菅政権になって、デジタル庁を設置するためもあって、「タテ割りの打破」がテーマになっている。
河野太郎・行革大臣も「タテ割り110番」を設置したら、4000件のメールがあったと言っていた。

しかし彼らの認識は、どちらかというとピント外れである。たとえば菅総理が言っているのは、主にマイナンバーに健康保険証や運転免許証を一体化するのに中々抵抗が強いから、それらをマイナンバーに一体化させようと、タテ割り打破を言っている。

しかし行政にタテ割りが起きている理由には、2つある。1つは免許証交付や健康保険証の場合は、その目的に従って、もっとも効率のよいシステムを追求してきた結果、システムが閉鎖的に完結する。
これはタテ割りの弊害ではない。システムの設計当時はマイナンバーとの一体化を想定せずに、もっとも効率の良いシステムを採用したというだけで、批判される話ではない。

次にタテ割りの弊害は、明治以来の中央集権体制にある。
明治維新において、「西欧に追いつけ追い越せ」と国家体制を検討した結果、中央集権型の国家とした。
その中で、各省庁をタテ割りにして、人事の採用・移動を各省庁の内部で完結する「分業固定の国家体制」にした。

このタテ割りこそが現代の問題である。官僚は分業固定の中で思考し、判断するから、国益よりは省利省益を優先するようになる。
定年後の天下りも、各省の後輩が面倒を見てくれるから、省利省益を絶対視し、国益を後にする傾向が身についてしまう。

この分業固定のタテ割りは、戦前の「西洋に追いつけ追い越せ」、戦後は「アメリカを見習え」と、外部から目標を与えられているときは良かった。
分業固定のシステムは、各省庁ごとの役割を有能にこなすことには優れる。これは、分業の方が生産力を増すのと同じである。
しかし、それらが達成されてしまうと、分業タテ割りでは次の全体目標を見出すことが出来ないのである。
さらには各省庁にまたがる案件や国家的緊急事態に出会うと、極めてお粗末である。
その問題が、今回のコロナ禍でも現われたのである。

民間企業において、各部門が部門ごとに人材を採用し、人事異動も部門内部だけで行なう会社は、いずれ行き詰まる。
全体を統括的に見る人材が育たないためで、当り前の話である。

ゆえに菅総理にしろ、河野大臣にしろ、タテ割りの打破を本気で追求するなら、明治以来の中央集権・分業固定の体制の打破にまで突き進む必要がある。「戦後レジュームからの脱却」のみならず、「明治レジュームからの脱却」が必要なのである。

残念ながら、菅氏にしろ河野氏にしろ、そこまでの認識は全く無い。
ちなみに、私が以前から提案し、ブログにもアップしている「道都庁制」は、タテ割り打破も意図している。
大企業の本・支店制を見習って、中央は内政省・外政省で人材を一括採用し、人事異動も、各部局を超えて行ない、もって国益と省益を一致させる。そして地方には民間の統括店に相当する道都庁、その下に、支店に相当する県を置く。
各市町村のみが国とは命令系統が別の基礎自治体とする。
一方、極めて専門性の高い、警察庁や消防庁、薬務庁やサイバー防衛庁などは採用を別に行ない、人事異動も庁内に限るものとする。
そうしないと、特殊なノウハウの蓄積と継承が上手く行かないからである。

今の内閣では、明治以来の分業固定体制の打破までには至らない。しかし、次々と押し寄せる国難に対処するための全体把握力と行動力、スピード感を官僚自身が持つためには、国益と省益を一致させる、私のいう「道都庁制=内政省・外政省方式」の国家体制に、いずれするしか無いだろう。
菅総理の登場で、その1歩手前までは来た感じがする。

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