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旧国鉄の分割民営化という大改革の一翼を担ったJR東海名誉会長の葛西敬之さんが自らの半生を振り返りつつ、若い頃に人間学を学ぶ大切さを説かれています。

葛西さんは人間学をどのように仕事に活かされたのでしょうか。

致知出版社の人間力メルマガ 2018.3.5
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葛西 敬之(JR東海名誉会長)

※『致知』2018年4月号【最新号】
※連載「二十代をどう生きるか」P112
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2年間の留学生活を経て帰国してみると、国鉄は大赤字になっており、もう迷っている余裕などなかった。
日々押し寄せてくる難問に精いっぱい対応するうちに時が経ち、今日に至ったというのが偽らざる心境である。

入社してすぐに「ここは自分が一生過ごす場所ではない」と迷いながら仕事をしていた私が、その後国鉄再建のために分割民営化を推し進め、さらに民営化後はJR東海で東海道新幹線のシステムを磨き上げてきたわけだから、人生というものは分からない。

ここで若い読者の方々のために、国鉄が崩壊に至った要因に触れておこう。
当時の国鉄は、重要な経営施策がすべて国会で決められていた。
運賃の値上げ一つを取っても国会で承認を得なければならず、常に経営合理性とは別世界の政治的駆け引きが優先された。
思い切った改革案も野党の反対で実施できず、問題を先送りし続けた挙げ句にとうとう立ち行かなくなったのである。

私は30代で国鉄の再建計画に携わる部門に配属されたが、そこで行われていたことは表面的な弥縫策に終始し、これでうまくいくという実感を持てたことは一度もなかった。
私はそうしたことの繰り返しの中で、国鉄再建には分割民営化しかないという信念を固めていった。

改革に主体的に取り組むことになったのは、国鉄経営が崩壊し、地図のない世界に踏み込んだ時で、40代に入ってからのことであった。
それからの仕事は、自らの責任で道なき道を切り開いていくものへと一変した。

その時役に立ったのは、法律や経済の知識というよりも、幼い頃からの読書体験を通じて養った人間学だったと考えている。

高校で教師を務めていた父の手ほどきで、私は幼い頃から俳句や和歌に親しみ、さらには『論語』をはじめとする古典の数々を父と差し向かいで勉強した。
それを土台に、学生時代は東西の古典や伝記、小説、幕末・明治以降の日本の政治外交史、フランス革命から第二次世界大戦に至るヨーロッパの政治外交史や戦史等のカテゴリーを中心に手当たり次第に読んだ。

仕事というものは、年齢を重ねるにつれ人間についての深い理解が求められてくる。
私が読書を通じて学んだ人間学は、仕事の責任が増すにつれ役に立った。

『論語』に書かれていることなど、子供の頃には少しも面白くは感じない。
しかし、様々な経験を積んだ後になってみると、「なるほど」と納得することが多い。例えば、……

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