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JOG(616) 求道者イチローの原動力

  前人未踏の道を行くイチローを駆り立てているものは何か。
■■ 転送歓迎 ■■ No.2847 ■■ H31.03.22 ■■ 7,791部■■

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【伊勢雅臣】イチローが引退の意向を表明したようです。記念に、下記の記事を再発信します。
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■1.「満足できるための基準はだれかに勝ったときではない」■

 平成21(2009)年9月13日、9年連続シーズン200安打のメジャー新記録を達成したイチローは「解放された。最高ですよ」と安堵の笑顔を見せた。

 108年前のウィリー・キーラ-が記録した8年連続を塗り替える前人未踏の大記録だが、「人の記録を意識しながらやるのは、気持ちのいいものではない」とも語った[1]。このコメントにイチローの野球に向かう姿勢が如実に表れている。

 自分にとって、満足できるための基準は少なくともだれかに勝ったときではない。自分が定めたものを達成したときに出てくるものです。[2,p10]

 イチローの目標は、キーラーの記録を破るというような「だれかに勝つ」ことではない。あくまで「自分が定めたもの」が目標なのだ。

 2004年にジョージ・シスラーの年間257安打という記録を84年ぶりに更新した時、記者から「これからの目標は」と聞かれた際の回答にも、この姿勢が現れている。

 野球がうまくなりたいんですよね、まだ。そういう実感が持てたらうれしいですね。これは数字には表れづらいところですけど、これはもう僕だけの楽しみというか、僕が得る感覚ですから。ただそうやって前に進む気持ちがあるんであれば、楽しみはいくらでもありますから。ベストに少しでも近付きたいですね。[2,p34]

 今回、イチローが「解放された」と喜んだのは、これでマスコミの騒ぎから解放されて、自らの「ベストに少しでも近付く」道に戻り、一人静かに楽しみながら、歩んでいけるからだろう。

■2.首位打者を狙ったら妙な打算が入る■

 打率で首位打者のタイトルを人と争うよりも、安打数にこだわる所に、イチローの姿勢が見てとれる。

 妙な打算が働くから、打席で雑念が入りバットを振ることに悪影響を与える。[2,p123]

 というのが、その理由だ。高打率を維持しようとすると、時にはボールを待って四球を狙おうというような「雑念」が入る。

 ノースリー以外の状況で(フォアボールを取りにいくような)そういう心理状態が表れたら、僕はその打席は負けだと思います。[2,p138]

 また「他人の打率が落ちてくることを知らないうちに願っている自分なんて想像したくない」[3,p184]という理由もある。

 バッターとしての真価は、一打席でも多くピッチャーに立ち向かい、一本でも多くのヒットを打つことだというのが、イチローの姿勢である。

 イチローは日本でのプロ3年目の平成6(1994)年にレギュラー選手となるとともに、日本球界初の年間200安打を打ち、パ・リーグ新記録となる打率3割8分5厘で首位打者を獲得した。この時に、イチローはこう語っている。

 皆さんは打率3割8分のことを評価しますが、僕の心の中にはまだ6割以上の打ち損じがあるという思いがあります。それを少しでも減らしていくのが今後の目標です。 [2,p91]

 3割8分という高打率で首位打者のタイトルをとっても、それはたまたま他の打者より打率が高かったという、人と比較しての外的な基準に過ぎない。「ベスト」への道は果てしない。

■3.ライバルではなく同行者■

 2002年、メジャーでの2年目のシーズンの前半終了時点で、イチローは3割5分7厘で、打率2位の位置につけていた。気の早い日米のファンは、メジャーでの2年連続首位打者、日本時代からの通算では9年連続首位打者間違いなしとの予想を立てていた。

 折り返し時点のオールスターで、メジャー屈指の強打者マニー・ラミレスが、ロッカールームでイチローにアドバイスを求めてきた。「スウィングで足を踏み出すと体が投手方向に突っ込んでしまうのはどうしたら良いのか」と聞くのである。

 大リーグにおいては大先輩のラミレスが、2年目の新参者にアドバイスを求めてくる所に、自分と同様、真摯に野球に取り組む姿勢をイチローは感じとった。

 イチローは「体がつっこんでも構わない。(グリップ部分の)手が後ろに残っていればいい」と助言した。この助言を得て、ラミレスは後半戦を3割5分4厘と打ちまくり、イチローを抜いて、自身で初めての首位打者のタイトルを手にした。9年連続の首位打者を逃したイチローは、後悔もせずにこう言った。

 自分がアドバイスした通りにラミレスがやって、それで結果が出れば嬉しいじゃないですか。僕もアドバイスで言ったことを同じようにやってきた。自分の考えていたことがそれで正しかったということになる。[3,p20]

 ラミレスは首位打者を争うライバルではない。共に打撃の道を極めようとする同行者なのだ。

■4.好敵手を失ったショック■

 一本でも多くの安打を打とうとするイチローにとって、好敵手はバッターではなく、投手である。2001年の開幕戦、イチローがメジャー公式戦で初めて対戦したピッチャーが、オークランド・アスレチックスのエース、ティム・ハドソンだった。前年のアメリカン・リーグでの最多勝投手である。そのハドソンにイチローは3打席を完全に抑え込まれ、試合後「あんなピッチャー見たことない」とコメントした。

 150キロ超のストレートがよく動くムービングファーストボールを自在に操り、フォークボール、チェンジアップの制球も抜群だった。打者のひざより下のゾーンにしかボールが来ない時もある。空振り三振を狙うよりも、ゴロで打ち取るタイプだった。イチローが一本でも凡打を少なくしようとするのに対し、ハドソンは一本でも多く凡打を打たせようとする、いわば対照的な好敵手だった。

 そのハドソンは「チームの勝敗とは別の次元で、僕の技術を上げてくれるピッチャーだった」とイチローは評価する。それからの4年間でハドソンとは50打席以上勝負して、2割3分と大苦戦していた。2004年は15打数6安打で4割と、ようやくハドソンを打てるようになってきた。

 さあ、これからという時にショッキングなニュースが舞い込んだ。球団経営の苦しいアスレチックスがハドソンをナショナル・リーグのアトランタ・ブレーブスに放出したのである。リーグが違って、ハドソンとの勝負ができなくなってしまった。

 ショックでしたよ。去年(2004)のオールスターで初めて一緒になって、コミュニケーションも少しですが取れるようになっていた。これからもっとお互いを意識しながら対戦できると思っていたのに、、、。彼のように、打者としての僕の可能性を上げてくれる、という意識を持たせてくれるピッチャーはそんなにいない。ハドソンには、技術だけでは対応できない、志の大きさのようなものがありましたから。[3,p33]

■5.「いま小さなことを多く重ねること」■

 イチローは打席に立つと、狙いを定めるようにバットをセンター方向に向け、左手で右袖の上をつまむ。イチローのトレードマークとして、全米でもすっかり有名になった仕草である。
実は、こういう仕草にも、イチローが野球に取り組む独自の姿勢が表れている。

 打席に入る前には、マスコットバットを大きく振り回し、上半身と脇腹の筋肉をストレッチする。その後は股割りを左に2回、右に2回。試合用のバットを手に取り、打席に入る直前で一度屈伸。打席に入ると、上述のルーチンに入る。一連の決まった動作を、ほぼ同じリズムで繰り返す。

 単純な一連の動きの中に自分を投ずることにより、余計なことを考えず、無心の状態を作り出すためだ。高校時代、スポーツ心理学の専門家から集中力アップのアドバイスを受けたのが発端で、以後、自分流の改造を積み重ねて、現在の形ができた。

 原型が完成したのは、レギュラーとして活躍を始めた平成6 (1994)年だった。

 それまでは打席でやっぱりいろいろ考えてしまった。でも、プロに入ってからやっぱりこれではダメだ、と。ただ、(無心の状態をつくることは)口で言うほど簡単ではないことですけど。[3,p113]

 イチローの目指す道は、こうした細かい工夫の積み重ねにある。こういう努力の末に、シスラーの…

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