NEC_1950.jpg

NEC_1819.jpg

NEC_5370.jpg




■■■ JOG Wing ■■■ 国際派日本人の情報ファイル ■■■

サンマリノ神社を訪ねて

山門美智
■■ 転送歓迎 ■■ No.2758 ■■ H30.02.26 ■■ 7,946部■■


 平成27年6月3日、私はイタリアへと飛び立った。ツアー旅行のパンフレットの中に、サンマリノでの宿泊があるものを見つけたからであった。3月末で教職を退いた自分への褒美を兼ねたイタリア旅行であった。

 この旅行を思ひ立ったのは、イタリアの遺跡や芸術にも興味があったが、サンマリノ共和国駐日大使マンリオ・カデロ氏の著書『だから日本は世界から尊敬される』(小学館新書)を読んで、昨年、サンマリノ共和国に神社が建てられたと知ったからである。

■サンマリノ共和国

 サンマリノ共和国はイタリア半島にある世界で五番目に小さい国である。カトリックの大本山、サン・ピエトロ寺院のあるバチカン市国は有名だが、私は、イタリア中部に、このような小さな独立国がもう一つあることを氏の著書を読むまで知らなかった。

 氏の著書によると、サンマリノの面積は世田谷区より少し広い61平方キロメートルで人口は約3万6千人である。紀元301年ダルマチア人の石工だった「マリン」がカトリック教徒であったためにローマ皇帝、ディオクレティアヌスの迫害を受けてティターノ山に登り、彼のもとに人々が集まり建てられた共和国としては世界一古い国である。

 サンマリノの産業は主に観光で、他に葡萄を栽培してワインなどを造ってゐる。「サンマリノ歴史地区とティターノ山」が世界文化遺産となってゐて、ここには要塞の塔、城壁、門、防御塁、聖堂や政庁、修道院、劇場などがあって、ロシアやヨーロッパから毎日沢山の人が訪れてゐる。税率が低く外国人観光客には消費税をかけないので、信頼できる日本製品も売れてゐるらしい。日本の製品はアフターサービスもよく定評がある。

 また近年はポップカルチャーのイベントも開かれ多くの人が集まるといふ。どうしてサンマリノが会場に選ばれるかといふと、軍備をもたない平和な国であるからださうである。日本も平和な国として世界中で知られてゐるやうである(防衛についてはイタリアが責任を持つから、サンマリノは儀仗隊を持つが現代的な軍隊は保有してゐない)。

■サンマリノ神社に行く

 私たちは、ミラノ・ヴェローナ・ヴェネチアを見学し、サンマリノには二日目の夜に着き、中世の雰囲気の残るティターノ山の上の街のホテルに泊った。しかし、翌日の見学ルートに神社は入ってゐなかったので、事情を説明し私だけ朝食の時間を使ってタクシーでサンマリノ神社へ向ふことになった。あらかじめ、サンマリノ駐日大使館に問ひ合せて神社の場所をメモして来てゐたので助かった。昨年建てられたばかりだから、ホテルで神社のことを尋ねても初めのうちは話が通じなかった。

 翌朝、タクシーに迎へに来てもらひ、神社へ向った。神社の周りには、葡萄畑が広がってゐた。なだらなか丘を少し登って行くと、鳥居があった。日本語で「サンマリノ神社」といふ文字が飛びこんで来た。イタリアに着いてから石造りの街並みを見て来ただけに、ここの空間だけが違ふ世界に来たやうに感じられた。
さらに進んで行くと池があって、その少し上に檜造りの社(やしろ)が見えた。朝の空気の中に、お社が静かに建ってゐた。傍らに碑があり、この神社を建立するために援助した人の名前が日本人と、サンマリノ人であらうか外国人の名とが刻まれてゐた。

 敬虔なクリスチャンであるマンリオ・カデロ氏は、なぜ神社をサンマリノに建てたのだらうか。

■マンリオ・カデロ大使について

 マンリオ・カデロ氏はイタリアのシエナに生れ、自宅にあった日本の歴史の本を読んで日本に興味をもち、幼少の頃と学生の頃に来日してゐる。フランスのソルボンヌ大学で日本語やその他の外国語語源学を修め、来日して40年になる。2002年にサンマリノ共和国の駐日特命全権大使に任命された。
2011年5月からは、各国からの駐日大使全体の代表である「駐日外交団長」に就任、陛下のお誕生日の茶会の際、代表でスピーチをされてゐる。また、一昨年10月、伊勢の式年遷宮の際には外国代表四名の一人として遷御(せんぎよ)の儀に参列されてゐる。
氏の著書を読めば分るが、皇室について、神社について、そのほか日本の歴史と文化伝統について、詳しいお方である。若い日本人が自国の歴史についての知識があまりにも乏しいことを憂へてをられる。

「初代の天皇が神武天皇であることを知らない。2千6百年以上の長きにわたって…神武天皇の男系の子孫がずっと皇位を継承している。海外では、Emperor(皇帝)という。これは、国王、大統領、首相より断然格上である。というのが世界の常識である」

 氏が日本について詳しいのは、この著書についての参考文献だけでも50冊を超えてゐるから当然であらう。私も現職教師の時、子供たちに神話や、皇室のすばらしさを伝へることを心掛けてゐたので、氏がこれほど日本のことを思はれて、本までお書きになってゐることが嬉しくてならない。

■ 世界に広げたい日本の心

 先日、北九州市でマンリオ・カデロ大使の講演会があった。直接お話に耳を傾けて、改めて有り難く思ったが、同時に日本人よ、もっと自信を持ってくださいとお叱りを受けた感じでもあった。

 氏は「日本神話と神道が日本と日本人を作ってきました。『もったいない』『いただきます』『ごちそさま』はすべてに神様の命を感じる日本人だけの言葉です。クリスチャンも祈るが、食べ物の命や作った人に感謝してゐるわけではありません」と仰有った。
そして日本の国の中心には常に皇室があり歴代の天皇陛下が「日本国民のために日々祈りを捧げて来られた」ことを知って、質素で謙虚な皇室がいかに他国の王室と違ふかについて外国人の目を通し語られた。

 氏は外交団長になって、天皇皇后両陛下にお会ひする機会がさらに増えたと言ふ。また、数多くの神社を参拝されてをり、それぞれ祀られてゐる神について大変に詳しい。

「日本には立派な神話があり長い歴史がある。私はその文化を学ぶうちに日本は、21世紀の世界にとって、規範となる国であると信じるやうになった。今日の世界が何よりも必要としてゐるのは、日本民族が培ってきた『和の心』です。
日本の神話は、日本の特色にみちてゐる。他国の神話には、絶対的権力を誇る独裁神が登場するのに日本の神話は、とても日本的である。日本の最高神天照大御神は、絶対権力をもった独裁神ではない。日本の神々は常に額を寄せ合って相談して決めてゐるのです」

 氏は日本の青年に神武天皇を知らない人が多いことを嘆かれ、

「教科書にちゃんと神武天皇のことを書いて教へなければならない。世界には、神話もないし歴史も浅い国がたくさんあるのに、神話があり長い歴史がある国に生れたことが、いかに幸せなことかを自覚して、今の日本人にはもっと自分の足元を見つめてほしい」とも仰有った。

 私も、このたびイタリアに行って、イタリアは共和国となってから、まだ百年も経ってゐない国であるといふことや、色々な街に戦ひの跡があり、勝者の遺跡が重ねられてゐたことを目にして来た。
ヴェネチアの観光ガイドに「ぼくは、日本人が礼儀正しく好きだ。日本の言葉は奥深い。いろんなニュアンスの言葉や熟語がある。言葉が沢山あるのは、日本の歴史が古いからだ」と言ってゐたことが思ひ出される。日本は世界からは魅力的な国なのだといふことを実感した。

 氏は「サンマリノの小さな神社がヨーロッパを初め世界の多くの人々の知る所となり、日本の文化と精神が伝はる拠点となることを夢見てゐる」と述べ、神社でお祭りをして御神輿を出し、楽しむ場として、サンマリノをアジアとヨーロッパをつなげる拠点としていくことを考へてゐると仰有った。
私も日本の和太鼓や舞、能などが、併せて披露できたら良いだらうなあなどと想像して楽しくなった。神社本庁公認のヨーロッパ初の神社が建立されたことを、日本人として心から感謝したいと思ふ

 氏は、16世紀末、キリシタン大名がローマ法王に遣はした天正少年遣欧使節団の「伊東マンショ」のことなどについても研究されてゐて、「彼らは日本最初のヨーロッパ大使であった」とお書きになってゐる。私もマンショたちが当時の世界でいかに素晴らしい少年であったかを知り感動した。紙面の都合で紹介できないが、是非、氏の著書をご一読いただければと思ふ。

     サンマリノ神社を訪(おとな)ふ(6月5日)
   我ひとりタクシーに乗りサンマリノ神社へ向へば心高鳴る
   日本語で「サンマリノ神社」と記したる鳥居の見ゆればうれしかりけり
   葡萄畑の岡の上(へ)に立つお社(やしろ)を訪ひくれば清々しかりけり
   日本の心広がれと建てられし欧州初の神社なりとふ
   人数多(あまた)此処を訪れ日の本の心に触れよと祈りまつりぬ

----------------------------------------------------------
購読申込・購読解除・既刊閲覧・:
  まぐまぐ: http://www.mag2.com/m/0000013290.htm
  Melma!:  http://melma.com/backnumber_256/
Mail: ise.masaomi@gmail.com または本メールへの返信で
Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
http://blog.jog-net.jp/
相互広告: 弊誌読者の参考になるメルマガとの相互広告歓迎。
-----------------------------------------------------------

◎このメルマガに返信すると発行者さんにメッセージを届けられます
※発行者さんに届く内容は、メッセージ、メールアドレスです

◎JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル のバックナンバーはこちら
⇒ http://bn.mobile.mag2.com/bodyView.do?magId=0000013290&l=byb0cf6024

◎JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル の配信停止はこちら
⇒ http://mobile.mag2.com/mm/0000013290.html?l=byb0cf6024