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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)4月11日(水曜日)
通巻第5668号
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マレーシアも「中国の罠」に陥落したのか?
ナジブ首相が中国主導のプロジェクトにのめり込む面妖な背景
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マレーシア総選挙は5月9日と決定した。
前回の選挙で大幅に得票を減らした与党連合「UMNO」はマレー人主体だが、華僑の政党、インド系も加わっている。得票率は47%、しかし議席は60%を確保した。
次の選挙では野党への期待が高まっており、事前の世論調査では与党敗北の信号が灯っていた。
したがってラジブ首相率いる与党と野党連合の対決は大接戦なると見られていたが、土壇場へ来て選挙区の区割り変更など、狡猾な手段でナジブ政権は野党の票田を分裂させ、しかもマハティール元首相が主導する野党連合「希望連合」からイスラム政党を離脱させるなどの分裂を策した上で、活動停止処分とするなど悪質な妨害が目立つようになった。
ナジブは独立後2代目首相ラザクの息子であり、いってみればマレーシアの「太子党」を代弁する利益集団のトップ、末端の国民からは好かれていない。
マレーシア独立以後、はじめて政権交代、与党敗北色濃いという事前予測が主流となった背景には「マレーシアも中国の経済植民地となるのか」という未曾有の危機感があったからだ。
いかなる経緯があったか。
第一に中国の進める「一帯一路」プロジェクトにナジブ政権は或るスキャンダルを境目に、突如、興奮するかのように乗り気となり、熱烈な協力者となった。その理由は国家ファンド「1MDB」が抱えた巨額の不良債権という闇のファクターが存在する。
2015年に発覚した1MDBの負債は1兆4000億円といわれ、しかも、そのうちの使途不明金850億円が、なんとナジブの個人口座に振り込まれていたという疑惑が取りざたされ、マレーシア政界を震撼させた。
この穴埋めにナジブ政権は中国の一帯一路に相乗りして、資金を穴埋めにつかおうというのが中国への急傾斜の動機だとクアラランプールの情報筋は言う。
▲なぜマレー半島の東海岸を縦断する鉄道が必要なのか
中国が提示するマレーシア関連のプロジェクトには東海岸の660キロに敷設する鉄道建設がある。しかもこの鉄道建設は中国企業が主導する。
長期的には雲南省昆明からラオス、カンボジア、タイを経てマレーシアを通過し、シンガポールまでの長距離。
ところが東海岸鉄道は旅客が望み薄であり、既にバス路線が発達しているため、マレーシアではなく、中国のための鉄道ではないかという不満が渦巻く。
中国の軍事戦略では南シナ海のシーレーンが脅かされた場合のバックアップ・ルートしてマラッカ海峡ルートを確保しておくという戦略があるからだ。
あたかも江戸幕府が東海道に対しての中仙道を重視したように、あるいは日本軍参謀本部の東海道線の代替ルートとしての中央本線という位置づけと対比すれば理解できるだろう。
この鉄道に付随してクアンタン港の整備、マラッカ海峡の諸都市にある港湾の整備、ボルネオ島北部の拠点=コタキナバルへの中国軍艦寄港など中国の「海のシルクロート」に協力的なプロジェクトが並ぶ。
またマレーシアにおける中国企業の躍進も凄まじく、華為技術と中興通訊(ZTE)の二社はマレーシア通信事業に大々的に参入した。
マレーシアの国民車として親しまれるプロトン社の49・9%の株式は中国の吉利集団が購入した。
エドラ発電は中国廣核集団に売却し、バンダルマレー株の60%を中国中鉄に売却するなど、旗艦産業も外国資本に売り渡すような政策は「売国奴」だという野党側の批判に発展した。
しかし、中国の投資はますます巨大化し、民間でも巨大投資はジョホールバルの四つの島を埋め立てて建設する「フォレストシティ」である。これは中国不動産企業のトップを走る「碧佳園」がゼネコン&デベロッパーとなって完成間近だ。現場の労働者は80%が中国から、残りをパキスタンなどから連れてきた。
中国から六割、四割は地元の雇用という約束は反故にされた。
ナジブ政権は、フォレストシティ建設プロジェクトの契約に際して、例外的に外国人の土地所有を認めた。
ここには70万人の中国人が移住するために、マハティール元首相は「ナジブは国土を中国に売り渡した」と激しく攻撃し、ひろく国民の間にも、「反中ナショナリズム」が燃えあがっていたのである。
▲近年になかった保革逆転の予測が二転三転
こうした状況でマレーシアの政治は「ナジブ政権 vs マハティール元首相」という対決構造となり、マハティールが野党を結成し、野党連合を組織して、選挙に出馬すると声明を出して、準備に入った。
与党敗北予測がメディアに目立つようになると、狼狽したナジブは、このマハティール野党に解散命令を出し、(書類不備の難癖)、さらに特急作業で「反フェイクニュース法」を制定し、事実上、ナジブ政権批判を封じ込めた。
そのうえで、222の小選挙区の区割りを与党有利に再編し直し、ナジブ首相は、なりふり構わずに議会解散を強行した。マレーシアの選挙法では議会解散から60日以内に総選挙がおこなわれるという規定があり、4月10日になってマレーシア選挙管理委員会は5月9日を投票日と決めた。
この与党の電光石火の早業によって、イスラム政党が野党連合から離脱、マハティールは無所属でも立候補すると記者会見した。
世論は圧倒的に反ナジブだが、政権批判のメディア二紙が休刊を命じられ、他方ではナジブ首相が選挙目当てのバラマキ、駆け込み施策をおこなって人気の回復を図った。大票田を固めるために公務員、年金受給者への現金支給。最低賃金の上乗せ、燃料価格安定のための補助金支給、そして選挙公約では消費税廃止も謳っている。
マレーシアは伝統的な多民族国家であり、マレー系に華僑、インド系の三大民族構成というのはあまりに単純な図式である。
「華僑」と一口にいっても、多くは福建省、広東省出身であり、ついで潮州出身が多く、彼らには北京語は通じない。
マレーシア華僑を代表するのはシャングリラ・ホテルの経営者ロバート・クォク(郭?年)が有名だろう。郭は香港の老舗「サウスチャイナ・モーニングポスト」を買収して論調を北京寄りとしてから、マードックに売り抜け、さらにマードックはアリババの馬雲に譲渡した経緯がある。
この多重的な華僑の列に「海峡華僑」という「倭寇」の末裔とされる人々がいて、英語しか喋れないため「英語系華僑」とも言われる。シンガポールのリークアンユー前首相も、この海峡華僑の流れをくむ。(倭寇は前期倭寇に日本人もいたが、後期倭寇はシナ人の海賊だった)。
インド系マレーシア人はタミル語族であり、インド・アーリア系列ではなく、ベンガル流域から流れ込んだ。したがって言語もタミル語である。
ともかく上記のような複雑な、多民族国家の未来が次の選挙にかかっている。
○◎▽み□△◎や◇◎□ざ▽◎○き○□□
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)ペマ・ギャルポ先生の「侵略に気付いていない日本人」講演会のお知らせです。
記
とき 4月22日(日)1430(開場1415)
ところ 文京シビックセンター26階「スカイホール」
http://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/civiccenter/civic.html
講師 ペマ・ギャルポ(拓殖大学客員教授。チベット文化研究所所長)
https://ja.wikipedia.org/wiki/
演題 「侵略に気付いていない日本人」
参加費 1000円(学生無料)
どなたでも予約なく御参加いただけます
主催 英霊の名誉を守り顕彰する会(代表 佐藤和夫)
お問い合わせ (090)6709-9380
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(読者の声2)関西方面の愛読者の皆さん、「昭和の日のつどい」が大坂でも開催されます。同時に小さな音楽会も開催です。
記
とき 4月29日(日曜、昭和の日)1300
ところ 大阪市立歴史博物館四階講堂
http://www.mus-his.city.osaka.jp/visit/access.html
講演 高橋史郎(麗澤大学大学院特任教授)
演題 「昭和天皇をめぐる歴史的経緯について」
第二部 音楽会「昭和の小さな音楽会」
スペシャルゲスト 山口菜希(シンガーソングライター)
入場無料
お問い合わせ(090)9818-4469//


