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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)7月9日(月曜日)
通巻第5755号
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中国のアフリカへの武器輸出は55%も増加していた
ジェット戦闘機から対戦車砲、地対空ミサイルシステムまで
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NORINCO(中国兵器工業集団有限公司 )は国務院の管理、監督下にある兵器製造企業で、ピストル、機関銃など銃器をはじめ、装甲車、戦車、無人偵察機、そしてミサイル、水陸両用車、爆弾等の軍事物資、武器の巨大メーカーである。
同時に民間向けにレーダー・光学製品、化学製品、爆発物も製造している。
中国は「アフリカの角」の要衝にあるジブチに軍事基地を造成し、すでに6000名から7000名の中国人民解放軍の兵士駐屯が確認されている。
港には、軍事基地に加えて「自由貿易加工区」を造成中で、巨額を投資しており、先週には起工式が執り行われた。
目的は何か?
表面的にはジブチを拠点にアデン湾の海賊退治、紅海ルートのシーレーン防衛が謳われている。また工業団地の目的はアフリカ諸国の経済開発協力だという。
じつは、ジブチは中国の対アフリカ武器輸出の拠点でもある。
2013年から17年にかけて、中国の武器輸出は55%増をみせ、アフリカ諸国の隅々にまで暮らしている中国人は軽く百万人を超えると推定されている。
アフリカ全体の武器輸出シェアは中国が8・6%から17%に増やし、この分、シェアを失って狼狽しているのがロシア(32%減)だった。
米国製武器は全体の11%を占めるが、高価なので、需要は強くとも、購買力のない国が多い。だから廉価の中国製武器に飛びつくというわけだ。
NORINCO製造の最新型戦車はGL―5と言われるシステムで360度回転型。24両をタンザニアへ、30両をガーナに輸出した。
JF17型ジェット戦闘機はナイジェリア、ザンビア、ジンバブエなどに。
ミサイル・ランチャーはパキスタンとの合弁企業でからの輸出であり、合計100基を、スーダンと、コンゴに売却した。
コンゴは中国の電気自動車の電池に必要なコバルトの産地、スーダンは中国の油田鉱区がある。南スーダンから700キロのパイプラインをポート・オブ・スーダンへ輸送し、一日20万バーレルの原油が中国に運ばれている。いずれも中国が裨益する拠点である。
このほかに対戦車砲、弾薬、武装ヘリなど、地域の軍事バランスを構わずに売りつけ、ロシアは市場を荒らされた上、中国製の武器はロシアのコピーが多いため、北京政府に厳重な抗議を重ねてきた。この抗議により中国製のJ―20ジェット戦闘機の輸出は、行われていない。
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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中露関係は「離婚なき便宜的結婚」と揶揄されて久しいが
軍事技術をロシアからも盗む中国にプーチンは腹の底ではすえかねている。
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廣瀬陽子『ロシアと中国、反米の戦略』(ちくま新書)
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しばしフィンランドで研究生活をおくっていた廣瀬陽子・慶應義塾教授、二年ぶりの新作である。本来、氏の専門はカフカスとロシアである。
中露関係は蜜月の『同盟』と評価され、欧米も西側各国も、日本も、両国のあぶなっかしい緊密ぶりを警戒している。
とくに両国の軍事力向上のための協力関係は甚だしく危険とみている。
しかし、なぜ。中国人を生理的に嫌うロシアが、中国と親密ぶりをアピールしなければならないのか、そのロシアの深層心理をえぐる、政治論文にして文化論となっているのが本書である。
「欧米との対峙という側面では、中露関係は極めて緊密に見える。しかし、その実態もそれほど単純なものではないのが実情だ」とする廣瀬さんは、「それぞれ大国意識が強く、両者間には、勢力圏争いともとれる動きがしばしば見られる。ロシアが中国の勢力圏拡大およびロシアの勢力圏の侵害を警戒している」。
第一は中国のBRI(一帯一路)への不快感である。中国はカネにあかせて、ずかずかとロシアの中庭に泥靴で侵入してきた。
カザフスタンとウズベキスタンへ中国は異様な投資をおこなっているが、ロシアにとっては旧ソ連のメンバーであり、不愉快な事実である。
中露関係は「離婚なき便宜的結婚」と揶揄されて久しいが、中央アジア諸国への中国の進出をプーチンは「『ロシアの影響圏侵害』」と認識しているうえ、すでに「許容範囲を超えたと考えている。しかし、今のロシアには中国に対抗する力はなく、黙認せざるを得ない状況にあると言えそうだ。旧ソ連地域に関しては、米国の進出や関係国の親欧米路線についてのみ、神経質に対応しているのが現状」(219P)というわけだ。
第二にプーチンにとって「ソ連解体は二十世紀の地政学的惨事」と総括しているけれどもソ連帝国の再現は「無邪気な試み」として西側の脅威論を否定してきた。
じつは2011年頃からロシアの中国警戒は高まりをみせていたのだ。
ロシアは中国のシルクロードに対抗するために鉄道の「南北縦貫回廊」の建設を始めている。ロシアからイラン、アゼルバイジャンを結ぶ経済回廊であり、さらにパイプラインを、その先のジョージアからトルコへ敷設することで、プーチンとエルドアンは合意している。
ロシアを中枢としてフィンランドまで結ぶと、「中国の『シルクロード鉄道』に代替しうる新しい欧州へのルートが生まれる」(85p)というのがプーチンの思惑である。
しかしこのような経済的な投資は表面的なことに過ぎない。
第三が軍事技術をめぐる攻防である。
中国はアメリカからばかりか、ハイテク軍事技術をロシアからも盗む。この行儀の悪い中国にプーチンは腹の底ではすえかねている。
ロシアが気を病むのは中国が軍事技術をロシアからも盗み出したうえに、その複製品、模造品兵器を大量に製造し、あろうことか、その模造品武器を輸出に回すという裏切り行為である。
「中国側の通訳がロシアのS-300地対空ミサイルの機密文書を盗もうとしたとして、約一年前にロシア連邦保安庁に逮捕されていたことが突然発表された。プーチン訪中の直前」というタイミングを選んでいた。
中国とロシアの間に武器輸出を巡って衝突が起きた。
「中露間で結ばれた基本合意では、48機のスホイ35を40億ドルで売却することになっているが、その際に、ロシアは中国がリバースエンジニアリングによる機体のコピーを行わないように法的な拘束力を付加する」要求が中国によって蹴られ、交渉は纏まらなかった。なぜなら中国はロシアから輸入した戦闘機を殆どコピィし、最悪のダメージはスホイ27をコピィされたことだった。
狡猾な中国は、ロシアを険悪となったウクライナの武器産業に接近し、ミサイルや戦闘機のエンジンを手に入れた。ウクライナは空母も中国に売却した。エンジンをつけたままだったが、中国はカジノホテルに転用するなどと詐ってポスボラス海峡を越え、えんえんと大連へ運んで、改装工事、中国初の空母『遼寧』を進水させた。
問題は「艦載機」である。
遼寧の艦載機は殲滅15(J―15)で「これは2004年に中国がウクライナから取得したロシア戦闘機スホイ33の無許可コピーだ」ったのである。
中国は独自の技術で開発、製造したと嘯いたが、だれも信用しない。
「ロシアとのライセンス契約により、1998-2004年に105機が組み立てられたスホイ27―SK(殲11)には、当初、Al―31Fというロシア製航空機エンジンが装備されていたが、06年に中国の航空機製造持ち株会社が、それにかなり近い性能を持つエンジンの開発に成功した」
ロシアの武器産業は甚大な損失被害を蒙り、中国に正式に抗議した(173P)
そして前述の空母艦載機スホイ33のコピー機である。空母「遼寧」で発着鑑訓練をくりかえしているものの、成果は芳しくなく、年初来、着鑑に失敗したパイロットの死亡事故は、明らかになっているだけでも四名。
かくして本書は、これまで殆ど語られることがなかった「離婚なき便宜的結婚」という、内実の薄い、打算だけの中露の絆に鋭いメスを入れた。
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1757回】
――「支那人は巨人の巨腕に抱き込まるゝを厭はずして・・・」――中野(13)
中野正剛『我が觀たる滿鮮』(政?社 大正四年)
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もし日露戦争で日本が破れていたら、「滿蒙の野は必ずやスラブの馬蹄に蹂躙せられ終りしならん」。加えて日本が満州を経営することで「年々幾千萬圓の巨額が滿洲の土地を潤ほす」。
かくて「支那人の受けたる利?は決して尠少ならず」。中野が以前に旅行した時と較べても、「支那街、支那村落の外觀は改まりしなり」。一般には満洲は「支那最貧の地」とされるが、「少なくとも滿鐵に沿へる一帶の地方は、確に南支那地方に比して富裕なる状態を呈」している。それも「何者の恩惠にも非ず、全く我國の恩惠」である。
客観情況に立てば「滿洲なるものが支那の實力を以て維持する能はざる」以上、「日本が利權を獲得して滿洲に投資し」、結果的に現地人が恩恵を受けている」。いわば「双贏(ウイン・ウイン)関係」にあるはずだが、「事毎に我附屬地に對して惡意的行動を取り、我施設によりて富みながら我發展を阻碍しようとする」。こういった振る舞いは、やはり「彼等の利己的猜疑心」に起因するものだ。
だが、それは日本人に対するというよりは、「彼等相互間の猜疑心」に発するというべきだろう。
たとえば、ある「支那地方官憲」が日本側当事者との間の「善良の關係」を基礎に新規事業を立ち上げようとすると、「彼等は他を忖度するに必ず自己の陋劣なる心事を準繩」にして、なにか不正な利益を得たはずと疑うばかりか、「(ヤツは)日本人の爲めに籠絡せられて、某々の利權を讓りたり」と、「眼を瞋らし肘を張り、果は胸を叩きて痛嘆し、次で流涕長大息の藝當を以てし、最後に地上の輾轉して慟哭す」る。根も葉もない噂が噂を呼び、やがては噂が真実とされ新規事業は中止せざるを得ず、「(当該)地方の繁榮に向ふべき必然の利?を犠牲にするに至る」という残念な結果に終わってしまう。
一事が万事この類だが、「然らば之に對する政策は如何」。中野は「日本は滿洲に於ける利權に就て、今少しく大膽に(支那の)中央政府を壓伏して、遠慮なく之を獲得するに意なきか」との「或る滿洲に於ける有力な支那大官」の話を引く。つまり地方(出先)の小役人を相手にすると、彼は自らが管轄区域の民衆、周辺の同輩、さらには中央政府にまで神経を使わなければならないから、勢い話は進まない。//
