From 三橋貴明
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『三橋貴明の「新」経世済民新聞』
2018/10/1
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「おカネの話(後編)」
From 三橋貴明
【今週のNewsピックアップ】
いわゆる「国の借金」と戦争(前編)
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12407162378.html
いわゆる「国の借金」と戦争(後編)
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12407349685.html
前回からの続きです。
人類は伝統的におカネに関する誤解を継承し、「おカネは貴金属(モノ)」であるという間違った認識を持ち続けて来ました。
それが、決定的に壊されたのが、1600年代です。
1600年代の覇権国オランダのアムステルダム銀行では、手形と振替の決済が大流行しました。
(1)A商人が、アムステルダム銀行に預金しておく
(2)A商人がB商人から1,000グルデンの商品を仕入れた際に、貨幣(金貨、銀貨)ではなく手形(借用証書)を振り出し、支払う。
(3)B商人は手形をアムステルダム銀行に持ち込み、A商人の口座から自分の口座に、1,000グルデンを振り替える
という形で、交易の決算が行われるようになったのです。
まさに、今の小切手、約束手形と同じ仕組みですね。
上記の時点で、おカネは貴金属ではない、債務と債権の記録(=表券主義)であることが確定したのですが、さらにアムステイルダム銀行は、1680年代に、
「振り替えられたおカネについて、貨幣化を禁止する」
という英断(今にして思えば)を下します。
つまりは、振り替えられたおカネについて、預金者は「引き出す」「現金化する」ことが不可能になったのです。
だから何か問題があったのか。
別に、何の問題もありませんでした。
貨幣化はできなくなりましたが、手形(今風に書くと小切手)は別に構わないのです。
商人は仕入れの際に手形を振り出し、支払いを受けた売り手は手形をアムステルダム銀行に持ち込み、清算する。
ただ、それだけの話です。
アムステルダム銀行により、それまでは貴金属が中心だった貨幣は、単なる「債務と債権の記録」に戻りました。
つまりは、おカネが正常化したのです。
ところで、当時の諸国の国王は貨幣観について、未だに金属主義にとらわれており、戦争のたびに公債を発行し、金貨銀貨を借り入れていました。
貸し手側は、その国の「将来の税収」を担保に公債を引き受けます。
つまりは、金貨銀貨を貸し付けました。
戦争が終わると、国王は国内から徴収される税金で、借金を返済しなければなりませんでした。
まさに、「税金で国の借金を返済する」というわけです。
「国の借金は税金で返済しなければならない!
国の借金は将来世代へのツケの先送り」
というレトリックは、中世欧州では正しかったのです。
その後、アムステルダム銀行、イングランド銀行といった「金融システム」が整備されていき、やがて中央銀行は「無期限無利子公債」の発行が可能となります。
要するに、現金紙幣の印刷です。
中央銀行(あるいは政府)が現金紙幣の発行を独占する場合、公債の発行残高は「インフレ率」のみに制限されることになります。
インフレにならない限り、政府や中央銀行がどれだけおカネを発行しても「問題ない」という話になるのです。
まさに、今の日本がそうなのですが。
とはいえ、政府はインフレ率を無視してでも公債の発行を迫られる状況があります。
ずばり「戦争」です。
中世欧州も今も変わらず、戦争のためには政府は公債を発行せざるを得ません。
ということは、
「政府に公債を発行させなければ、戦争は起きないのではないか」
と、一見、正しいロジックのように思えるわけですが、現実的には「狂気の発想」に染まる人が出てきても不思議ではないのです。
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Vol488 国王公債と中央銀行(中編)
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