トランプ・バイデンは、何を争っているのか
私はアメリカに留学してから、この40年以上、ワシントンに通ってきた。
だが、今回の大統領選挙はこれまでにない、奇妙としかいえない戦いだった。
トランプ大統領とバイデン前副大統領による2回目のテレビ討論(ディベート)が、10月22日に行われた。第1回目は酒場で罵りあう喧嘩のようだったが、2回目もバイデン氏は目に力がなく、生気が失せてみえた。
私は1960年の大統領選挙のケネディ対ニクソンの最初のテレビ討論以後、大統領候補によるテレビ対決を見てきたが、バイデン氏は病みあがりのようで、大統領候補らしくまったくなかった。しばしば視線を降してメモを盗み見たが、これまでなかったことだった。これまでの候補者は、誰もが颯爽としていた。
2回目の討論が終わってから、アメリカの大手新聞・テレビの大方の審判は、「ドロゥ(引き分け)」だった。大きな理由が、バイデン氏に「失言がなかった」というものだった。
バイデン氏はコロナによって、自宅の地下室につくったテレビスタジオに籠るのを強いられて、頻繁に集会に出ることがなかったのに、救われた。
アメリカのメディアの偏向は酷かった
バイデン氏は77歳になって、あきらかに知的能力を失って、アルツハイマー症の初期症状を患っている。3月に民主党の大統領候補を選ぶ予備選挙がいっせいに行われると、上院議員だったころを思い出して、マイクへ向かって「私は上院議員選挙に挑戦している」と述べたり、別の会場では「今世紀に入って、アメリカで銃(ガン)犯罪(クライム)によって1億5000万人が死んだ」「私が大統領となったら4億人のアメリカ女性を応援する」(アメリカの人口は3億2000万人)、「習近平と親しい」というべきところを、「?小平」と口走った。
7月には集会で、「アメリカでコロナによって、1億2000万人が死んだ」と叫び、11月に入って、「私は上院議員選挙に挑んでいる」と、また口を滑らせている。
どうして民主党は、バイデン氏のようなまったく精彩を欠く、耄碌した候補者を選んだのだろうか。バイデン氏はこの春まで、民主党の多くの候補のなかで下位にあった。
予備選挙が始まると民主党の敵は、トランプ大統領ではなかった。
高い支持を獲得していたバーニー・サンダース上院議員が、主敵だった。
サンダース氏は社会民主主義者(デモクラティク・ソシアリスト)を自認して、大企業に重税を課し、国民皆健康保険、大学無料化、国防費大幅削減など、アメリカを福祉国家にかえることを訴えて、若者を中心として熱狂的な支持をえていた。
もし、サンダース氏が大統領候補となったら、民主党の自殺となった。
そこで、大統領候補を選ぶ民主党全国大会が開かれる前に、競っていた候補が全員降りて、妥協できるバイデン氏を担いだ。
私はこの春から、バイデン氏が認知症を患っていると指摘してきた。
バイデン氏は11月に入って、集会でドナルド・トランプ大統領を、「ジョージ・トランプ」と呼んで(ジョージ・ブッシュと混同したのだろう)、わきにいた夫人が「ドナルドよ!」と注意する声も、マイクに入った。
一方の大統領候補がアルツハイマー症を患っているのは、重大事であるはずなのに、アメリカの主流のマスコミは、事実を無視してきた。トランプ大統領を排撃することに熱中して、バイデン氏に不利な情報をいっさい報じなかった。
伝統社会の反撃
アメリカの大手テレビ・新聞の偏向は、酷いものだった。ジョン・レノンとオノ・ヨーコの子であるショーン・オノ・レノンが、「アメリカの大手メディアによる報道は、スターリン治下のソ連の言論弾圧より、はるかに酷いものだ」と、ネットを通じて訴えた。
バイデン氏は1月20日の大統領就任式までに78歳になるが、認知症が進んで、判断力が衰えているために、副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員と「共同大統領」をつとめることとなろう。
大統領が1、2年後に、辞任する可能性がある。
カマラは56歳、左派であり、女性、少数民族票と、サンダース議員の支持者を取り込むために選ばれたが、鼻柱が強く高慢なために、女性や有権者から嫌われていたので、昨年末までに大統領候補レースから退いていた。
アメリカが「分断されている」というが、民主党が大きく左傾するようになって、二股割きに分断されている。民主党という皮をかぶった狼――左派だ。
しかし、アメリカを2つに分けてきた、大きな対立がある。4年前のトランプ対ヒラリー・クリントンの戦いも、同じ構図のものだった。
拝金、国家意識を弱めるグローバリズム、個人の放縦な自由にもっとも高い価値を与え、伝統社会を抑圧・差別的だとして、LGBTQ(Qは変態(クイアー))などに力を与え、何よりも「多様性」を上に置く、“WOKE"(ウォーク)――目覚めた人々に対する、伝統的な共同体の反撃だった。
アメリカで行われた多くの調査によると、民主党支持者が豊かな大都市圏に住み、高所得、高学歴であるのに対して、4年前のヒラリー夫人、バイデン氏の民主党支持者からトランプ支持者を見ると、“愚鈍で、遅れた”人々だ。
誰がアメリカ社会を分断したのか
アメリカ社会を分断したのは、トランプ大統領ではなかった。グローバリズムを生業(なりわい)としている、多国籍大企業によって支えられた大手メディアだった。
アメリカの大手テレビ・新聞は、報道が公平で、不偏不党であるべきだという仮面を、恥も外聞もなくかなぐり捨てて、トランプ大統領に対して牙を剥いた。
社会の弱者、被害者だと感じる人々が、いっさいの責任を社会に押しつけるかたわら、伝統社会のいっさいの束縛を柵(しがらみ)として嫌って、放縦な自由を求める多くの“目覚めた(ウォーク)”人々が、弱者を自任する人々が勝手気儘に振る舞うのを見て、喝采している。
人種差別主義者だったといって、アメリカ各地でコロンブス、ワシントン初代大統領、リンカーン大統領の銅像であれ、何でもつぎつぎと破壊するのが、良識とされている。
自虐だが、自分を責めて苦しめるよりも、過去を束縛として軽んじて、悪霊のように祓いきよめることによって、自由になりたいという我儘でしかない。
多様性、グローバリズム、LGBTQ、ジェンダーフリーをはじめ、いっさいの区別を「差別だ」とするのを合い言葉として、アメリカ社会をつくり変えようとしている。
ジェンダーは伝統社会が男女に、それぞれ異なった役割を与えてきたことを意味しており、性区別を差別としている。
日本はアメリカの轍を踏んではならない
バイデン前副大統領を御輿として担ぐ“目覚めた”人々と、トランプ大統領を支持する“愚鈍で、遅れた”人々の、アメリカをまっ二つに分けた戦いだった。
アメリカが溶解しつつある。かたや日本はどうなるのだろうか?
戦後の日本は、国の根を否定する「自虐」を患ってきた。
今日の日本では、多くの国民がその瞬間々々の個人的な享楽を、追い求めている。伝統的ないっさいの束縛を遅れたものとして嫌って、自堕落な生活に耽っている。
多くの者が血族と地方共同体の強い絆を結んできた冠婚葬祭を、軽んじるようになっている。全国で無縁墓が急増している。共同体としての絆を失って、ひ弱な国となろうとしている。
過去は柵(しがらみ)ではない。私たちに過去こそ太い根と、力を与えてくれる。
国家を共同体として大切にしなければ、日本が漂流して座礁することになろう。
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だが、今回の大統領選挙はこれまでにない、奇妙としかいえない戦いだった。
トランプ大統領とバイデン前副大統領による2回目のテレビ討論(ディベート)が、10月22日に行われた。第1回目は酒場で罵りあう喧嘩のようだったが、2回目もバイデン氏は目に力がなく、生気が失せてみえた。
私は1960年の大統領選挙のケネディ対ニクソンの最初のテレビ討論以後、大統領候補によるテレビ対決を見てきたが、バイデン氏は病みあがりのようで、大統領候補らしくまったくなかった。しばしば視線を降してメモを盗み見たが、これまでなかったことだった。これまでの候補者は、誰もが颯爽としていた。
2回目の討論が終わってから、アメリカの大手新聞・テレビの大方の審判は、「ドロゥ(引き分け)」だった。大きな理由が、バイデン氏に「失言がなかった」というものだった。
バイデン氏はコロナによって、自宅の地下室につくったテレビスタジオに籠るのを強いられて、頻繁に集会に出ることがなかったのに、救われた。
アメリカのメディアの偏向は酷かった
バイデン氏は77歳になって、あきらかに知的能力を失って、アルツハイマー症の初期症状を患っている。3月に民主党の大統領候補を選ぶ予備選挙がいっせいに行われると、上院議員だったころを思い出して、マイクへ向かって「私は上院議員選挙に挑戦している」と述べたり、別の会場では「今世紀に入って、アメリカで銃(ガン)犯罪(クライム)によって1億5000万人が死んだ」「私が大統領となったら4億人のアメリカ女性を応援する」(アメリカの人口は3億2000万人)、「習近平と親しい」というべきところを、「?小平」と口走った。
7月には集会で、「アメリカでコロナによって、1億2000万人が死んだ」と叫び、11月に入って、「私は上院議員選挙に挑んでいる」と、また口を滑らせている。
どうして民主党は、バイデン氏のようなまったく精彩を欠く、耄碌した候補者を選んだのだろうか。バイデン氏はこの春まで、民主党の多くの候補のなかで下位にあった。
予備選挙が始まると民主党の敵は、トランプ大統領ではなかった。
高い支持を獲得していたバーニー・サンダース上院議員が、主敵だった。
サンダース氏は社会民主主義者(デモクラティク・ソシアリスト)を自認して、大企業に重税を課し、国民皆健康保険、大学無料化、国防費大幅削減など、アメリカを福祉国家にかえることを訴えて、若者を中心として熱狂的な支持をえていた。
もし、サンダース氏が大統領候補となったら、民主党の自殺となった。
そこで、大統領候補を選ぶ民主党全国大会が開かれる前に、競っていた候補が全員降りて、妥協できるバイデン氏を担いだ。
私はこの春から、バイデン氏が認知症を患っていると指摘してきた。
バイデン氏は11月に入って、集会でドナルド・トランプ大統領を、「ジョージ・トランプ」と呼んで(ジョージ・ブッシュと混同したのだろう)、わきにいた夫人が「ドナルドよ!」と注意する声も、マイクに入った。
一方の大統領候補がアルツハイマー症を患っているのは、重大事であるはずなのに、アメリカの主流のマスコミは、事実を無視してきた。トランプ大統領を排撃することに熱中して、バイデン氏に不利な情報をいっさい報じなかった。
伝統社会の反撃
アメリカの大手テレビ・新聞の偏向は、酷いものだった。ジョン・レノンとオノ・ヨーコの子であるショーン・オノ・レノンが、「アメリカの大手メディアによる報道は、スターリン治下のソ連の言論弾圧より、はるかに酷いものだ」と、ネットを通じて訴えた。
バイデン氏は1月20日の大統領就任式までに78歳になるが、認知症が進んで、判断力が衰えているために、副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員と「共同大統領」をつとめることとなろう。
大統領が1、2年後に、辞任する可能性がある。
カマラは56歳、左派であり、女性、少数民族票と、サンダース議員の支持者を取り込むために選ばれたが、鼻柱が強く高慢なために、女性や有権者から嫌われていたので、昨年末までに大統領候補レースから退いていた。
アメリカが「分断されている」というが、民主党が大きく左傾するようになって、二股割きに分断されている。民主党という皮をかぶった狼――左派だ。
しかし、アメリカを2つに分けてきた、大きな対立がある。4年前のトランプ対ヒラリー・クリントンの戦いも、同じ構図のものだった。
拝金、国家意識を弱めるグローバリズム、個人の放縦な自由にもっとも高い価値を与え、伝統社会を抑圧・差別的だとして、LGBTQ(Qは変態(クイアー))などに力を与え、何よりも「多様性」を上に置く、“WOKE"(ウォーク)――目覚めた人々に対する、伝統的な共同体の反撃だった。
アメリカで行われた多くの調査によると、民主党支持者が豊かな大都市圏に住み、高所得、高学歴であるのに対して、4年前のヒラリー夫人、バイデン氏の民主党支持者からトランプ支持者を見ると、“愚鈍で、遅れた”人々だ。
誰がアメリカ社会を分断したのか
アメリカ社会を分断したのは、トランプ大統領ではなかった。グローバリズムを生業(なりわい)としている、多国籍大企業によって支えられた大手メディアだった。
アメリカの大手テレビ・新聞は、報道が公平で、不偏不党であるべきだという仮面を、恥も外聞もなくかなぐり捨てて、トランプ大統領に対して牙を剥いた。
社会の弱者、被害者だと感じる人々が、いっさいの責任を社会に押しつけるかたわら、伝統社会のいっさいの束縛を柵(しがらみ)として嫌って、放縦な自由を求める多くの“目覚めた(ウォーク)”人々が、弱者を自任する人々が勝手気儘に振る舞うのを見て、喝采している。
人種差別主義者だったといって、アメリカ各地でコロンブス、ワシントン初代大統領、リンカーン大統領の銅像であれ、何でもつぎつぎと破壊するのが、良識とされている。
自虐だが、自分を責めて苦しめるよりも、過去を束縛として軽んじて、悪霊のように祓いきよめることによって、自由になりたいという我儘でしかない。
多様性、グローバリズム、LGBTQ、ジェンダーフリーをはじめ、いっさいの区別を「差別だ」とするのを合い言葉として、アメリカ社会をつくり変えようとしている。
ジェンダーは伝統社会が男女に、それぞれ異なった役割を与えてきたことを意味しており、性区別を差別としている。
日本はアメリカの轍を踏んではならない
バイデン前副大統領を御輿として担ぐ“目覚めた”人々と、トランプ大統領を支持する“愚鈍で、遅れた”人々の、アメリカをまっ二つに分けた戦いだった。
アメリカが溶解しつつある。かたや日本はどうなるのだろうか?
戦後の日本は、国の根を否定する「自虐」を患ってきた。
今日の日本では、多くの国民がその瞬間々々の個人的な享楽を、追い求めている。伝統的ないっさいの束縛を遅れたものとして嫌って、自堕落な生活に耽っている。
多くの者が血族と地方共同体の強い絆を結んできた冠婚葬祭を、軽んじるようになっている。全国で無縁墓が急増している。共同体としての絆を失って、ひ弱な国となろうとしている。
過去は柵(しがらみ)ではない。私たちに過去こそ太い根と、力を与えてくれる。
国家を共同体として大切にしなければ、日本が漂流して座礁することになろう。
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