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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)10月11日(木曜日)
通巻第5852号
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ニッキー・ヘイリー国連大使は2024年大統領選に照準
2020年は上院議員か、或いは副大統領を目指すだろう
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ニッキー・ヘイリー国連大使は1972年にサウス・カロライナ洲バンバーグ群で生まれた。両親はインド人、それもシーク教徒である。
母親は衣料品店を経営していた。ちなみに1972年といえば、ニクソン大統領が再選された年であり、隣のノウス・カロライナ州では、のちに「レーガンの朋友」となるジェシー・ヘルムズが上院議員に初当選した年でもある。もうひとつ「ちなみに」、このヘルムズ上院議員の補佐官をしていたのがジョン・ボルトン(元国連大使、現大統領補佐官)だった。
当時のアメリカでは、リベラルの台頭が凄まじく、反戦運動が吹き荒れ、ベトナム戦争の疲れ、ヒッピー文化、秩序の崩壊、モラルの乱れが目立った。「法の回復」が叫ばれた。
サウス・カロライナ州は、保守的な地方として知られ、インド系アメリカ人としてのニッキーは少数民族への差別を受けて育った。この体験が女性蔑視社会を嫌悪し、ジェンダー・ギャップには激しく抵抗し、フェミニズムに寛容である。彼女は美貌だが、地元のミス・コンテスト応募に、「少数民族」という理由で参加を拒否された経験もある。
彼女は政治へ志す目的を「CAN‘T IT IS NOT AN OPTION」(出来ないなんて選択肢にはない)。同タイトルの自伝を出している。
https://www.amazon.com/Cant-Not-Option-American-Story/dp/1595230858
ニッキー・ヘイリーのフルネームはニムラタ・ニッキー・ランドハワ・ヘイリーで、最後のファミリーネームは夫の姓。ふたりの間には二人の子供がある。結婚と共に彼女はシーク教徒からメソジストに改宗している。
俄然、へーリーは政治に目覚め、下院議員に挑んだ。泡沫候補扱いされたが、おりからのサラ・ペーリン、エリザベス・ドールなど女性政治家が応援に駆けつけ、逆転当選を果たした。
その後、下院議員に三期連続で当選した。ついで、ニッキー・ヘイリーはサウス・カロライナ州知事に挑んだ。最年少の、しかも初の女性知事として注目され、同州知事を二期務めた(二期途中で国連大使に指名された)。
▼ヘイリーはトランプ批判の急先鋒だった
2016年の大統領選挙では最初に保守本流の最有力候補と言われたマルコ・ルビオ(フロリダ州上院議員)、ルビオが予備選から撤退すると、次に茶会系のテッド・クルーズを応援した。
保守のタカ派、それも強硬路線を主張する政治信条に共鳴し、異端児だったドナルド・トランプを激しく批判した。
へイリーのトランプ批判は、イスラム教徒の入国制限が少数派への差別に基づくとする視点からだった。だから、トランプが当選後、いきなり批判の急先鋒だったヘイリーを国連大使に指名したとき、ワシントンには驚きが走ったのだ。
さて国連大使としての活躍は言うまでもないが、イラン、露西亜批判はトランプより強硬であり、かつベネズエラ、北朝鮮への批判も一貫していて、国連ではアメリカ・フォーストの旗幟鮮明。イスラエルの大使館移転問題でも最前衛だった。トランプの政治路線に共鳴していた。
このニッキー・ヘイリー国連大使が年内に辞任するという衝撃は、各界を揺らしたが、明らかに彼女は「次の次」、すなわち2024年の大統領選挙に照準を当てている。これを目標に共和党内の人脈、全米での資金集め、政治的影響力の拡大をなす動きをしめることになり、共和党を大きく揺らすだろう。
2020年は人事刷新によるイメージアップという文脈では、ペンスにかわって副大統領という強運に恵まれるかも知れないが、おそらくは上院議員を狙うだろう。
第一に「資質」について言えば、十分な政治才能を持つうえ、女性政治家の少ない共和党においては重宝される。かつてのフェラーロ、サラ・ペーリン、エリザベス・ドールといった女性副大統領候補や上院議員のように活躍できる才能に恵まれている。
第二に資格を問うなら、下院議員三期、州知事二期、そして閣僚級の大使と、輝ける経歴を誇り、知名度も抜群である。
州知事から大統領となった例はカーター、レーガン、ビル・クリントン、ブッシュ・ジュニアと枚挙に暇がなく、また上院銀から大統領となったのはJFK、LBJ(ジョンソン)、ニクソン、そしてオバマという前例がある。
第三にアメリカの人口動態と意識の変化から押して、ヒラリーまで残存した「ガラスの天井」(女性政治家の限界)は雲散霧消し、女性だからと言って問題視する雰囲気は消えているだろう。いや、逆に女性こそが望ましいとする社会的土壌に変貌しているかも知れない。
ましてやオバマ大統領という初の黒人大統領を経験したアメリカでは、インド系という少数民族出身を、どうこう議論する政治的風土も稀薄になっているだろう。
2024年、アメリカは初めての女性大統領出現という時代を迎える可能性が高まった。
▽◎◇◎み◇◇▽◎や◇◎◇◇ざ◇◎◇◇き◎◇◇◇
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴紙5851号、冨田浩司著『マーガレット・サッチャー』(新潮選書)についての書評を拝読しました。
国内外での旅行などの精力的な活動をこなしながら、新刊にも目を配っておられるのですね。サッチャーの残した政策の最大の足跡として、各種公益事業の「民営化」がありますが、最近、労働党が上下水道、鉄道をはじめとした民営化公益事業についての「再公営化」ないし「非民営化」を提言しており、私もあらためて労働党政策ほか英国での状況をフォローしなければと思っていた矢先でした。
『週刊新潮』最近号(10月11日号)では、藤原正彦氏が次のように書いておられます(『管見妄語』)。
「私がケンブリッジにいた頃、サッチャー首相が鉄の女としてその強腕をふるっていた。公共投資など財政出動により雇用を創出し景気をコントロールする、というケインズ型経済を社会主義的計画経済と切り捨て、一気に新自由主義に舵を切ったのである。社会保障費の大幅削減、電力、ガス、炭坑、鉄鋼、電信電話の民営化など、小さな政府や規制緩和を大々的に進めた。このため失業率は上がり、格差は拡大し、地方経済は荒廃に瀕した。世界では財政赤字を克服した首相として評判が高いが、イギリスではそうでもない。労働者階級での評判は最悪だし、中上流の保守層も英国の古き良き伝統を破壊した政治家として批判する。彼女の残した弊害を元に戻すことが90年代イギリスの重要政策となったほどだ。死亡時には死を祝う会合が全国で開かれたほどだ。国際的評価は実態を表していないのである。」
藤原氏が述べる、サッチャーについての英国内での悪評価については、私もその民営化政策の検証とともに、あらためて精査する必要があると考えてきたのですが、私事身辺の雑事に追われて果たしておりません。宮崎氏の国内外での広範な分野にわたる精力的活動を少しは見習いたいものです。
(CAM)
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(読者の声2)貴誌前号に、フォークランド紛争に関係して私の父親関・野英夫の名が出ておりました。
フォークランド戦争とサッチャーの話は、現大和ミュージアム館長の戸高一成氏が編集した『聞き書き日本海軍史』に少し詳しく出ておりますのでご紹介します。
<内外幾つかのニュースを読んだ関野さんは、「戸高さん、これは戦争になりますよ」と言うのです。どの新聞を読んでも、イギリスが抗議を申し込む---程度の報道しかなく、まさか戦争になるなどという雰囲気はない頃でした。私が、サッチャーは戦争しますかね、と言うと。「自国の領土に他国の軍隊が上陸して、放置するような国は、プライドのない国だけですよ。イギリスは、どうのこうの言っても、まともな国ですからね、必ず戦争になります」と、静かに言い切りました。間もなくサッチャーは開戦を通告し、本土から機動部隊を出撃させてフォークランド戦争になったのです。このとき、私は国家の威信とはどのようなものか、大事なことを教えられた気がしました。>
韓国に竹島を占領されても、口だけで抗議する日本は、まともな国ではないことになります。
(関野通夫)
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(読者の声3)インターポール総裁の孟宏偉が拘束された事件で、『夕刊フジ』(10月9日発行)に拠れば、宮崎さんは「『第二の王立軍事件』の性格があるとして、フランスに機密書類を提供した可能性もある」とされていますが、或いは次の四中全会で、もっと大物の失脚も視野にいれるべきともコメントされました。
となると次の標的は誰でしょうか?
(DD生、港区)
(宮崎正弘のコメント)米中貿易戦争の勃発と不況の責任を北戴河会議で追及され、つるし上げられるところでしたが、習近平は、事前の根回しやらで、なんとか躱し、こんどの孟宏偉の摘発は新しい牽制球。敵対勢力への見せしめと解釈されます。
詳しくは『正論』12月号(11月1日発売)に発表予定です。
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(読者の声4)「つくる会日本史検定講座」のご案内です。第九期日本史検定講座受講生募集開始! 今期のテーマは「目からウロコの大東亜戦争論」
「新たな視点で誇りある日本の歴史を学ぶ」を目標に続けて参りました「つくる会」の日本史検定講座がいよいよ第九期を迎え、現在受講生を募集しております。
今期は「目からウロコの大東亜戦争論」をテーマに、新たな講師も迎え、下記のとおり11月より開講します。
11/1(木) 第1講 齋藤 武夫 子供に戦争をどう教えるか-教室からの提言-
11/15(木)第2講 海上 知明 戦略と戦術から観た日本の戦争
11/29(木)第3講 河添 恵子 日本を陥れた孫文・蒋介石・毛沢東
12/13(木)第4講 藤岡 信勝 昭和12年の4つの事件と日中開戦-戦後歴史学批判-
1/10(木)第5講 三浦小太郎 歌謡曲を通して考える大東亜戦争
1/24(木)第6講 倉山 満 「お役所仕事」の大東亜戦争
2/9(土)第7講 ジェイソン・モーガン アメリカ歴史学会の現状と問題点
2/21(木)第8講 江崎 道朗 日本「敗戦革命」の危機はいかに回避されたか
開催日の2週間後には動画をメールで配信します。インターネット環境さえあれば、ご自宅でお好きなタイミングで受講可能です。
(「史実を世界に発信する会」 茂木弘道)
こちらをご覧ください!
http://www.tsukurukai.com/nihonshikenteikoza/index.html
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(休刊予告)小誌、海外取材のため10月20日‐26日が休刊です
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■宮崎正弘の新刊 ロングセラーズ 好評発売中!
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『米中貿易戦争で始まった中国の破滅』(徳間書店、定価1296円)//


