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西岡力先生の御講演をお聞きして
- 「激動する朝鮮半島と日本」 -

湘南 仁
■■ 転送歓迎 ■■ No.2757 ■■ H30.02.21 ■■ 7,946部■■

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(伊勢雅臣)本稿は、平成28年6月11日に開催された第19期(第28回)国民文化講座における東京基督教大学教授・「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長の西岡力先生の講演に関するレポートです。
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 今回、北朝鮮による拉致被害者救出のため長年尽力して来られた西岡先生から、救出活動に関する生々しい体験をいくつも伺ふ事ができた。それだけでなく、核開発に突き進む現在の北朝鮮の政治情勢とその意図、そしてさらには我が国の一部の人々の思想の混迷にも改めて気付かせられた。
具体的な事例を伴ったお話は示唆に富む刺激的なものばかりで、その一端なりとも多くの方々にお伝へいたしたく、特に私の印象に残った箇所に限られるが筆を執った次第である。

■国会議員のいい加減な言動

 本講演の数日前に発売された『週刊文春』に、二年前モンゴルで拉致被害者・横田めぐみさんのご両親・横田滋さん早紀江さんご夫妻がお孫さんに会はれた時の写真と記事が掲載された。記事は、ジャーナリストで参議院議員の有田芳生(よしふ)氏(民進党、去る7月10日の参議院選挙で比例区で二度目の当選)の手になるもので、あたかも写真を横田夫妻から預かったかのやうに書かれてゐた。
実際は横田さん達はお孫さんと会った際の約束を守り写真を出してはゐない。では有田氏は一体どこからその写真を入手したのか。横田家からでなければそれは北朝鮮以外にない。有田氏は去年10月訪朝してをりそれなりのパイプを北朝鮮に持ってゐる。

 それでは、なぜ北朝鮮はこの時期に有田氏にその写真を預けたのか。写真だけを見ると、大変幸せさうに見えて、拉致問題が終ったかのやうに思ふ人がゐるかもしれない。
有田氏は参議院の予算委員会と拉致特別委員会で二回、政府に対して、拉致問題は膠着してゐるから、先に人道問題を解決したらどうかと言って、横田さんとお孫さんの面会の機会をつくるために、先づお孫さんを日本に呼んだらどうか。横田さん達もそれを望んでゐる筈だからといふ趣旨の提案をしてゐる。

 同様の話が繰り返しマスコミに出て来たので、去年の9月に、横田さん達は拉致被害者の家族会と一緒に記者会見をして、横田家としては孫を日本で呼んで欲しくない、問題は娘(めぐみさん)を含め被害者全員を救出することであり、北朝鮮で生まれた子供達も含め一緒に全員が帰って来ることであって、モンゴルで孫に会へたのは有り難かったが、そのやうなことではなく全員の帰国であると明確に考へを表明してゐる。孫と面会するやうな話があったとしても会ひませんとはっきり言ってゐる。

 それにも関らず、有田氏は右のやうに全く別のことを言って、さらに北朝鮮から来たとしか考へられない「幸せさうな写真」を出してきた。それを横田さんから預かった写真であるとして公開した。しかし、横田さんから否定されると、今度は、横田さんと相談の上自分が独自に入手した写真を公開したのだといふやうに話を変へた。

 かういふ重大な問題で嘘をつくといふことは、議員として公人としていかがなものか。かうした国会議員がゐるといふことが問題であり、大いに疑義を覚える。
(本講義を聴講するまで私は、恥かしいことだが拉致問題について大まかなことしか知らず、有田氏の存在自体気にも留めてゐなかった。先日の参院選は本講義の1ヶ月後であり、同氏の動向に私も気を留めるやうになった。先般の選挙ではご承知通りの再選で、考へさせられたが、今後氏の言動を注視したいと思ってゐる)。

■北朝鮮の核ミサイル開発の狙ひ

 1998年、北朝鮮が発射したテポドン1ミサイルが日本を飛び越えた時、韓国にゐる元北朝鮮のミグのパイロットだった空軍大学教授に会ひに行って、この大陸間弾道弾が北朝鮮の軍事戦略の中でどういふ意味を占めてゐるかといふことを聞いた。

 その際、教授はじっと私の顔を睨んで、「貴方は北朝鮮問題の専門家なのにこんな基礎的なことを知らないのか。自分達は士官学校で、朝鮮戦争で勝てなかったのは在日米軍基地があったからだといふことをずっと教はってきた。
アメリカ本土から援軍が来る前に奇襲して韓国の主要部分を取れば勝てたのに、在日米軍基地から米軍が来た。仁川上陸作戦といふのは、神戸港とか博多港を使って行った。ハワイ、グァムからではなかった」旨を語ったのであった。

 そして、現在、北朝鮮はアメリカ本土まで届く核ミサイルを所有することで、アメリカ国内に反戦世論を起すことを狙ってゐる。勿論アメリカと核で対抗したら負ける訳だが、なぜ韓国のためにロス・アンジェルスやニューヨークが危険に晒されなければならないのかとアメリカ国民が思ふやうになれば北朝鮮は勝てる。
また東京を攻撃する力を持てば、沖縄の基地から海兵隊が北朝鮮に行くことを日本が認める状況になった場合には、東京を撃つぞと言へる。

 日米安保条約の第六条で、極東有事の際は日本が攻撃されてなくても在日米軍基地を使へることになってゐるが、条約上事前協議の対象になってゐる。勿論アメリカは、日本政府がノーと言っても、自国の兵士が危険にさらされてゐる時に基地から発進しないといふことはあり得ない。日本がノーと言った瞬間日米同盟はなくなると思ふが、しかしそれを北朝鮮は狙ってゐる。

 1960年代、まだ東西冷戦の最中で共産党側が負けることが分ってゐなかった時から、北朝鮮は実験用原子炉を持ち核開発をしてゐた。冷戦で共産主義陣営が崩壊した結果、体制維持のために核開発をしてゐるといふ解説が多いが、それは間違ひだ。
北朝鮮はアメリカ本土まで届く核ミサイルを持つためには他のあらゆることを犠牲にしてまでも取り組んできた。金正日は人口の15パーセント、300万人を餓死させた。しかし核開発はやめなかった。最優先課題でやってきた。その路線を金正恩も引き継いでゐる。

■歴史の教訓─半島を敵対勢力に取られないやうにするために、どうするか─

 日本の歴史は、朝鮮半島全体が反日勢力の手に落ちた時に危機が来ることを教へてゐる。古く七世紀、白村江の戦ひで唐新羅の連合軍に敗れた後、防人が関東から九州まで行って水城(みづき)(土塁・水濠)を築いて守った。唐と新羅が連合して九州に攻めて来るのに備へた。
13世紀、鎌倉時代にはモンゴルが半島の高麗を征服した後に二度日本に攻めて来た(元寇)。逆に戦国の乱世を鎮めた秀吉は半島から明まで行かうとして、明が危機感を持って戦争になった。

 明治維新後の日清戦争、日露戦争では半島を反日勢力に取られては日本の安全保障は保てないと必死の戦ひをした。日本の朝鮮統治は、経済的には明らかな持ち出しのマイナスだったが、安全保障にとって絶対に譲れないからであった。

 朝鮮戦争 を戦ったマッカーサー将軍も、解任された後、アメリカ議会で、「日本を守るためには朝鮮半島そして満州まで確保しないと守れない。だから、前の戦争で日本がやったことは理解できる」といふ趣旨の証言をしてゐる。その半島の南を戦後はアメリカが守って来た。
だから金正日、金正恩はアメリカまで届く核ミサイルを持ってアメリカを揺さぶらうとしてゐる。アメリカの世論の中に、核ミサイルを北が持たなくても韓国を守るべきなのかといふ議論が起きてゐる。
韓国では北の工作もあって「反米の声」が国の半分位を占めるやうになってゐる。従って半島が核を持つ反日国家で統一される可能性も排除できない。逆に北朝鮮の金正恩政権が先に倒れれば、半島全体が自由民主主義になって、中国に対しては、国内の自由化民主化に繋がる強い圧力になる可能性もある。

■朴正煕大統領は1960年代、次のやうな演説をしてゐる。

 「韓国のことを自由の防波堤だといふ人がゐるが私はそんな立場を取らない。防波堤とは守りだ。共産主義の波から守る防波堤だといふことだがさうではない。我々は自由の波だ。平壌から北京まで行き、北朝鮮そして中国を自由化する」と。

 東アジアでは共産党の一党独裁体制が中国に残ってゐる。北朝鮮はさらに二周遅れで、中国では廃棄された毛沢東の奪権闘争であった文化大革命をやってゐるやうなものだ。その文化大革命をやってゐる中で核武装をしてゐる。東アジアでは冷戦は全く終ってゐない。
さういふ中で北朝鮮に拉致被害者といふ人質を取られてゐるのが我が国の今の状況だ。一日も早く人質を取り戻して、全体の状況の中で半島を敵対勢力に取られないやうに、そして取られることもあり得るとして抑止力の準備をしておくといふのが、今我々が与へられてゐる緊急の課題である。

■御講演を伺って

 お話の中で先生は、交渉について、「物事が動く時は、半年とか数ヶ月は全く動いてゐないやうに見える時が必要です。本当に微妙な交渉をする時は、途中経過をマスコミに発表したら絶対にうまく行きません」と不思議と納得させられる深い自信を感じさせるお言葉を発せられた。これまでの困難な交渉体験を通しての確信の御発言かと拝された。
拉致被害者の一日も早い帰国実現を祈りつつ、「抑止力の準備」に資すべく、自分なりに研鑽に努めたい。


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