--------
↓全文読めない等の場合はバックナンバーでご覧下さい↓
http://melma.com/backnumber_45206/
--------

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成31年(2019)4月9日(火曜日)
        通巻第6038号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ギリシアのピレウス港。中国資本が買収したが、「その後」何が起きているか?
  クルーズ船ターミナル増設工事プロジェクト、突然の座礁
****************************************

 ギリシアのピレウス港ターミナルの運営権を中国が30億ドルで買収し、地中海の一大拠点として欧州各地へのコンテナセンター、物資運搬のハブとして活性化させてきた。
財政難に喘ぎ、債務不履行寸前だったギリシアとしても苦肉の策だった。しかも、それを決定したのが左翼政権だったから、いうこととやることの違う典型例と言われた。

 中国はピレウス港拡充、物流のハブ化プロジェクトを、欧州の入り口におけるBRI(一帯一路)の戦略的要衝として位置づけて気勢を挙げた。
 直後から中国が管理するターミナルでは不正インボイス、人間の密輸などが問題視されていた。

次に中国はイタリアを狙った。イタリアはG7加盟国で唯一「BRI覚え書き」に署名した。西側の一画が崩れたと分析するメディアも多かった。
ポンペオ米国務長官は「安全保障とBRIが密接に繋がっている」とイタリアの対中協力に強い懸念を表明し、「条件があまりに良すぎて、本来実現の見込みが薄い取引を、なぜ中国が持ちかけているのか自問すべきだ」と率直な苦言だった。

 中国のイタリアにおける戦略的目標はアドリア海の最終地点トリエステ港である。ピレウスからバルカンを北上する鉄道の輸送力には限界がある。トリエステ港の拠点化で、一気に欧州市場へのアクセス強化が狙い。
 しかしNATO諸国が神経を尖らせる。トリエステと言えば、チャーチルが演説した「鉄のカーテン」の南端であり、実際に1990年までイタリアとスロベニアの国境ノヴァ・ゴリッツァは高い壁で仕切られていたのだ(拙著『日本が全体主義に陥る日 ――旧ソ連三十ヶ国の真実』、ビジネス社の写真を参照)。

 さてピレウス港のその後は?
 中国の国有企業COSCOは新たに17億ドルを投じてクルーズ船ターミナル増設工事の青写真を提示し、港一帯を一大商業地区として、豪華ホテルも建設するなど、グランドデザインは薔薇色、その背後にある軍事拠点の目論見を誰も問題視しなかった。

 しかしギリシアにもナショナリストがいた。ギリシア政府は前向きだったが、当時の財務大臣のバロウフォオスが正面から反対に回った。


 ▲ジブチが中国の経済植民地化という前例

悪例がジブチだった。ピレウスは運ばれる海運の殆どはスエズ運河を経由してくるが、その紅海の入り口を扼するのがジブチであり、旧フランス領である。そのジブチが一党独裁政権の下、いつしか中国の「経済植民地」に転落していた。

マクロン仏大統領は警戒を怠らないが、旧宗主国フランスより、警戒を強めるのが米国である。
トランプ政権はオバマ前政権とはことなって地政学を重視する。ボルトン補佐官は「賄賂と不透明極まりない遣り方で、負債を政治的材料に武器として活用し、影響圏の拡大を図っているではないか」と発言を繰り返す。

ジブチには米海軍基地があり、周辺には日本の自衛隊も駐屯している。アデン海の海賊退治のための国際協力の一環だが、米軍の世界戦略上、インド洋のディエゴ・ガルシアとならぶ重点基地であり、隣に造成された中国海軍基地を「国際協力」だけと認識するには、規模が大きすぎる。

 実際、ジブチの負債は2017年のIMF報告で対GDPの比率が50%から85%へ急膨張していた。ほとんどが中国からの借金である。中国のマネーの攻勢に、独裁のジブチ政権がむしろ積極的に飛びついたのだ。その背後には巨額の賄賂がつきまとう。

「エチオピアからジブチを繋ぐ鉄道もすでに完成したが物資輸送というよりも、別の思惑で中国が活用している」とはインド軍事筋の読みだ。
アフリカの東部を繋いだ鉄道網、ハイウェイは中国の農作物のルートでも活用されている。エチオピアは旧イタリア領土、小誌が前にも述べたように、ジブチの駅舎は中国語表記、次がアラビックだ。

かくして経済植民地然とした国では賄賂で政治家が転ぶ。
中国はジブチに軍事基地を造成し人民解放軍兵士一万が駐屯させ、その周辺に工業特区、免税特区を建設中。「ジブチをアフリカの蛇口に!」が合い言葉である。
蛇口は40年前に、改革開放を開始した中国が深セン大開発の入り口として、海上運搬の拠点化した。

しかしジブチの国民の79%は貧困層、とくに40%が最貧といわれ、WFGは食糧支援を継続してきた。この国内の貧困を無視して、中国の賄賂に浸る独裁政権は、金銭的醜聞にまとわれ、国民から怨嗟の声に包まれている。


▲ギリシアは貧乏とはいえ、歴史を誇りとしている

この危機を目の前に目撃したギリシアにおいて対中警戒が強まるのも主権国家として自然の流れだろう。

「したがってギリシアは、中国の植民地でもない。不透明な方法で浸透をはかる中国を排斥するべきであり、異文化の資本で、古代からのギリシアの歴史的価値を売り渡してはならない」とバロウフォオス前財務相が正論を吐いたのだ。

 中国の開発計画青写真のなかで、プロジェクトが予定される地区のおよそ半分がギリシアの考古学的遺跡という事実とが判明し、ギリシア考古学会が反対を声明するに及んで、この計画は暗礁に乗り上げた。

「ギリシアのイリアス神話以来の考古学的遺物、遺跡を破壊する北京のドル外交に屈服して良いのか」というナショナリズムが高まる。
 なにしろ歴史的な神話を誇りとするギリシアは、この点になると意固地になり、隣国の付き合いでも激しく衝突し、アレキサンダー大王の出身地をめぐって、とうとうマケドニアの国名を「北マケドニア」に改称させたし、まとまる寸前までいきながらもトルコとはキプロス問題の決着が付かない。

 財政危機においても、EUとの交渉で粘りに粘るという執着の強さは、他国から見れば「妥協を知らない独善」と不評なのだが、他方、一部のメディアは「中国から有利な条件を引き出すためチプロス政権の『遅延作戦』でしかない」とする見方もある。
        ◇◎◎◇◎◇◎▽◎◎◇◎▽◇◎▽
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
   *********************************
  ★読者の声 ★READERS‘ OPINIONS ★どくしゃのこえ 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  ♪
(読者の声1)4月28日、「平成」の元号の下で迎える最後の主権回復記念日が近づいてまいりました。
 例年通り此日を記念しての民間有志による国民集会を開催いたしますが、此の事は即ち平成九年にその第一回を催した集会が、当初に掲げた「四月二十八日を国民の祝日に」との目標を遂に達成出来ぬままに平成時代が終ってゆくという事を意味しております。
 此の間、平成二十五年の此の日には、「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」が、政府主催の形で憲政記念館にて執り行はれ、安倍晋三総理大臣の主宰の下、畏くも 天皇・皇后両陛下の臨御を仰ぎ、参集者一同の聖壽万歳を以てこの記念日の意義を再認識致しました事は今も猶記憶に鮮やかであります。
 政府自身が初めてこの様な心入れを示してくれた事で、記念国民集会の開催者一統は公儀の見地からの力強い激励を受けた思いで、心から勇気づけられました。そして当初の目標たるこの記念の祝日化に一歩接近出来た、との手応えをも感じたものです。四月二十八日を国民の祝日とする法制化を謳った有志の国会議員連盟の諸氏も同様の督励を覚えた事であろうと推測しておりました。
      *
ところが、政府主催の記念式典開催はその年限りの盛儀として終り、後が続きませんでした。祝日法制化を目指すと謳った議員連盟もその後この目標を口にしなくなりました。
何が政治家達の熱意を冷却させてしまったのでしょうか。
折から我が国は内からも外からも、国家主権の真の確立についての更なる厳しい認識を迫られております。
内から、というのは改めて申すまでもなく、自主憲法制定の最大の眼目である、交戦権否認の九条2項を削除し、自衛隊の存在とその戦力としての法的権限を明記する事であります。自衛隊の存在が憲法を以て保証されていない、この異常な状況が放置されたまま六十五年の歳月が空費されているのは、国民に独立国家主権の尊厳といふ認識が欠如している故に、の一語に尽きます。
      *
外から迫る要請の第一は軍事同盟を以て共同防衛を約束しているはずの米国の動きであります。任期三年目に入ったトランプ大統領の唱えるアメリカ第一主義とは、彼国の国家主権の至高を国是とするとの一種の主権強化宣言であります。年来彼国の国家戦略の原則をなしているかに見えるグローバリズムの主張とは、世界の生産する利益の圧倒的多量を自国の管理下に置こうと企む野心を隠すための隠れ蓑なのです。彼等の下心に引摺られる事なく、それに対抗して相互対等の同盟関係を維持してゆくためには、ひとり我が総理大臣のみならず、国民の各層が判然と、独立国家主権の尊厳を意識する事が不可欠です。

また眼を西方に転じてみるならば、英国が現在EUを離脱するか残留するかの決断に迷い、国論が二分した苦悶の状況にある事が注意を惹きます。英国民の中の保守的知識人層は、欧州大陸に於ける各国の個別的歴史的性格を平均化し、相互の同質化を進める事で経済の合理化を進めようとするEUの功利的な構想に対し深い懐疑をつきつけたのです。この動きは、我が国の国体の独自なる伝統を守り抜かうとしている我が国の保守層に向けての、欧州最古の立憲君主政の王国からの、無言の共感をこめたメッセージと取れるでしょう。

第三に、より身近な東アジアに眼を移せばそこに厳然と存在するのは共産党独裁支配の下にある中国の世界制覇の野心であります。凡そ私共日本人の理性的世界政治観との共通性を欠いた、現在の中国の領土拡張の野望の存在自体が現在の我が国にとっての国難なのです。この国難に然るべく対処するには、或る意味で簡単な原則を一つ堅持していればよい。即ち独立国家主権の尊厳といふこの一事であります。そして問題は、様々の社会現象に徴して見て、現在の我が国民一般に、この意識が甚だ稀薄なのではないかと思われる事です。
      *
本集会の発起人・賛同者一同は、この国民集会が発足した平成九年当時の初心にもどってもう一度決意を新たにしたいと考えます。
現在の我が国にとつて目下の最大の緊要事項は国家主権の尊厳の再確認であります。それが他ならぬ自主憲法制定実現のための大前提なのであります。この重大問題を討論し、決議するために本集会への皆様の奮っての御参加を世話人一同心からお待ち申し上げております。
主権回復記念日国民集会実行委員会
世話人 入江隆則、小堀桂一郎、水島総

日時: 平成31年4月28日(日)14時00分~16時30分
場所: 星陵会館ホール(永田町二丁目十六番二号)
https://www.seiryokai.org/kaikan/map.html
事務局:日本文化チャンネル桜 TEL 03-6419-3911