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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)5月8日(火曜日)
         通巻第5694号
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 中国は「自由貿易の旗手だ」と宣言したはずの習近平が
  マルクスは正しいとのたまうのは精神分裂症状ではないのか?
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 ダボス会議で習近平は「自由貿易の旗手は中国である」と宣言し、保護貿易的なイメージのある米国を揶揄したことは記憶にあたらしい。先月のボーアオ会議でも、中国は自由貿易政策を推進すると豪語してみせた。

 その舌の根も乾かぬうちに、習近平は「マルクスは正しい」と演説するのだから、どう考えても論理矛盾ではないのか。
しかも、その矛盾に気がつかないとすれば、分裂症かもしれない。
「対外的に自由貿易、対内的にマルクス」とはこれ如何に?

 2018年5月7日、北京の人民大会堂に三千名をあつめて開催した「マルクス生誕200年記念」兼「『資本論』刊行170周年記念」の学習会で、習近平が自らの思想を「21世紀のマルクス主義」と言い放った。そのうえで、「マルクスは全世界のプロレタリアートと勤労人民の革命の教師であり、近代以降のもっとも偉大な思想家」と礼賛し、「習思想」が現代のマルクスに匹敵すると定義したのである。

すでに1980年代から北京大学で『マルクス経済学』を講義すると学生は失笑した。いまの中国のヤングばかりか、共産党員ですら「マルクスって誰?」であり、知識層は『マルクスは外来思想であり、中国の伝統にはそぐわない』と批判してきた。

しかし文革時代を田舎で送り、勉学の蓄積が稀薄な習近平の世代は、マルクスに一種の郷愁を覚えるのかもしれない。ともかく拝金主義、市場経済に酔う中国で、マルクスの亡霊が復活するのは時代錯誤だろう。
▽◎◎み□△◎や◇◎□ざ▽◎○き○□▽
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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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ベラスケスが描いた「十字架のキリスト」に感動し、震撼したウナムーノ。
 七年の歳月を費やして思想界の巨匠は、「神曲」と並ぶ宗教詩を書き残した

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ミゲール・デ・ウナムーノ著、執行草舟・監訳、安倍三崎・訳
『ベラスケスのキリスト』(法政大学出版局)
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 友人がルーブル美術館へ行って、お目当ての絵画展示室へ行くと、「ない」。係員に聞くと「海外へ貸しだし中」といわれた。それも「トキオ」(東京)だった。私的なことで恐縮だが先週モスクワのトレチャコフ美術館へ行くと、お目当ての「見知らぬ女」「桃をもった少女」など、全部があった。幸運だった。トレチャコフ美術館とならぶプーシキン美術館も数十点の作品が現在上野の都立美術館で展示されている。
 また上野西洋美術館では「プラド美術館展覧会」が開催されており(5月27日まで)、ベラスケスの作品が八点含まれている。
評者(宮崎)もこの機会を見逃せないとばかりに見に行ったが、夥しい鑑賞者の列があって、いまさらながらその人気に驚いた。
 今年は日本とスペインの国交樹立150周年、そしてサラマンカ大学創立800周年であり、本国スペインばかりか、日本でも多彩な行事がある。プラド美術館展覧会は、その一環である。
 サラマンカ大学と言えば、著者のウナムーノが学長をつとめた名門校であり、翻訳者の安倍さんも留学したところだ。今上陛下が皇太子時代に訪問した大学であり、先ごろスペイン大使館が開催した記念イベントにも、天皇皇后両陛下がおでましになった。
 当該「ベラスケスのキリスト」が展示される「プラド美術館」はスペインのマドリッドにある。
世界中から、この美術館には名作群を見ようと美術愛好家がやってくる。観光客もツアー予定に組み入れられているので、列に並ぶ。周辺にはバスの駐車場もないほど混み合う。じつは評者、三年ほど前にマドリッドに滞在した折、ここにも行った。ところがあまりにも夥しい作品展示なので、肝腎の「ペラスケスのキリスト」を見損なった。
海外の美術館は、展示室がひろく、そこで座り込んでスケッチしている学生がたくさんいることに気付かれるだろう。写真撮影もフラッシュだけ禁止されているが、自由に取れる。この点で日本と異なる。
ともかく評者は上野西洋美術館に足を運んだのだが、当該作品は展示リストに入っていなかった。
しかし本書の扉口絵には当該作品のカラー写真がある。表紙はそのネガフィルムがデザインされている。
ウナムーノは、この作品を見て霊魂が揺さぶられた。
ベラスケスが描いた「十字架のキリスト」に感動し、震撼したウナムーノは、七年の歳月を費やして「神曲」「失楽園」と並ぶ宗教詩を書き残した。ヨーロッパのキリスト教の伝統につらなる作品とされるのだが、日本では完訳がこれまでなかった。
監訳者の執行草舟氏は言う。
「その思想は、近代人が抱えた悲痛そのものである。ウナムーノの叫びは、近代人の雄叫びを彷彿させる。近代が、何であるのか。近代の生命とは何なのか。それは、どこへ行くのか。そこに生きる我々は、いったい何者なのか。我々は、『新しい永遠』を掴むことができるのだろうか。ウナムーノは呻吟を続ける。この思想家は、肉と骨のあたらしい永遠を見つめ続けているに違いない」
 そして解説を書いたホアン・マシア司祭(前上智大学教授)は、こう言う。
「ベラスケスのキリストとウナムーノのキリストは生きた隠喩であって、それは死の逸話を描こうとしたり、またそれを語ろうとしている訳ではない。それは人間を真に生かす『生きている者』への賛美を歌っているのだ。この『復活した者』こそ、『肉と骨の人間』の生と死の謎を前にしたウナムーの苦悶の問いに対する、神秘に包まれた答えなのである」(358p)
 残された詩を一行一行、時間を掛けてもう一度読みたいと念じつつ、評者はいま本書を旅行鞄に入れたところである。
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)全国の地方公共団体・防災関係機関等を結んでいる衛星通信システム「LASCOMネット」は、東日本大震災において、多くの市町村で地上系の通信手段が完全に途絶し、復旧するまでの10日程度の間、国と被災自治体を結ぶ唯一の通信手段として利用され、自然災害や国民保護事案等の危機発生時における存在価値と役割が改めて見直されました。
そこで検討中の同システムの次世代システムは整備費用の大幅な価格低減と大幅な機能向上と信頼性向上が期待されています。
東日本大震災発生時の総務省消防庁長官として、総務省消防庁長官の指揮権を史上初めて行使し、福島第一原発への放水活動も調整した官僚が、今は「LASCOMネット」の最高責任者として、以上のような諸問題に関して解説してくださいます。貴重な機会ですので、多くの方々のご参加を待ち申し上げております。
         記
【日 時】 平成30年5月22日(火曜日)午後6時~8時 (受付5時30分)
【会 場】 憲政記念館・第2会議室 (千代田区永田町1-1-1/国会正面向側)
【参加費】 2000円
【講 師】:久保信保(福岡県出身、東京大学法学部卒、自治省入省、広島県副知事、総務省大臣官房審議官( 地方行政、選挙担当)、総務省選挙部長、総務省総括審議官( 政策企画担当)、総務省自治財政局長、消防庁長官を歴任して退官。現在、自治体衛星通信機構 理事長)
【主 催】グローバル・イッシューズ総合研究所
【共 催】一般財団法人尾崎行雄記念財団共催
【協 力】株式会社近代消防社
【要予約】以下の申込フォームから必ず事前にお申込みください。
http://www.ozakiyukio.jp/lectures/2018.html#0417



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(読者の声2)アジア自由民主連帯協議会 第33回講演会「ミャンマー民主化の現状と『ロヒンギャ』問題」のご案内です。
 ミャンマーでは長く続いた民主化運動の結果、アウン・サン・スーチー政権が誕生しました。しかし国内では今も様々な矛盾があり、民主国家建国への道を模索している状態です。
 これまでも民主化運動に参加し、かつ日本との様々な交流などを重ねてきたミャンマー人、ラエイマウンさんがミャンマー民主化の現状と、一部で『ロヒンギャ問題』として国際的に批判されている難民問題についても、独自の立場から発言します。
皆様方のご参加をよろしくお願いします。
        記
日 時 5月20日(日) 午後3時開場 3時半開会
場 所 TKPスター会議室市ヶ谷
http://www.kaigishitsu.jp/gmap/gmap-ichigaya.html

講 師 ラエイマウン(ミャンマー民主活動家)
参加費 1000円
主 催 アジア自由民主連帯協議会(ペマ・ギャルポ会長)
http://freeasia2011.org/japan/archives/5423
  (三浦生)



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(読者の声3)貴誌前号「トランプ大統領支持率は51%(共和党員の支持は81%)」とありますが、それなら安倍政権に対する支持率は、メディアの報道とは異なった結果ではないのでしょうか?
 新聞は作為的な、あるいは誘導質問が得意ですから、世論調査さえ操作されていると思います。
   (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)各紙それぞれが調査しているものの、固定電話から携帯、そしてスマホへと調査対象が移行している大変化という現実を前に、世論調査の対象が適正に追いついているのかも疑問ですね。若い世代は、圧倒的に保守化していますから。
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西部邁 vs 宮崎正弘
『アクティブ・ニヒリズムを超えて』(文藝社文庫)
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 この本は八年前、日米安保条約改定から半世紀を閲けみした時点で戦後史を振り返り、日本という国家がいかに精神的に堕落し、知的頽廃の縁をさまよって理想を喪失したのかを論じ合った劇談である。
 主権国家に外国の軍隊があり、日本は事実上、アメリカの保護領であるという基本的認識を共有しているので議論が噛み合わないということはなかった。
とりわけ合点したのは自存自立の精神の回復であり、西部氏が盛んに「アクティブ・ニヒリズム」に言及し、また三島由紀夫論の精髄を語り、アンドレ・マルローへの憧れを語っている。
「アクティブ・ニヒリズム」を西部氏は「ひたすら何かのアクションへ自分を駆り立ててしまえという衝動」と言った。安保反対運動も全学連も、西部氏の中ではチャレンジであり、保守への目覚めも「転向」ではなく「天性」のものだった。
 また三島論も文学論からは離れて精神、歴史のポイントを鋭く衝かれている。
 対談収録の議論は二回にわたったが、終わると決まって新宿の酒場に繰り出し、果てしない続きと演歌と軍歌のカラオケになった。妙に懐かしく時おりその光景が浮かぶ。//