■「加瀬英明のコラム」メールマガジン



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 日本を守る② 欧米で広がる「チャイナ・ディスタンス」


 トランプ政権のポンペイオ国務長官が、カリフォルニアのニクソン大統領記念館を舞台として選んで、中国を痛烈にこき下ろす演説を行ったのは、まさに象徴的だった。

 私がポンペイオ演説のなかでもっとも注目したのは、「アメリカの対中政策はオバマ政権に至るまで、惨憺たる失敗だった」と述べたところだった。アメリカが中国を甘やかしたために、今日の中国という巨大な妖怪をつくりだしたというのだ。

 第二次大戦後の米中関係が始まったのは、1972年にニクソン大統領が北京を訪問して、全世界を驚かせた時に始まった。そこで、ニクソン記念館を選んだのだった。

 日本にも中国という妖怪をつくりだした、大きな責任がある。

 私はそれなのに日本の大手テレビが、ヒューストンの中国総領事館の閉鎖と、ポンペイオ演説を報道した時に、「米中の覇権争いが激化している」と解説していたのを聞いて、吃驚(びっくり)した。

 いったい日本はアメリカと、中国のどっちの味方なのだろうかと、訝(いぶか)った。覇権は「権謀をもって獲得する権力」という悪い言葉で、米中をともに悪役としてみたてている。高見の見物をしている。

 習近平主席は身から出た錆(さび)、自業自得だが、追い詰められている。

 いまや、中国はアメリカでも、ヨーロッパでも“村八分”にされている。

 武漢(ウーハン)ウイルスが世界中にバラ撒かれてから、日本でも人と人との社会的距離(ソシアル・ディスタンス)をとるようになっているが、アメリカでも、ヨーロッパでも投資や、経済、技術移転について、中国と縁をぶち切ろうというチャイナ・ディスタンスが、合い言葉となっている。

 習主席は日本から尖閣諸島を奪うことによって、アメリカにひと泡(あわ)吹かせて、中国国民の喝采を浴びようとするだろうか。

 台湾を攻撃するかと、危惧されている。中国は3年前に、世界ではじめて遠い月の裏面に無人探査機を着陸させたが、人民解放軍に幅180キロの台湾海峡を渡る能力はあるまい。失敗すれば、習政権の生命(いのち)取りになろう。

 そのかわりに、台湾が南シナ海に実効支配している、小島の太平島を攻撃して奪取する可能性がある。ここには台湾軍の守備隊約200人が、駐留している。