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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)3月26日(月曜日)
        通巻第5645号
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 中国の顔面認識ソフトはすさまじい技術進歩を遂げている
  「デジタル・レーニン主義国家」は国民をハイテクで管理しはじめた
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 日本のマイナンバーのデータが中国に流れた。下請け業者が孫請けに中国人の会社に発注したからだ。
全米の連邦職員の名簿やデータは二年前に中国のハッカーに盗まれた。
 北朝鮮のハッカー部隊は、中国遼寧省の丹東と瀋陽のホテルを陣取って、世界中にランサムウエアを仕掛け、身代金をビットコインで要求する。

 よく考えてみると、北朝鮮の部隊にハイテクを教えたのは、おそらく中国軍だろう。なぜなら二つの都市は北部戦争区(旧「瀋陽軍区」)の拠点である。五年前に、この丹東から瀋陽まで列車に乗ったことがあるが、すれ違った列車のことごとくが軍用で、なかには戦車を積んでいた貨物車があった。

 十年前まで北京、上海などで特派員と会うときは、尾行を気にした。電話も、たとえば江沢民をさすときは「黒メガネの叔父さん」とかの暗喩的な記号で会話を交わしたが、盗聴されていたからである。

 それが近年、尾行がなくなった。特派員たちの持っている携帯電話で、移動先がGPSで把握できるからだ。いまではビッグデータで国民の生活を監視し、たとえばクレジットカードの記録から、当該人物が何を買って、どういう趣味があり、いつもの常連レストランまで把握する。

 そして近年、顔面認識の精密な防犯カメラが全土津々浦々に設営され、人権活動家や民主弁護士、外国要人の行き先、会った相手の特定まで行っている。

 つい三日前、筆者は乗り換えのためビエンチャンから北京空港に着いた。
驚かされたのは、乗り換えだけの旅行者にも顔面カメラを当てて、デジタルで記録していたことである。通常、どの国でも荷物のセキュリティチャックはするが、乗り換え客の写真まで取るのは米国とイスラエルくらいだろう。

『ザ・タイムズ・オブ・インディア』(2018年3月21日)が報じた。
「中国は『ハイテク全体主義時代』に突入した。公安がするサングラスには手配中の被疑者データと合致する人物と出くわすと、職務尋問、逮捕拘束がすぐさま可能なテクノジーが内部に仕掛けられている」。

SNSへの監視もさらに厳重になった。
2015年以来すでに13000のウェッブサイトが閉鎖された。「民主主義」「法治」「習近平」「自由」などと打ち込むだけで、通信記録が残り、公安にマークされるシステムがすでに完了している。
さすが国防費より国内治安対策費のほうが巨額という全体主義国家=中国だけに、国民を監視下に置くことは統治に欠かせない必須絶対の条件というわけである。

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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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将来の国家像を模索し、長期的な国家戦略を欠落させた日本
嘗ては孫氏以来の地政学、謀略を学んだ山鹿素行、吉田松陰らが輩出した

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ジョン・J・ミアシャイマー、奥山真司訳『なぜリーダーはウソをつくのか』(中公文庫)
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 戦後の日本は明治政府の指導者が燃えるように抱いていた将来の国家像。その理想を模索し、しっかりと学問を磨き、試行錯誤を続けつつも構築した長期的な国家戦略を戦後日本はいつの間にか欠落させてしまった。
 国家安全保障という思考レベルを理解できない、国際水準にとても達していない政治家、学者、ジャーナリストらが国家の政策を論じるのだから、あらゆることが嘘めいている。
戦略がない政治家が国会の議席を占めると地方議会が問題とするべきモリカケとかの枝葉の議論に口角泡を飛ばし、ますます戦略的発想から遠のく。バカを量産するシステムが、いまの日本の国政の現場で目撃できる。
しかし世界を見渡せば、かつてフランスにレイモン・アロン、ガロア将軍らに代表される戦略家がいたように、欧米の政治現場では政策立案に際して。海洋戦略のマハン、地政学の大家マッキンダー。大本のクラウゼウィツを学んだ。
 これらは必須の軍学である。
日本にも孫氏以来の地政学、謀略を学んだ山鹿素行、その弟子筋にあたる吉田松陰がいた。門下生が高杉晋作、伊藤博文、乃木希典、山縣有朋らだった。

 戦後、アメリカの軍事的保護下で平和のぬるま湯に七十三年も漬かっていると、ボケの程度は激甚なほどに劣化した。
いま米国には核戦略を解くコーリン・グレー、政治戦略を講じるミアシャイマー、日本に理解があるエドワード・ルトワックらがいる。国際政治では著名なこれらの戦略研究家らの名前が我が日本で読書人の間にも、さっぱり知られないのは、知的怠慢というより知的頽廃ではないのだろうか。
 米国には浅はかな自称「戦略家」にブレジンスキーがいたが、かれは「中国を取り込んでしまえば怖くない」などと主張していた。

本書の著者である国際政治の泰斗=ミアシャイマーは「危険な国際政治では国家はかわいいバンビになるよりゴジラになった方が良い」として、「中国が東アジアの覇権を目ざしている」と『大国政治の悲劇』のなかで対中脅威論を展開した。かれは同時に無批判にイスラエルを擁護するネオコンに対しても警鐘を鳴らした。
 国家を統治し、国政をけん引する指導者は「嘘をつく」ものである。
 「ウソは国を動かすための有益なツールであり、しかもさまざまな状況で使えるし、使うべきだ」という。しかも「リーダーたちは他国だけでなく、自国民にたいしてもウソを使うのであり、彼らがそうするのは、それが最も自国の国益にかなうものであると考える」(文庫版163p)からなのであり、それは正しい場合もある、と説く
 日本の国会議員は本書を噛み砕くように読んで、お茶に混ぜてでも服用せよ!

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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1709回】  
――「支那人に代わって支那のために考えた・・・」――内藤(16)
  内藤湖南『支那論』(文藝春秋 2013年)

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「支那現勢論」が『太陽』に掲載された同じ7月の29日から月を跨いだ8月5日までの間、内藤は「大阪朝日新聞」にやや長文の「革命の第二争乱」を発表し、北京を軸に北方を押さえる袁世凱の打倒を掲げて、南方を基盤とする反袁勢力が武力に訴えて決起した第二革命を論じている。

およそ第一革命が「敵味方の間に憎悪心が割合に緩やかで」あることから、戦乱の局面の大きさの割合に戦禍は惨烈というわけではない。だが第二革命「個人的憎悪心が非常に激しくなった結果」として発生するだけに、「戦乱の禍は、どうしても非常に惨烈になるわけである」。

以上を基本に南方と北方の両勢力が置かれた客観情況を比較して見ると、「南方の人心が既に戦乱に懲りておって、前回のごとく革命というものに対して興味を持っておらぬ、各地の商務総会などが戦乱に反対の意見を発表しておるのでも分る、それで前回のごとくそういう財源になる人々から援助を得ることが難しくなっておる」。

つまり袁世凱打倒の旗印を掲げたのはいいが、肝心の軍資金を厭戦気味の企業家が拠出したがらなくなったわけだ。これに対し北方は「支那中部の大都会を占領しておる」ことに加え列強からの借款を受け、「各国の代表者などもとにかく現在の袁世凱をして統一せしむるということを希望する点」などからして、「袁世凱の今日はむしろ清朝の末路に優っておると云うことが出来る」。

以上を根拠に、内藤は南方の反袁勢力より袁世凱を擁する「北方の方が幾らか有利である」と判断した。ここで勝敗のカギを握る海軍の動向に注目し、「支那の海軍というのは格別有力なものではないけれども、とにかく長江の連絡を取るぐらいの力はあるので、今日もその挙動は南北の勢力を支配するものになる」とした後、軍備・戦術・戦略の3点から中国の特殊性を考えた。

「支那のように軍備の発達しない国」においては軍備・戦術・戦略は「密接に関係しない」。「大局」こそが重要になるというのだ。「それで支那でも昔から天下を統一した英雄などは、皆この大局を第一に重んじ、いよいよ戦争となれば戦略を最も重んじ、そうして戦術はそれほどなる値打ちをもっておらぬ」のである。

 たとえば1946年から3年続いた国共内戦にしても、軍備・戦術・戦略のどれをとっても?介石が毛沢東に勝っていたに違いない。文化大革命にしても、党でも政府でも実権を握っていたのは劉少奇であり、毛沢東は権力中枢から外されていた。
蒋介石にしても劉少奇にしても、毛沢東を叩き潰せる客観条件は十分に整っていたはず。にもかかわらず勝者は毛沢東だった。ということは、やはり「昔から天下を統一した英雄などは、皆この大局を第一に重んじ、いよいよ戦争となれば戦略を最も重んじ、そうして戦術はそれほど大なる値打ちをもっておらぬ」との内藤の指摘は、現代にも通じるようだ。

 ホラでも妄想でも「大局」に立った大戦略を前にしては、巧妙精緻な戦術なんぞは役には立たないということか。たとえば目下焦眉の急である一帯一路である。ユーラシア大陸の東西を結び、これをアフリカにまで広げ、あわよくば南北アメリカ大陸まで包み込んでしまおうという「大局」――この場合は、大風呂敷というべきだろうが――を前にしては、やはり個々の戦術では如何にもヒ弱だ。
確かに「海洋における自由航行」という主張は正しい。だが、それだけでは脆弱が過ぎる。力のない正義なんて屁の役にも立たないんです。

閑話休題。第二革命を押さえつつある袁世凱陣営だが、列強からの借款にも限度あり。戦乱で徴税もままならず。財政基盤が弱いことは「支那のために由々しき大事」といえそうだ。
《QED》
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号に掲載された「HU生、さいたま市」氏の投書ですが、老生も、『正論』の貴論「キューバ紀行」を拝読し、なるほど、米国との国交回復後のキューバの有り様が手に取るように理解できました。
 「HU生」が書いておられない、宮崎さんのキューバ紀行への感想ですが、オバマ政権の唯一の成果とは、このキューバとの国交回復ではありませんか?
   (ID生、京都)


(宮崎正弘のコメント)そうかもしれませんね。しかしキューバへの観光客トップは米国ではなく、スペイン、フランスなど欧州勢です。//