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こんにちは、エンリケです。

今朝の日経新聞に、F2後継機開発の記事が出ていました。

記事によれば、米国主導の共同開発に流れかけた日本政府の考えを日本主導必須というように変える最初のきっかけになったのが「・・・F2開発当時に中心的役割を果たした三菱重工業の神田國一氏が記し、同氏の没後5年の18年に刊行された手記『主任設計者が明かすF-2戦闘機開発』(並木書房)だった」とのことです。

1冊の本が国防のあり方を変えたのかもしれません。

そんな本を紹介できた(2019/2)ことを誇りに思います。

これを機会にぜひおよみいただきたい本です。


「はじめからできないと思ったら何もできない。進取の気性を持て」
(増田逸郎・三菱重工元技師長)

「技術者の情熱が名機を作る」
(松宮簾・元空将・防衛庁技術研究本部技術開発官(航空機担当))

「技術者の『やりたいもの』『やれるもの』の設計は顧客から不安をもって見られる。『やるべきもの(目標)』を設定し、これを実行するのが設計の基本」
(日根野譲・元三菱重工航空機事業本部長)


戦闘機開発技術者への遺言

著者の神田さんは、「おわりに」でこういう言葉を残されています。

<私たちも、FS-Xの日米共同開発において、米国の官民が考えたほど、F-16の技術を尊重したり、ありがたく思って、そのまま利用したということはありませんでした。FS-Xの設計は私たちが独自に考えた哲理です。>

これまで国内外で出たFS-Xにまつわる書は、本著の登場を通じ、相当程度内容を修正する必要が出てくる気がします。

兵器共同開発の全体像は、具体的な細部の交渉ごとや検討事項、現場でしかわからない様々な問題の解決などで成り立っている。
部外者がその詳細を知る機会はまずない。

本書は、そんな稀有な機会を提供する稀有な記録である。
手にした読者は稀有な機会をモノにできた喜びを、時の経過とともに実感することになろう。


著者の神田氏は、FS-Xプロジェクトの柱として活躍したエンジニア。

略歴は次のとおり。

1938年生まれ。群馬県出身。
1962年東京大学工学部航空学科卒業、同年新三菱重工(現・三菱重工)入社、名古屋航空機製作所に勤務。MU-2、XT-2/F-1、CCV研究機などの開発に従事。1990年FSET(F-2開発チーム)チーム・リーダー、1992年技師長・FS-Xプロジェクト・マネージャー、1997年三菱重工顧問。2013年没、享年75.

技師長と聞くだけで姿勢が直るのは私だけだろうか。


「主任設計者が明かすF-2戦闘機開発 「平成のゼロ戦」はこうして作られた!」
著:神田國一(FS-X設計チーム・リーダー)
出版社: 並木書房
発売日: 2018/12/10
サイズ: ソフトカバー 四六判259ページ
    18.8 x 13.1 x 1.9 cm
http://okigunnji.com/url/8/


FS-Xについては、手嶋さんの本が有名です。
そのためでしょうか、一般的には「アメリカが、わが国産戦闘機開発を潰した件」というイメージ「だけ」が伝わっている感を持ちます。

「FS-Xはあの時消えてなくなった」という認識を持つ人も現実には多くいます。

独自開発が米の圧力でできなくなったことはもちろん事実ですが、日米共同開発となって、F-2支援戦闘機に結実したんです。
量産化につながってるんです。

これによりわが方は、「戦闘機製造技術の継承」という極めて大きな価値を手にしたわけで、必ずしも日の丸お涙頂戴ばなしのみで片付けてはいけない重要なプロジェクトだったことがわかります。


現場は、日米共同で戦闘機を作る、という前代未聞の取り組みにあたって凄まじい時を積み重ね、越えられないと思われた壁を次々と乗り越えたのです。

その過程をリーダーの立場からつぶさに記録した本著は、「戦闘機製造技術の継承」の一点に集中。現場で最善を尽くし、立派な果実を結実させた関係者たちの大和魂の結晶ともいうべき作品です。


景山氏の手になる「解題」でわかる、本著が世に出ることになった経緯も非常に面白いです。


「主任設計者が明かすF-2戦闘機開発 「平成のゼロ戦」はこうして作られた!」
著:神田國一(FS-X設計チーム・リーダー)
出版社: 並木書房
発売日: 2018/12/10
サイズ: ソフトカバー 四六判259ページ
    18.8 x 13.1 x 1.9 cm
http://okigunnji.com/url/8/


プロジェクトリーダー自ら記した手記である点も非常に貴重です。
記述の信頼度がぜんぜん違います。

数え切れないほど現れる壁に直面した技術者たちが、知恵を出し合い、助け合ってたくましく乗り越えてゆく姿は誠に爽やか。戦闘機に少しづつ結実してゆく過程は感動的です。

なかでも、本著の総まとめともいうべき第11章は、「開発技術力継承のための三つの要諦」はじめ、そのすべてが読みどころといって差し支えありません。

わが国が続く限り永遠に残る、いや遺さなきゃいけない「技術者魂」「技術の伝承」に欠かせぬ一冊と断言して差し支えありません。名著です。

「戦闘機技術者」はもちろんですが、「戦闘機技術の恩恵を受けるすべての国民」が読む必要のある書です。


ではこのF2戦闘機開発技術史の内容を見ていきましょう。

□目次

はじめに(神田國一)9

第1章 FS‐Xの初飛行 25

   延期された初飛行 25
    FS‐X試作初号機の初飛行 28
    GD社が欲しかった日本固有の新技術 32

第2章 超音速技術習得の出発点 36

   F‐86のライセンス生産でスタート 36
    超音速機XT‐2の国内開発 40
    ジェット戦闘機F‐1の開発(FS‐T2改)48
    次世代機に欠かせない新技術の開発 51
    将来航空機技術の大物研究 55

第3章 FS‐Xの開発計画 64

   米国からの圧力 64
    FS‐X設計準備チーム 72
    日米政府間協議 77
    FS‐X日米共同開発に着手 80

第4章 FS‐Xの基本設計 84

   設計チームの発足 84
    官側TSCと民側ECM 93
    設計チームの公用語は英語 94
    三菱流の技術資料の書き方 96
    チーム・リーダーとしての役割 97
    準拠スペック 98
    開発作業の流れ 104
    FS‐Xの任務 107
    F‐16の特徴 108
    F‐16からの主要改造 111
    さまざまな壁を乗り越えて 131

第5章 現実化した「平成のゼロ戦」138

   モックアップ公開と松宮開発官の直言 138
    米国関係者のモックアップ見学 144

第6章 米国に技術移転された複合材 146

   複合材一体成形主翼の試作 146
    GDからロッキード・マーチン(LM)へ 147
    軌道に乗ったGDの主翼製造 148
    飛行制御システム試験 150
    アビオニクス・システム統合試験 152
    専門技術を持つ米国装備品メーカーの存在 153

第7章 ロールアウト 155

   FS‐X初号機組み立て完了 155
    ロールアウトの報道 159
    高性能機は美しい 161

第8章 社内飛行試験 163

   全機地上機能試験 163
    地上滑走試験 164
    初飛行に移行する条件 166
    社内飛行試験 168
    試作機納入 171

第9章 技術実用試験へ 175

   計一二〇〇回の飛行試験 175
    初期の技術試験で判明した要改善事項 178
    全機静強度試験で判明した主翼の要改善事項 181
    垂直・水平尾翼等舵面の要改善事項 186
    量産機への改善事項の反映 190
    量産初号機納入式 193

第10章 米国の評価 194

   日本への技術移転の厳しい制限 194
    米国会計検査院(GAO)の報告書 196
「独自開発に近い大規模改造」200
    開発成功について 207
    世界レベルの戦闘機の開発技術力 212
    日本に航空機開発技術を与えたのは誰だ 215
    ジェフ・シアーの結論 217

第11章 絶やしてはならない技術の継承 220

   技術の進歩に応じた開発が必要 220
   技術者の思いがFS‐Xを作り上げた 222
   「技術者の情熱が名機を作る」224
   開発技術力継承のための三つの要諦 226

おわりに(神田國一)238

   堀越二郎氏の教え 238
    松宮元開発官の「開発の教訓」241
    開発に成功した要因と今後の課題 243

主要参考文献 247

解題「平成のゼロ戦」を作り上げた技術者たちの情熱と矜持
(景山正美)250

   本書刊行の経緯 250
    神田氏の人柄とリーダーシップ 252
    チーム・リーダーの心構え 255
    技術継承─ー平成のゼロ戦と堀越二郎ー257


 はじめに(一部)

< これは、三菱重工が主契約者となり開発した、防衛省(当時防衛庁)の支援戦闘機F‐2(当時FS‐X)の技術関係の開発物語です。

  私たちはもともとFS‐Xは独自国内開発するのが当然だと考えていました。一方、米国にとって日本は米国の軍用機の重要な市場だったので、この市場を確保するとともに、同じ戦闘機を保有して、万一の場合に日米共同運用する可能性を維持したいと考えていたものと思われます。

  しかし、日本の支援戦闘機の任務は、F‐15などの要撃戦闘機を支援するのが目的ではなく、敵艦艇が日本に侵攻するのを阻止する海上自衛隊や、侵攻部隊が着上陸するのを阻止する陸上自衛隊を航空戦力で支援するのが…

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