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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)12月28日(木曜日)
通巻第5558号
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<本号はニュース解説がありません>
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((( 読書特集 )))
ダライラマ十四世、センゲ首相、櫻井よしこ『チベット 自由への闘い』(PHP新書)
マックス・フォン・シュラー『日本人に隠しておけないアメリカの「崩壊」』(ハート出版)
田中英道『葛飾北斎 本当は何がすごいのか』(育鵬社)
樋泉克夫のコラム【知道中国】
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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ダライラマ法王「(中国の)目的はよいが、方法は武力行使に頼っている」
「調和は信頼がなければ生まれず、信頼こそが友情をもたらす」
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ダライラマ十四世、ロブサン・ゼンゲ首相、櫻井よしこ
『チベット 自由への闘い』(PHP新書)
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日本人はチベットに対して名状しがたい親しみを感じている。
ダライラマ法王が来日されるたびに大がかりな歓迎会が全国各地で、名刹で催され、ときに講演会を開催されると、どこもかしこも超満員の盛況となる。ダライラマの精神講話を聞きたいからだ。
ところが日本人は知らないことがある。
中国がチベットでいかなる残虐な虐殺を行い、いまも人権弾圧を強めていることに関して、メディアは北京の顔色を窺っている所為か、正確に伝えない。あるいは大事な案件を無視する。このためチベットのダークサイドを知悉する日本人は極少数である。
本来は「チベットの動物」であるパンダが赤ちゃんを生んだというので長蛇の列を作る付和雷同組は、北京の詐術に引っかかっているだけである。
本書の序章に言う。
「中国共産党の侵略は、一定のパターンで行われる。侵略は、嘘と猫撫で声から始まる。目指すべき地に足を踏み入れるや、獅子身中の虫のように一挙に広がる。取れるものは取り、滅ばせるものは滅ぼしていく。中国共産党の支配下に置かれた周辺民族は、現実にそのような悲劇に見舞われている。チベットではチベット仏教が厳しく弾圧されている。民族の誇りが根こそぎ奪われ、それに抵抗する者は圧倒的な力で物理的に粛清・鎮圧されていく」
のである。
本書は櫻井よしこ女史とダライラマ法王ならびにチベット亡命政権の初代首相となったセンゲ氏との対談、ならびに国家基本問題研究会が開催した講演会、シンポジウムの記録で構成されているが、どのページを開いても、チベット人の悲哀が伝わってくる。
「チベットの自由は日本の自由だ」という悲痛な叫びともとれる訴えに私たちは真摯に向き合う必要がある。
じつは1954年から55年にかけてダライラム法王は何回か毛沢東と会談している。「彼らの目的は、新たな社会の創造、すなわち階級のない平等な社会」の筈だったが、途中にからひん曲がり、およそマルクス主義とは無縁の差別社会が実現した。
改革開放以来とりわけ胡錦涛は「和諧社会」なるものを呼びかけたが、ダライラマ猊下は、こう言われる。
「調和という目的はよいが、方法は武力行使に頼っている。これが問題です。調和というのは信頼がなければ生まれず、信頼こそが友情をもたらす。」
わたしたちはチベットの精神的支柱、仏教指導者の箴言に、もっと耳を傾けてしかるべきであろう。
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重版出来!
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宮崎正弘『連鎖地獄 ―日本を買い占め、世界と衝突し、自滅する中国!』(ビジネス社)
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本書をもとに先週、『夕刊フジ』で連載され、多くが注目、重版となりました!
https://www.amazon.co.jp/dp/4828419942/
(定価1188円)
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アメリカの大分裂は必至であり、内戦が起こりかねない
左翼は言葉狩りに姿を変え、米国を滅ぼそうとしている
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マックス・フォン・シュラー『日本人に隠しておけないアメリカの「崩壊」』(ハート出版)
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著者のシュラー氏は元海兵隊。姿勢正しく、礼儀正しく、ちゃんとした格調高い日本語も喋る快男児。糊口を凌ぐために結婚式の牧師をしていると正直に履歴に書くのも、人生に自信があるからだろう。一度、テレビでご一緒したことがあるが、謙虚なアメリカ人だった。しかも氏は海兵隊出身である。
中味はじつに激しい。
本書は日米2ヶ国併記というスタイルで、英語の題がそれとなく添えられている。ちなみに英語題名は「2nd CIVIL WAR:THE BATTLE FOR AMERICA」である。
つまり左右の対立が激化し、アメリカは南北戦争以来の内戦に突入する怖れが高い、と予測し、その理由を詳らかにのべる。
「アメリカの教育は左派に乗っ取られています。ポリティカル・コレクトネスはアメリカで一般的な運動となり、ある人の発言が誰かを不快にさせたと言う理由で仕事まで失ってしまう可能性があるほど、社会に浸透しています」
「ポリティカル・コレクトネスは嫌悪(ヘイト)の哲学です。はじめはあたかも良い提案のように聞こえ、平等化をすすめる効果もありましたが、本当の目的は、アメリカの社会を崩壊させることです」
ここまで聞いてみただけでも、日本の状況と瓜二つ。教育は左翼に乗っ取られ、メディアも司法界も左翼が牛耳る。言葉狩りは、おかしな言語空間と弱者が威張る歪な構造を導き出した。
こんにちのアメリカは「ディープ・ステート」に支配されていると著者は言う。このタームはしばしばトランプ大統領も使用する。
「米国の新支配階級とは、企業の社長であり、軍隊の将軍や高級官僚など」。しかし「この人たちを、はっきり誰と特定することは困難です」と言う。
「(アメリカの)メディアは、かれらの傀儡であり、かれらにまずい報道はしない。だからメディアだけをうっかり読んでいるとアメリカ人全体がヒラリーを支援しているかのような、操作がなされた。
日本のメディアも殆どが騙されて、ヒラリー圧勝を予測していた。
アメリカのメディアも「調査報道の仕事は行わず、ただただ、プロパガンダを繰り返しています」という状況も、日本と似ている。
以前から危機をいわれた軍隊のトランスジェンダー容認は、実際にアメリカの軍隊を機能不全の状況にまで追い込んだ。女性パイロットが優遇され、能力の低い軍人が重要ポストに就くと事故が相次ぎ、士気は下がり、とくにオバマはトランスジェンダーに反対した軍幹部を197名も首にした。
その後、戦闘性が希釈になり、駆逐艦ジョンマケイン、フィッツジェラルトなどの事故が相次いで、戦力のローテーションが大きな障害にぶつかる。
アメリカ軍の無能化は深刻な状況に陥没し、ようやくアメリカ人の良識派がトランプを選んだのだ。
とはいえトランプ政治にも限界があり、げんに左右の対立は日増しに激化し、いずれ、アメリカは南北戦争以来なかった内戦に突入するだろうとシュラー氏は、じつに深刻な予測をするのである。
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北斎が写楽だったことが証明されたとする決定版
ゴッホ等に影響を与えた江戸の天才画家の魅力と謎
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田中英道『葛飾北斎 本当は何がすごいのか』(育鵬社)
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著者の田中氏は以前にも北斎が写楽だったと考証をまとめ二冊の本を書かれている。したがって本書で北斎が一時期写楽だったことは伏線程度に用意され、本質の画才、つまり葛飾北斎のどこが、そんなに凄いのかを美的に追求している。
富岳三十六景にみられるように、北斎は波の間に富士山をおいて、いはばデフォルメに力点を置いた作家でもあるが、田中氏は、この画風と日本の自然観をむすびつけて、こう言われる。
「北斎は日本人が想像した形での最高のイマジネーションを持つ画家というべきだろう。そういう我々がよく知っている北斎には、『富岳三十六景』のなかの一枚『神奈川沖浪裏』のように、浪の向こうに富士山があるという素晴らしい作品があるのだが、今のところ、惜しむらくはそれに匹敵する肖像画がない。ダヴィンチとならんでも何もおかしくないほどの力量を持った人であるにもかかわらず美術家の中で(1999年とライフのランクで)七位という下位に甘んじているというのは、風景画家としてのみ評価されている北斎の評価を考えれば、かなり適格である」(14p)
北斎の『諸国名橋奇覧』は、と田中氏は続ける
「まさに雄大な自然の中で、人口の橋が小さな抵抗をしている。人間と人間がつくった持自然の幾何的形態が、風景とコントラストを示しているのだ。人間の営みがいかに自然の営みの中で小さなものかがわかる。こういう面白い描き方ができる画家は世界に類がない。西洋の場合はとくにそうだが、人間が自然を支配しようとする傾向が強く、これほど大きく自然を描かない。あるいは人間が支配するべきものとして自然を扱っている。それに比べて北斎の場合は、抵抗は最小限のもので、自然と調和させようとしている。自然と人間が同じように精神を保っていて協働しているのである」(140p)。
美術史家としての田中氏の慧眼が随所に光る。
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