日本の防衛にとって良いモデルとなる国は?日本の防衛費は、三木武夫内閣がGNP1%以内と決定してから半世紀近くたっており、そのあいだに日本に対する脅威がかつてなく増しているのに、その呪縛――呪いから逃れられないでいる。いまでは日本の国防費は韓国よりも少ない。自衛隊の装備が不十分であるのは、周知のことだ。私は防衛費をGNP2%から3%まで増やすべきだと主張してきたが、その場合にこれまで防衛予算、人員、装備がすべて小さいことが有利に働くと思う。今日の日本にとって第二次大戦前のドイツが、よいモデルとなる。大戦前のフランスは、西ヨーロッパにおける陸軍大国だった。ドイツは第一次大戦に敗れると、ベルサイユ条約によって軍備に装備も含めて厳しい制限を課せられた。将軍たちは直前の戦争を発想して、戦うといわれる。フランスが第一次大戦の膠着した戦場を想定したのに対して、ドイツは流動する斬新な機動戦に備えた。フランスは巨大な軍備を擁していたものの、多くの陳腐化した装備を抱えていた。産軍が癒着して役に立たない兵器を造り続けるかたわら、時代遅れになっていた厖大な量にのぼる装備を維持補修するために、国防費の大きな部分が浪費されていた。ドイツはそのような足枷から自由だった。従来型と変わったパンツァー戦車、“空飛ぶ砲兵”の異名によって知られたスツーカ急降下爆撃機、諸兵連合を可能にした通信機材など多くの装備を駆使して、ブリッツクリーグと呼ばれた電撃戦を行い、短期間でフランスに降伏を強いた。見事な勝利だった。今日のアメリカをとると、このところ中東を制圧するのに熱中して対テロ戦用の装備の開発に精力を奪われてきたが、多くの陳腐化した装備を維持するために、国防予算の40%以上を注ぎ込まねばならず、新しいシステムの開発と調達に20%あまりしか回せないといわれる。そのかたわら新システムの開発に長期間と巨費が投じられるために、空軍を例にとればシステムが陳腐化しても2、30年以上使用せざるをえないのが、常態となっている。イスラエルも、日本にとってよいモデルとなりうる。イスラエルといえば、安全をアメリカに依存する“ペット国家”だというイメージがあるが誤っている。IDF(国防軍)の多くの装備が独自に開発したものであり、しばしば国益を優先してアメリカの意にそぐわない政策をとってきた。5月にガザ地区から4000発近いロケット弾、ミサイルが撃ち込まれたが、「アイアン・ドーム(鋼(はがね)の屋根)」システムが機能して、イスラエル国内の死者数は13人にとどまった。人口500万人の国家イスラエルは、何よりも国防を優先している。私はイスラエルを数回訪れたが、「なぜアメリカと防衛条約を結んでいないのか」たずねたところ、「もし条約を結んだとしたら、国民がアメリカに依存するようになる」という答が戻ってきた。イスラエルには、「『アメリカと戦って負ければアメリカの属国となって、アメリカが守ってくれる』『だが、アメリカと戦ってわれわれが勝ったらどうしよう?』」という、誰でも知っているジョークがあるということだった。1905年に日本海海戦が戦われ、ロシア艦隊を全滅したが、その8年前に44歳の化学者の下瀬雅(まさ)允(ちか)が発明した下瀬火薬の威力によるものだった。令和の下瀬雅允をまちたい。 ***************** このメールアドレスは返信出来ません。なにかある場合は、info@kase-hideaki.co.jp へ ご連絡下さい。機密情報に関する注意事項:このE-mailは、発信者が意図した受信者のみが利用することを意図したものです。万が一、貴殿がこのE-mailの発信者が意図した受信者でない場合には、直ちに送信者 info@kase-hideaki.co.jp へ連絡とこのE-mailを破棄願います。 *****************