、現実の社会問題に一石を投じるという、極めて社会的なSFが近年多くなって参りました。

このように未来の世界で究極の貧富の格差が訪れている、というディストピアでもユートピアでもない、新しいタイプの「格差SF」とも言える作品がハリウッドで次々に製作されるのは、当然のことながら米国において、ゼロ年代以降、レーガン時代とは比べ物にならないほどの格差社会が広がっていることの反映にほかなりません。

かつて冷戦時代、ソ連への脅威から、全体主義社会への警鐘をその旨とした「ディストピア」SFは、いまや衰退し、前述の「格差SF」が主流となった感すらあります。もはや未来世界が美しく、繁栄に満ちていて、発展の限りを尽くしている…という世界観をハリウッドは信じられなくなったのでしょう。現代を写す鏡がSF映画なのだとしたら、この先10年、SF映画にはどのような潮流が生まれるのか、非常に気になるところです。今後とも、映画のお話をお伝えできれば幸いです。


PS
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