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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018)1月25日(木曜日)
通巻第5593号
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トランプ、「グローバリズムの巣窟」=ダボス会議に乗り込む
中国は劉?が「中国の新モデルが世界経済の牽引車に」と演説
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ことしのダボスはグローバリスムとナショナリズムの対決、火花が散る。
スイスの雪深いリゾートに、それも真冬に集まろうという酔狂な試みに、政治家が出席するようになったのは、ダボス会議がそれなりの影響力を保持するからである。
従来の名士の集合、ビル・ゲーツやジョージ・ソロスが主賓格だった時代とは異なって、政治の意議がむしろ高まってきた。
すでに開会セレモニーでは、インドのモディ首相が演壇にたって「世界貿易は開かれた秩序」云々と力説し、昨年の習近平「グローバリズムが世界貿易を躍進させる」の基調を継いだ。
だが、ダボスで語られるのは「綺麗事、大言壮語、実践されたためしは薄い」(『プラウダ』英語版、1月24日)と酷評し、ロシアのプーチン大統領は参加しない。日本の安倍首相も平昌五輪には出かけるが、ダボス出席は見送った。
前後してフランスのミクロンは「欧米日は、中国の台頭に目を光らせるべきだ」と述べ、また独首相のメルケルは逆に「グローバリズムに敵対する勢力の台頭は危険」などと、真っ赤さかなことを述べている。
こうした間隙をするりとぬって、美辞麗句の限りを尽くした演説をしたのは、中国から来た劉?(習近平の経済顧問格。政治局員)だった。
「量より質にもとづいて中国は経済の新モデルを構築し、世界第二位のGDP大国となった。この状況下、中国は諸外国から新しい投資への絶好のチャンスを創出する」などと薔薇色のシナリオを語った。
また劉?は「中国は改革開放以来40年の実績がある。ことしはもっと大胆に金融市場を開放する」とも述べて、聴衆の耳目を集めた。
グローバルエコノミーで裨益した、主として金融関係者が多く集まる国際会議ゆえに、ここでナショナリズムを述べるのは環境に適合しないと見られる。
▼価値紊乱者の闖入
ことしの真打ちはトランプ大統領だろう。
まさに雰囲気をぶちこわすかもしれない価値紊乱者が闖入するのだ。
ウィルバー・ロス商務長官、ムニューチン財務長官、ティラーソン国務長官らを引き連れてダボスに乗り込んだトランプ大統領は、25日(日本時間26日早朝)に演壇に立つ。何を喋るかはお楽しみ。
しかし、ダボス会議に出席した米国大統領は過去に2000年のビル・クリントンだけで、ほかの歴代大統領はダボス会議を軽視してきた。
しかもグローバルエコノミーの信奉者の集まりであり、同時に世界の名士の社交場でもあり、「アメリカンファースト」を唱えるトランプの登場は場違い、雰囲気を壊す可能性が高い。だからこそ、面白いイベントともなるだろう。
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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アメリカ人学究にも、こういう正しい歴史を知っている若者がいた
歴史学界はいまもルーズベルトが正しかった史観に支配されてはいるが。。。
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ジェイソン・モーガン『日本国憲法は日本人の恥である』(悟空出版)
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アメリカ人政治学者の新人が日本で登場した。
GHQの押しつけた国家の基本法を後生大事に墨守する日本人は、おめでたいのか、よほどの莫迦か、それにしても『日本人の恥だ』と押しつけた国の人からは言われたくないよね。
いまさら指摘するまでもないが、憲法を自主的に制定することなくして日本は救われない。こうした主張はいまや日本全国津々浦々に蔓延っていて、アメリカの学者が同調したからといって、新しく耳をそばだてる必要はないだろう。
それより、評者(宮崎)が気になったのは、なぜ、この著者が日本を理解し、日本の保守論客が言っていることと同じ発想をするに到ったかの思想遍歴である。
スコット・ストークス氏の場合、評者も知り合ってすでに47年。最大のインスピレーションは三島由紀夫である。そしてストークス氏はクエーカー教の英国紳士であるがうえにアメリカの徒らなリベラルに被れなかった。だから勇気を持って「大東亜戦争は日本が正しかった」と堂々と言えるのである。
ケント・ギルバート氏とも評者は30年の知り合いだが、最初は「南京大虐殺はあった」、「日本人は戦前ひどいことをした」とアメリカの学校で教わった世代であり、ようやくこの数年で「変身」した。
伏線としてあった動機は、卒論が三島であったこと、そしてケント氏はモルモン教徒だという二つのことを知っておく必要がある。キリスト教徒の異端は、アメリカにおいて非知性の代弁でもあり、歴史修正主義を頭から否定するリベラル派の勝利史観を鵜呑みにしない体質があるからだろう。
さて、この本の著者ジェイソン・モーガン氏の場合、その思想転換はいかにして起きたのか。そこにこそ興味がある。
幼少の頃より、親の押しつけるカソリックの価値観に馴染めなかったという出発があるのだが、アメリカでは「日本が悪い、南京大虐殺はあった」と単細胞的に信じてきた。
直接の転換点はアイリス・チャンの「レイプ・オブ・ナンキン」を読んで、そのあまりの嘘に立腹したこと、「なにかおかしい」と気がつき、大学で徹底的に、猛烈に近代史を勉強した。そしてアメリカの歴史学界を牛耳る教授等が『反米』でありながらも同時に『反日』だという錯綜した思想状況がある事実を認識するに到った。
つまりアメリカの大学教授に象徴される、所謂『インテリ』とかの人たちが、アメリカの弱体化を称賛する一方で、日本をやっつけたことも同時に称賛するという矛盾を犯していた。基底にあるのはキリスト教の傲慢さである。
それらを発見した著者は、ルーズベルト大統領の惹きおこした陰謀的な振る舞いにはたと気がつき、自らを修正主義者と攻撃されようとも真実を追究する言論活動をはじめる決意を抱くに到ったのである。
そうした意味で、本書は新しい世代への問題提議となっている。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号ですが、「すでにソフトの暗号公開を義務づけられ、データの提供が求められ、グーグルなどは中国市場を去った。中国の強引な遣り方に欧米勢はいきり立ったのだ」とありました。
ここが日本とシナの分かれ目でした。グーグルの撤退は百度に千載一遇のチャンスを与えた。
日本は事実上の属国ゆえに米国に徹底的な市場開放を許してしまった。政府主導で株式持ち合い、談合等々ほとんどの日本的経営を解消し、アメリカ標準に合わせた。米国の強引なやり方に抵抗はできなかった。
財務省や外務省などの官僚が少しでも抵抗すれば、アメリカに睨まれ出世は見込めなくなる。何も言えないし、それを信じているようだ。
プライマリーバランス(PB)も米国の圧力の一つなのだろうか?
その結果、日本的システム・経営は崩れ、日本はぬるい不景気に25年も漬かった。ハンチントンの「文明の衝突」は日本文明を高く評価したが、大きな誤りだった。現実は、日本は米国の亜流っぽく世界での存在感はすでに消滅(?)しかかっている。
その点は、シナを羨ましく思う。
もちろん、ビッグブラザー世界なんてまっぴらだが、独裁国家だから規制が強い半面で、米国の要求を撥ね退ける力と誇りを保持するからだ。また、気質なのか、政府規制の差なのかはっきりとはしないが、独裁国家シナではベンチャーファンドが育つ一方で、日本ではベンチャーファンドはほとんど育っていない。
(平均)シナ人はリスクを楽しみ、受け入れるが、(平均)日本人はひたすら安定のお花畑を好む傾向がある。日本政府・社会はベンチャーファンドが新興企業をどんどん成長させ、既存企業の業績が変調をきたすのを嫌ったのだろうか。ほとんどの場合は現状維持が勝り、血はなかなか入れ替わらない。
しかし日本を取り囲む環境が激変した。
素直で疑うことを知らない日本人はWGIP(ウォー・ギルド・インフォメーション・プログラム)を受容し、憲法9条を信じ続けたが、2018年もそれを疑わずただ信じ続けるならば、日本人は隣国と同等の程度・レベルではないか、と私は思います。
「生き残る種というのは、最も強いものでもなければ、最も知能の高いものでもない。変わりゆく環境に最も適応できる種が生き残るのである」(ダーウィン)。
日本人の真価をみたいです。海外から今年の日本に期待しています。
(R生、ハノイ)
(宮崎正弘のコメント)日本にベンチャーキャピタルが育っていないというご指摘ですが、最近の若者のIT業界における起業ぶりは、なかなかのものです。
小生は雑誌『プレジデント』が毎号特集しているベンチャーキャピタルで躍進した若い日本人たちを知り、このガッツが希釈化した国にも少数ながら冒険的青年がいることに、しかも急成長をとげていて「第二の孫正義」をめざして野心満々の態度をみていると、なにかしら安堵感があります。
ただし、ホントに少数派。多数派は、「草食」系ですが。。。。
ところでアリババの馬雲とて、浙江省政府の用意したベンチャーキャピタルで大きくなったのです。しかも、当時の浙江省書記は習近平でした。
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(読者の声2)24日夕方の民放のニュース番組、ハルビンの5つ星ホテルの話題。どんな話題かというと中国のホテルの清掃がいかにいい加減かというもの。
トイレを洗浄したブラシでコップを洗う、タオルやマットは汚れるまで取り替えない、バスタオルを便器の水でぬらし床掃除などなど。昨年末にサーチナの記事にありましたが、潜入取材の映像付きですから衝撃的です。
http://www.news24.jp/articles/2018/01/24/10383831.html
日本軍は朝鮮兵の扱いについて、食事用と掃除用のバケツを区別することから叩き込まなければならなかった。
パール・バックの「大地」第三部ではアメリカ帰りの主人公、布巾と雑巾を区別しない中国人に嫌悪を覚えながらも不潔な中国に馴染んでいく様子が描かれますが、21世紀になっても中国は変わらないのですね。
(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)ハルビンには近年、シャングリラ、ホリディイン、そして放映現場となったケンピンスキーなど世界の一流ホテルが林立しました。外見だけ見栄を張っても中味は変わらず、ですが。
小生がハルピンでよく宿泊したのは駅前のビジネスホテル(名前も忘れました)で、30階建ての高層ビルでしたが、裏が長距離バスターミナルでしたので、便利でした。一泊2700円くらいでしたかね。部屋は
まぁまぁでした。
ハルピンは黒竜江省の東西南北どこへいくにも、乗換する必要があり、頻度高く利用したものです。//


