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三島由紀夫研究会ニュースレター (令和2年4月20日)
                      通算第118号
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♪寄稿
     憂国忌五十年に想う
        比留間 誠司(三島由紀夫研究会幹事)
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昭和45年。既に半世紀50年の時が流れた。
あの日、三島由紀夫の雄たけびは全世界に向かって放たれた。「憲法改正ってものはないんだよ!」
同時代で憲法改正の聲を上げれば、「右翼」「反動」「軍国主義者」のレッテルを張られた。翌日の新聞は、三島由紀夫の「狂気」と差別用語の羅列であった。三島由紀夫・森田必勝の命と引き換えに日本への回帰は始まった。人命より重い日本への回帰であった。あれから50年、三島森田両烈士の諫言を 今なお果しえない自分を含むすべての日本人は半世紀を無為に過ごした。昭和35年憲法改正を党是としながらも護憲に徹した自民党が執権する日本。これは過ちを越えて、大いなる喪失の50年であった。
扨、昭和45年のベストセラーの本を見てみよう。
1970年(昭和45年)ベストセラー
・ ■冠婚葬祭入門(塩月弥栄子)
・ ■誰のために愛するか(曽野綾子)
・ ■冬の旅 上下(立原正秋)
・ ■スパルタ教育(石原慎太郎)
・ ■創価学会を斬る(藤原弘達)
・ ■心(高田好胤)
・ ■続・冠婚葬祭入門(塩月弥栄子)
・ ■銭の花(花登筐)
・ ■原価の秘密
・ ■アカシヤの大連(清岡卓行)
三島由紀夫はランクに入っていいない。
昭和42年度高額所得者名簿が手元にある。所得金額を全国の税務署が公表していた。今日この制度はない。昭和45年のベストセラー作家のうち住所地かつ本名が特定できれば探すことが可能だが、曽野綾子・石原慎太郎しかわからないので不公平な比較であるが、平岡公威と比較可能だ。
三島由紀夫は大田区蒲田税務署に確定申告をしていて申告所得額は 1826万円と公表されている。これは経費等を控除したまさに課税対象金額であり、実際の売上にあたる印税収入、原稿料収入とは異なる。推測では4000万円余りであろうか?三島由紀夫は兼業してはいない。まさに筆一本で稼ぎ出した所得金額である。ベストセラーに名を連ねた作家のうち、存命なのは石原慎太郎・曽野綾子のみだが、石原は神奈川県横須賀税務署に申告していてその金額は2613万円である。石原はおそらく石原プロの役員であることが推定されるので筆一本とは言い難い。兼業作家といへる。曽野綾子は申告所得額5百万円であった。三島との比較は適当ではないが、所得の対比では面白い。
では書店の新潮文庫本コーナーに行ってみやう。50年前のベストセラー作家の著作を探してみた。立原正秋は一冊。曽野綾子は7冊。石原新郎はデビュー作が一冊。他のベストセラー作家は新潮文庫にはない。三島作品はご存知のように重要作品ほとんどが文庫になっている。正漢字正仮名は失われていることは残念だが新潮文庫には34冊ある。
つまり、今でも売れているのだ。昭和45年11月25日に脱稿した「豊穣の海」以降新作はない。関わらず今日、今、読者が求め売れている。50年前の愛読者は既に鬼籍に入るかその直前である。私を含めて。
私は「表現者クライテリオン」の発行元で、ある時の編集会議の席上。富岡幸一郎先生、藤井聡先生お歴々が参加していた。富岡幸一郎先生とはほぼ同い年。昭和51年には自衛隊の体験入隊にも偶然ながら一緒に参加していた。私が三島由紀夫からサインをもらった話をしたところ、生きている三島由紀夫に会ったことがあるのは私だけだった。昭和45年4月に開催された世界剣道選手権大会のプログラムにはブルーブラックのインクも鮮やかに三島由紀夫と記されている。
没後50年、三島由紀夫は忘れ去られてしまった?
それどころか、三島の影響は色濃く残っている。京都大学助教の川端祐一郎が書き記している。ちなみに彼は39才で三島事件を知らない世代だ。
「時折、講師には富岡先生が来られて、例えば、三島由紀夫のお話をよくしておられました。
自宅に帰ってスグに、富岡先生が推奨されていた『豊饒の海』を取り寄せ、一気に四冊、読了。
そのあまりに凄まじい文学の世界に圧倒され、その文学体験が、その後のいろいろな具体的な考え方に、大きな影響を与えることとなりました。」
三島義挙以降の世代は、もちろん三島の生きている姿に接することはできない。三島作品が強烈な刺激となり、時代を超えて影響を与えている。没後50年の三島由紀夫は、今日尚、影響を与え続けている。その意味では三島由紀夫は今、今日、現在 生きてゐるといへる。
三島作品を過剰装飾な文体といふ人の前に朝日新聞は生首写真を掲載し、消し飛んばしてくれた。華麗すぎる現実の前には沈黙せざるを得ない。
三島を文学者として尊敬追慕するために憂国忌は始まったわけではない。三島の死の意味を読み解き、その「行動」「責務」を感動共感を超えてその実現を担うためにこそ憂国忌は50年続いている。ちなみに当会のご神体ともいえる色紙がある。もちろん三島の直筆である。それが「行動」「責務」である。憂国忌運動が旗として作り今日尚掲示している。この原型は後藤修一が所有していた色紙で、後藤没後は当会が所有している。
三島の著作就中、初版直筆本は求める人がいて50万円100万円と価格がつく。私の手元にも『わが友ヒットラー』の初版直筆サイン本、かつ後藤修一宛ての為書きがある。かつ、その本がサインされた経緯が報道された新聞とともにある。後藤修一の遺品である。金に換算するのが売却価格であり経済的価値となる。他の初版、革装丁の全集など全て売り払って墓の費用などに充当した。『わが友ヒットラー』は後藤のナチス研究の成果が三島由紀夫に認められたものであって、彼の人生の金字塔である。コレクションとして残す価値は300%だが、売らないので経済的価値としては存在しない。金銭価値はゼロである。
憂国忌は文学者三島のコレクションをするためには存在しているわけではない。まさに日本回帰のルネッサンス運動だ。近年、運動を支えてくれた多くの仲間が鬼籍に入るかその直前である。つい最近も「歩くブルーリボン」と呼ばれた古賀俊昭先輩が逝去された。他にも楯の会1期生早大国防部の武井宗行先輩も鬼籍に入られるなど、この10年間に多くの先輩諸兄を送った。その回顧は10年前に出版した。これからの50年を担う方々のために、三島由紀夫の「責務」その結果としての「行動」を読み解き、次の50年にはすでに鬼籍に入っている我々に 日本回復を見せてほしいのだ。
「頼む!」

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♪事務局よりのお知らせ

4月24日開催予定の公開講座を延期させて頂きます

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急激に感染が拡大している中国武漢コロナ・ウィルス禍の情勢に鑑み、きたる4月24日(金)に開催を予定しておりました三島由紀夫研究会の公開講座(講師:新保祐司先生、演題「信時潔と黛敏郎」)は、やむを得ず暫くの間延期させて頂くこととなりました。新しい開催日程につきましては、今後の状況を注視しつつ調整の上あらためてご案内させて頂くこととします。三島由紀夫研究会といたしましては、1月後半にこのウィルス禍問題が発生して以来、2月の公開講座、3月の国防講座は断固初志貫徹の方針の下万難を排して実施してまいりましたが、現下の急激に変化する情勢に鑑み、誠に残念ではございますがかかる処置を取らさせて頂きます。何卒諸事情をご理解の上ご了解賜りたく存じます。また5月から7月までの公開講座の予定につきましては、当面予定通りとさせて頂きますが、今後の情勢次第ではまた変更もありうることご了承願います。
(三島由紀夫研究会事務局)
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今後の三島由紀夫研究会の活動予定は以下の通りです
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♪4月公開講座は上記の通り延期といたします
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日時 未定 → 後日ご案内します。
会場 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
演題 「信時潔と黛敏郎」
講師 新保祐司先生(都留文科大学副学長・教授)
<講師略歴>昭和28年生。仙台市出身。昭和52年東大文学部仏文科卒。平成29年度正論大賞受賞。憂国忌発起人。著作として『信時潔』(構想社)、『「海道東征」とは何か』(藤原書店)、『義のアウトサイダー』(藤原書店)など多数。

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♪5月公開講座は井川一久氏が日本浪曼派を語る
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日時   5月22日(金)18時半開演(18時開場)
場所   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師   井川一久氏(ジャーナリスト、憂国忌発起人)
演題   現代日本と浪曼主義
講師略歴 昭和9年生れ。愛媛県出身。早稲田大学政経学部卒後朝日新聞入社。外報部で活躍。ハノイ初代支局長をはじめ長年インドシナ情勢を取材。現在も戦後ヴェトナムに残留し、対仏独立戦争や対米戦争で戦った日本人将兵の記録に取り組んでいる。また保田與重郎を中心とする日本浪曼派の思想と文学の再評価にも力を入れている。
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♪ 6月公開講座は増元照明氏による拉致問題
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北朝鮮による拉致被害者家族連絡会前事務局長の増元照明氏を講師に迎え、公開講座を開催します。開催日の6月25日は朝鮮戦争開戦70周年の記念日にも当ります。

日時  6月25日(木)18時半開演(18時開場)
会場  アルカディア市ヶ谷
講師  増元照明氏(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会前事務局長、増元るみ子さん実弟)
演題 「拉致被害者の救出なくして日本は国家といえるのか」
講師略歴 昭和30年生れ。鹿児島県出身。北海道大学水産学部卒。水産会社勤務を経て拉致被害者連絡会の事務局長を勤める。
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♪7月公開講座は荒岩宏奨氏の「荒木精之と神風連」
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今年の7月公開講座は皆様おなじみの荒岩宏奨氏(展転社代表取締役)による「荒木精之と神風連」に決まりました。荒木精之(明治40年生~昭和56年没)は熊本で活躍した思想家、文化運動家で、雑誌「日本談議」を発行して地元文化の興隆に貢献した人物です。とりわけ神風連の研究と資料蒐集、顕彰運動に功績を残しました。荒岩宏奨励氏の日本浪曼派シリーズの講演にご期待下さい。
日時 令和2年7月22日(水)18時半より
場所 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師 荒岩宏奨氏(あらいわ ひろまさ、展転社代表取締役)
講師略歴 昭和56年山口県生れ。広島大学教育学部卒。プログラマー、雑誌編集者、展転社取締役編集長を経て現在同社代表取締役。著書『国風のみやびー国体の明徴と天業の恢弘』(展転社)。
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編集後記  (事務局)
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中国武漢肺炎ウィルス(いわゆる新型コロナ・ウィルス)感染拡大は日本いや全世界の社会経済に深刻な影響を及ぼしています。これを受けて政府はまず~/