■■■ JOG Wing ■■■ 国際派日本人の情報ファイル ■■■
平成三十年年頭、および最近御発表の御製、御歌を拝誦して(下)
折田 豊生
■■ 転送歓迎 ■■ No.2773 ■■ H30.04.11 ■■ 7,946部■■
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(伊勢雅臣)皇后陛下の御歌から、今上陛下に向けられた御思いを明らかにされた文章です。
>「三日ありしを」は、「たった三日しかなかったけれども、島の人々と過ごした三日間は実に充実した日々だった。そのやうな三日間に恵まれたことを」との御意であらうと拝察する。御訪問の最後の夜、両陛下は島で過ごされた三日間の出来事についてしみじみと語り合はれたのである。「愛しむ」といふ御表現に、両陛下の御心の深さをお偲びしたい。
> 平成の御代も30年の正月となり、明るい日差しが降り注ぐ中で、天皇陛下を仰がれた皇后陛下は静かな眼差しを向けてをられる。
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皇后陛下御歌
旅
「父の国」と日本(にっぽん)を語る人ら住む遠きベトナムを訪(おとな)ひ来たり
天皇皇后両陛下が斉(ひと)しくベトナム訪問を御歌に詠まれたことは、この御訪問がいかに大きな意味を持ってゐたかを物語る。
両陛下との対面が叶った元残留日本兵の家族15名は「父の国は私達にとっても母国。両陛下がベトナムに残された元日本兵の家族に心を寄せて頂いたことを有難く思ふ」と涙ながらに語った。御歌の「遠きベトナム」は家族らの「遠き日本」を慮る御表現でもあり、その距離を何とか縮めようとされる御心の反映と思はれてならない。この日家族らは、両陛下との対面によって、ほかの誰からも得ることのできない「父の国日本」の温かさを肌身に染みて感じ取ったことであらう。
両陛下のこの御訪問を契機として元残留日本兵の家族に対する関心が高まり、多くの関係者の支援によって、10月に家族の子供達14名(62~72歳)の訪日が実現した。代表者が「長年の夢が叶った」と挨拶するとき、一同が咽び泣いた。支援団体のある代表者は「止まってゐた時間がやうやく動き出したやうだ」と語った。
この年1月には安倍晋三首相もベトナムを訪問してをり、両陛下の御訪問はベトナムとの友好親善関係が一層深まるものと確信してゐるとの談話を発表してゐた。国際社会が厳しさを増す中で、両国の協力関係の強化がアジアの平和と安定について極めて大きな要因となってきてゐることは言ふまでもないであらう。
名
野蒜(のびる)とふ愛(いと)しき地名あるを知る被災地なるを深く覚えむ
野蒜は宮城県の景勝地松島湾の東方、東松島市の小さな町である。平成23年3月11日の東日本大震災ではこの地域も強い地震とその後の大津波により甚大な被害を被った(東松島市の死者1047人、不明者75人)。
植物の野蒜はねぎに似た山野草で食用とされ、昔、野蒜摘みは春の風物詩の一つだった。野蒜は御所の庭にも生えてをり、皇后陛下はよくお摘みになったといふ。
その素朴で愛らしい名前を数ある被災地の中に見出でられたときの驚きとそのことがもたらす新たな悲しみ。御歌が敢へて二文とされてゐるのには、思はず絶句せざるを得なかった御心情がそのまま表されてゐるやうに思はれてならない。
この地名は、愛ほしさと忘れがたい悲しみを伴って皇后陛下の御胸中に「深く」刻み込まれることとなった。
南の島々
遠く来て島人(しまびと)と共に過ごしたる三日ありしを君と愛(かな)しむ
平成27年に発生した口永良部島(鹿児島県)新岳の噴火により、島民は全員、屋久島の仮設住宅等における避難生活を余儀なくされてゐた。
島民の避難生活を長く案じて来られた天皇皇后両陛下は、11月、屋久島町を御訪問になり、避難者を見舞はれた。
屋久島町総合センターでは島民約60人が出迎へ、両陛下は、その代表五人と懇談の時間をお持ちになった。避難者達は「小さな島を忘れずに来て下さった」と感謝し、両陛下は被災の労苦をねぎらはれたといふ。
両陛下は、その後、沖永良部島と与論島へも足をお運びになり、御訪問先の各所で多くの島民と歓談の機会を持たれた。
沖永良部島では特産のテッポウユリが香る中で島民の歓迎を受けられ、与論島では名所百合ヶ浜を視察されたほか、国の重要無形民俗文化財「与論の十五夜踊」も御鑑賞になった。再び戻られた沖永良部島では小学生の黒糖づくりや花卉生産者の圃場(ほじょう)などを御視察になった。
この離島御訪問は、平成28年8月御発表になったお言葉の中で「日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じてきました」と述べられたとほりのお心の籠もった行幸であった。
この御歌は、「遠く来て」とあるから現地でお詠みになられたものであることがわかる。「三日ありしを」は、「たった三日しかなかったけれども、島の人々と過ごした三日間は実に充実した日々だった。そのやうな三日間に恵まれたことを」との御意であらうと拝察する。御訪問の最後の夜、両陛下は島で過ごされた三日間の出来事についてしみじみと語り合はれたのである。「愛しむ」といふ御表現に、両陛下の御心の深さをお偲びしたい。
歌会始 お題「語」 1月12日
御製
語りつつあしたの苑(その)を歩み行けば林の中にきんらんの咲く
キンランは文字どほり明るい黄色の花をつける野生蘭の一種である。よく似たエビネ蘭と違って特殊な土壌でしか生育しない。森林の下草刈りがなされなくなったことなどによる生育環境の悪化や愛好者の乱獲等により、いつしか絶滅危惧種になってしまったといふ。陛下はそのことを御存じなのであらう。滅びかねないデリケートな植物が健気に花を咲かせてゐることへの慈しみと安堵のお心を拝する。
皇后陛下御歌
語るなく重きを負(お)ひし君が肩に早春の日差し静かにそそぐ
皇后陛下は、御苦衷を誰にもお漏らしにならず象徴として粛々と務めて来られた天皇陛下の厳しい重責を思はれ、やがて御譲位により穏やかな日々をお迎へになるであらうことを御暗示になった。
平成の御代も30年の正月となり、明るい日差しが降り注ぐ中で、天皇陛下を仰がれた皇后陛下は静かな眼差しを向けてをられる。
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