■「加瀬英明のコラム」メールマガジン



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 東アジアを無秩序状態にしたのは日本国憲法である


 北朝鮮が日本の安全を脅かし、国民をうろたえさせている。

 だが、北朝鮮は人口僅か2千数百万人、経済が完全に破綻した弱小国でしかない。

 いつ、北朝鮮危機が爆発するか分らない。日本がある東アジアは、無秩序状態にある。

 昨年10月の総選挙で立憲民主党や、日本共産党、社民党に投票した「専守防衛」を信仰している人々は、これまで憲法第九条が日本の平和を守ってきたと信じていよう。

 だが、東アジアをこのような無秩序状態にした最大の原因は、何だろうか。

 日本国憲法である。もし、日本がサンフランシスコ講和条約によって独立を回復した後に“マッカーサー憲法”を改正して、日本より経済規模(GDP)が半分しかないイギリスか、フランス程度の軍事力を整えていたら、弱小国にしかすぎない北朝鮮によって侮られることはなかった。

 イギリスとフランスの経済規模を足すと、ちょうど日本と並ぶが、両国は核武装しており、空母や、核を搭載した原潜を保有している。イギリスも、フランスも平和愛好国だ。

 そうだったら、北朝鮮が日本列島を試射場として使って、頭越しにミサイルを撃つことはなかった。中国が隙あらば尖閣諸島を奪おうとして、連日、重武装した海警船によって包囲することもなかったろう。

 「平和憲法」が日本の平和を守ってきたはずがない。イギリス、フランスを手本にしたい。

 日本は「平和憲法」による専守防衛の制約によって、北朝鮮を攻撃する能力がない。だから、アメリカに縋(すが)るほか、国を守る手段がない。

 専守防衛の制約を守れば、敵軍が日本本土に上陸するか、敵のミサイルが国土に飛来するまでは、迎え撃つことができない。

 私は40歳の時に福田赳夫内閣の首相特別顧問として、対米折衝に当たった。その時に、防衛庁の要請によって、日本最初の安全保障問題の研究所が設立されて、私が理事長をつとめた。アメリカの研究所と、日米の防衛共同研究を行った。

 アメリカの研究所から、戦車の専門家が3人来日したので、陸上自衛隊の富士演習場に案内して、戦後2番目の国産戦車の74式戦車に試乗してもらった。74式戦車は1974(昭和49)年に、制式化されたものだ。

 富士演習場に世界で唯一つといわれた、戦車砲のシミュレーターがあった。砲塔の砲手の席に座ると、田園風景が前方のスクリーンに映しだされて、そのなかを敵戦車が光点となって移動する。

 光点を狙って引き金を引くと、衝撃とともに模擬(もぎ)砲塔が震動する。私もシミュレーターを体験したが、眼前にひろがる農村風景を見て、一瞬、戦慄を覚えた。

 のどかな田園風景に農家が点在し、畑のなかにピップエレキバンの野外広告板がたっていた。

 専守防衛は国土を戦場とする。先の大戦末期に、狂信的な軍人たちが「本土決戦」「一億総特攻」を叫んで、日本民族が滅亡するところを、昭和天皇が救って下さった。

 昨春、軍事専門誌として人気が高い『丸』3月号が、国産戦車第1号の61式戦車を特集していた。題名が「『本土決戦用戦車』61式戦車誕生ス」というものだった。

 現行の日本国憲法は、平和をもたらさない。

 悲惨な災いを招くことを、知ってほしい。