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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)12月24日(木曜日)
通巻第6739号
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 「青蔵鉄道」は青海省からチベットへ開通したが
  四川省からチベットへの「川蔵鉄道」も、工事が進んでいる
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 中国共産党のチベット侵略は水の源流を収奪するという戦略的意味を含む。この地域の征圧と安定とを維持するために、兵力の輸送は重要な軍事目的である。
 2001年に青海省西寧からチベットのラサまで、高山病と死にもの狂いで闘いながら青蔵鉄道を起工し、2006年に突貫工事を完成させた。

世界から鉄道マニアが押しかけて、海抜四千メートルを酸素ボンベとともに旅するなどと観光気分が先に立った。筆者はその前年にラサに四日間滞在したが、最後の夜にうっかり呑み過ぎて軽い高山病にかかった。
翌日成都へ降りるところっと治っていたが。。。

 「青蔵鉄道」の裏には、中国人民解放軍の兵站として輸送力を高めるという戦略がある。しかしメディアは世界の秘境をゆく観光列車だと吹聴し、中国の軍事目的は隠された。2014年にはチベット第二の都市シガツェまで路線は延長された。

 もう一本の軍事鉄道が工事中である。
 四川省成都からチベットのラサへ繋ぐ「川蔵鉄道」だ。全長は1012マイル。
 シーズン中、チベットで店開きするレストランや土産屋などは成都から荷物を積んで「川商」といわれる四川省の商人達が主体で、オフシーズンにはトラックで山を下りる。
兵隊の交替も四川省からジープ、軍用トラックでなされた。これが青蔵鉄道によってなされるようになり、緊急展開時には航空機が使われる。

2014年に四川省とチベットの双方から工事は開始された。四川省側は成都から雅安まで(87マイル)が2018年に開通した。

チベット側はラサから林柴まで(270マイル)は2021年に開通予定。残る区間が雅安段と林柴段の間。一帯は峻嶮な山岳地帯、難工事が予測され、人民日報の大衆版『環球時報』の予測でも完成は早くて十年後の2030年という(同紙、11月8日)。

 この「川蔵鉄道」の軍事的目標はインドとの国境紛争で中国が優位を確保することにある。
ネパールを政治的に籠絡させ、インドとの分断を図る工作が積極化している一方で、ブータンへの接近も忘れない。インドと国境線で激突を繰り返す地域はインドとパキスタン国境のカシミール地区、そしてネパールに隣接するアルナチャイ・プラデシュ地域だ。

 国境地帯に中国軍は藩校級的な軍事施設を建設しているが、輸送力が高まれば、大量の兵力、武器、食糧などの後方支援物資の輸送が可能になる。
 現在の交渉進捗などという戦術は時間稼ぎでしかない。

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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 歴代天皇の御製は詩的であり、浪漫に溢れ、民への思いやり
   歌の余韻、その雄大な精神と、悲しみを国民と分かち合った

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古宮春人『和歌で読み解く 天皇と国民の歴史』(育鵬社)
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 本書は歴代天皇の歌を通して歴史を冷徹に、しかし同時に暖かく見つめ直す試みである。天皇と国民が一体となって歩んできたわが国の独自の文化伝統は、和歌が象徴した。
 神武天皇肇国のときから、天皇ならび皇族、そして臣らは和歌を詠まれた。そうだ、歴代天皇は歌人であった。
 この科学文明が進んだ現代でも、皇居では新年に「歌会始め」がおこなわれ、貴賎を問わず、庶民の歌も選ばれる。天皇皇后両陛下、皇族がたの席に国民の代表が集まる。それが日本のまつりごとの中軸にある。
 日本最古の和歌は須佐之男命の「八重垣」である(『古事記』)。

 八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を

 これは天照大神に追放され、出雲に降った須佐之男命(スサノオノミコト)が櫛名田比売(クシナダヒメ)を八岐大蛇(ヤハタノオロチ)を退治したあと妻に迎えた心境を朗じたもので、このスサノオから和歌三十一文字が定まったと伝えられる。

 天孫降臨のニニギの曽孫、神武天皇は、東征の最終段階で次を読まれた

 大和は国のまほろば たたなづく
   青垣 山籠もれる 大和し うるわし

 ヤマトタケルは東征の帰路に酒折峠にきて、次を詠んだ。

 「新治、筑波を過ぎて幾夜か寝つる」

 すると家臣のなかに焚き火の番人が

 「日々並べて 夜には九夜(ここのよ)日には十日を」

 と答えた。以上の三首は本書にはないが、後者の逸話から山梨県の酒折宮は連句会のメッカとなって、現代も多くの吟行が催行されている。
 評者(宮崎)も、もちろん参詣したが、甲府市内の東、境内には本居宣長の碑文と山縣大弐がヤマトタケルを讃えた石碑がある。山縣は武田信玄の軍師だった山縣昌景の子孫と言われ、維新の百年も前に倒幕を唱えた。

 さて本書は、応神天応、仁・天皇、雄略天皇から和歌を説き起こし、山上憶良、大伴家持ら家臣団の歌が編まれた過程から、江戸時代、明治、大正、昭和。そして三島由紀夫で完結となる。
 仁・天皇の歌は新古今和歌集に再録された。

 高き屋に 登りて見れば煙立つ 民の竈は賑はひにけり

 雄略天皇といえば『暴れん坊』のイメージが強いが、著者は「乱暴な人間が作ったとは思えない、次の有名な歌」を紹介している。

 夕されば 小倉の山に臥す鹿し 今夜は啼かず寝ねにけらしも

 著者の古宮氏がみるところ「雄略天皇は思いこみが強いとは言え、謙虚で繊細な気配りができる有能な天皇」だった。ところが、「天皇のスケールの大きさは『乱暴もの』と誤解されてしまった」(35p)。
近年の雄略天皇をモデルの小説『ワカタケル』(池澤夏樹)は秀作である。
 かくして歴代天皇の歌の解題が進められていく。正月休みにふさわしい歌の理解を深める本だ。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERSOPINIONS 読者之声
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(読者の声1)東京でもトランプ支持のデモが行われました。「Fight for Trump」というプラカードと掛け声が、銀座の表通りに出現し、通行人もビックリ、大いに注目を集めました。
先日の大阪の集会は二千名が集まったとか。メディアは一切報道していません。
   (TY生、横浜)
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